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原油価格はボックス圏相場に突入

原油価格が1バレル100ドル前後で推移していた頃、私は拙書『シェール革命後の世界勢力図』(2013年6月・ダイヤモンド社)において、「原油価格は3年後には半値の50ドル割れまで進むだろう」と予測しました。

さらには、『石油とマネーの新・世界覇権図』(2015年8月・同社)においては、イランの経済制裁が解ければ、シェール革命並みの激震が走るという見通しから、「原油価格は30ドル時代に突入し、価格の長期低迷が続くだろう」と価格の予測について踏み込みました。

実際に、WTI原油価格は今年の2月に26ドルまで下落し、昨夜時点で一時は38ドルまで戻してきていました。2月中旬の安値に比べて45%も上昇していたわけですが、ここのところの価格反騰の要因はみなさんもご存知のように、産油国が増産凍結に向けて協調しようとしているからです。

ところが現実には、たとえイランを除く産油国間で増産凍結が決定できたとしても、供給過剰の状態が解消されるということはありません。イランは経済制裁の解除後、すでに50万バレルの増産を決定していますし、今年中には100万バレルの増産を目指しています。

その一方で、米エネルギー省によれば、米国の原油生産量は今年末には日量850万バレルを下回るといいます。昨年と比べて日量100万バレル程度が減少する計算になるというのです。今後も原油価格が30ドル台で推移するとすれば、米国の減産分はイランの増産分で相殺されてしまうわけです。

現時点で世界の原油市場は200万バレルの供給過剰にありますが、産油国間の増産凍結にイランが加わらなければ、原油価格に与える影響は極めて限定的にならざるをえないでしょう。そのうえ、米国の原油在庫は過去最高の水準にあり、在庫が減少するには1年~2年の時間を要すると見られているのです。

それでは、イランが増産凍結に協調すれば、原油価格はロシアやサウジアラビアが望む60ドル台に戻るのでしょうか。

事態はそんなに甘くはありません。仮にイランが増産凍結に参加して原油価格が40ドルを上回ったとしても、40ドルを上回る水準では米国のシェール企業で増産に転じるところが多くなるからです。

シェールオイルの産出量が最も多いバッケン地方では、大半の油井の生産コストが40ドルを下回っており、30ドルを下回っている油井も少なくありません。多くのシェール企業は原油価格が安い間は生産を減らし、価格が回復したら増産を再開するという機動的な生産体制を敷いています。

ですから、原油価格がある程度上向いたら、すぐにシェールオイルの増産が始まり、それが需給バランスを悪化させて、価格上昇はすぐ頭打ちになってしまうわけです。

そのように考えると、原油価格は当面、「25ドル~45ドル」あるいは「25ドル~50ドル」のボックス圏相場に入ったと考えることができるのかもしれません。

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