- 2016年03月09日 15:23
ソフトバンク、企業分割が望まれる理由とは
「全体は部分の総和に勝る(アリストテレス)」と言われるが、ソフトバンクグループに限ってはそれが当てはまらない。その逆が真実になり得るからだ。
ソフトバンクは7日、グループ内組織を2つに再編することを明らかにした。安定した国内事業と、潜在的に急成長が見込めるとはいえ、より投機的な海外事業の2つだ。もしこの再編が2つの事業を別々に上場する道を開くのであれば、投資価値が上がる可能性がある。
ソフトバンクは、日本の3大携帯電話事業者の1つで、無線通信事業が主な収益源だ。企業分割が現実になれば、この事業がグループの債務を背負う公算が大きい。この債務を考慮すると、国内通信事業には103億ドル(約1兆1600億円)前後の価値がある。これはEBITDA(金利・税金・償却前利益)に対する企業価値の倍数がライバルのNTTドコモやKDDIと同等だと想定した場合だ。保有する43%のヤフージャパン株の市場価値を加えると、ソフトバンクの国内事業の価値は205億ドル前後、つまり現在のソフトバンクの時価総額の34%になる。
次に、海外事業について考えよう。この大部分を構成するのは、中国電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)の株式32%だが、米国の携帯電話事業者であるスプリントの株式83%も含まれる。後者は問題含みの投資であることを認めざるを得ない。これらの持ち株の価値は合計して717億ドル(構成する株式の取引価格に基づく)に及ぶ。
ソフトバンクは新興企業向けにさまざまな小口の投資も行っている。例えばインドのネット販売業者のスナップディールや、中国の配車サービス会社の滴滴快的などだ。こうした投資に価格をつけるのは難しいが、ドイツ銀行が出した82億ドルのバリュエーションを用いると、ソフトバンクの海外事業には全体で800億ドル前後の価値があることになる。
ただし、投資家はアリババ株にディスカウント(割引)を考慮する必要がある。なぜなら、それを現金化するとなると、ソフトバンクに巨額のキャピタルゲイン税がのしかかるからだ。この持ち株に35%の税率が適用されるとすると、ソフトバンクの海外事業の価値は594億ドル、つまり現在の市場価値の91%前後になる。
つまり国内と海外2つの事業の価値の合計は、ざっと800億ドル前後になる。これは現在のソフトバンク株価に31%の上昇余地があることを示唆する。ソフトバンクは長い間、「部分の総和」を下回る水準で取引されてきた。このため潔く企業分割をすれば、この割安部分が縮小される方向に働く公算が大きい。
別離は、幸せなソフトバンク・ファミリーを生み出すはずだ。
By JACKY WONG
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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