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“The Only Thing We Have to Fear is Fear Itself.”

安倍総理が消費税率10%への引上げを再延期して、衆院解散、衆参同日選挙に踏み切るのではないかとの観測が強まっている。伊勢・志摩サミットの首脳外交で得点を挙げ、内閣支持率を高めた上で、増税延期と経済を争点にダブル選挙をやれば、憲法改正できるような大勝を収められる、自民党総裁任期の延長で2020東京五輪までの安倍総理続投も視野に入ってくる、という皮算用のようだ。野党側でも、新党に期待感が高まらない中、安倍総理にこのタイミングで衆院解散を打たれたら大敗する、と戦々恐々の向きもあるようだ。

だが、本当にそうなのか。私はむしろ「消費税10%延期→衆参同日選挙」というシナリオを、野党側の絶好のチャンスと見なければならないと思う。それまでに衆院295小選挙区の候補者擁立を完了し、新党として、安倍自公政権への対立軸となる政策をはっきり打ち出し、衆参同日選挙を受けて立つ構えをしっかり構築できれば、選挙情勢はガラッと変わり得るのではないかと感じる。

そもそも2014年12月、突然の衆院解散に踏み切った時、安倍総理は何と言っていたのか。消費税10%を1年半延期して、その間にアベノミクスを軌道に乗せる、デフレ脱却と経済成長を確かなものにできるので、再度の再延期はあり得ない、そう言って「景気条項」を法律からわざわざ削除して、「アベノミクスの信を問う、アベノミクス解散だ」と、解散総選挙を断行したのではなかったか。

それから1年半、どうなったのか。直近の2015年第四四半期のGDPはマイナス成長、そしてGDPの6割を占める個人消費はアベノミクス後に上向くどころか顕著な落ち込みを見せている。景気回復を実感していないという人が今や8割にのぼっている。日銀がマイナス金利まで導入してもこれ以上の円安は見込めない。どこからどう見ても「アベノミクスが成功した」とは言い難いではないか。だからこそ消費税10%を再延期する、だとすればこれは2014年12月の「アベノミクス解散」における安倍総理の約束が失敗に終わった、という何よりの証しではないか。

こんなものは恐るるに足らない。と言うよりも、こんなものを恐れていては話にならない。消費税10%再延期は事実上の「アベノミクス失敗宣言」であると、論拠立てて、説得力ある形で、国民に示さなければならない。相手は世界経済の変調や原油安を理由にしようとするだろう。実質賃金の低下とそれによる個人消費の低迷こそがアベノミクス失速の最大の理由であると論証すべきであり、それこそが国民の生活実感に近い答えであるはずだ。

私達はすでに「軽減税率」1兆円が横入りして社会保障の充実にしわ寄せが及びかねない形で強行される2017年4月の消費税10%への増税には反対を決めている。安倍政権の増税再延期は、行なわれるとすれば、予算委員会で「三党合意」の破綻を論証した私達に追い込まれての、苦しまぎれの策と見るべきものだ。

その上で、トリクルダウンにかわるボトムアップ、生活の安心、老後の安心のために中間層以下の世帯収入の底上げ支援を行ない、個人消費の拡大をもたらして実感をともなった経済成長を実現する、「日本版ベーシックインカム」の保障を中核とする“アベノミクス後”の経済政策を打ち出すべき時である。「アベノミクスに文句は言うが、じゃああんた達に何があるんだ。対案なき批判ばかりじゃないか」と、相手は必ず言ってくる。国民に分かりやすい、未来に希望の持てるようなカウンター提案をする事が、私達の側には求められている。

加えて、国家権力による統制色の強い自民党憲法草案の内容について、国民の懸念は高まりつつある。時の権力の意思で「言論の自由」を制限でき、「国家緊急事態」と認定すれば法律と同等の政令を内閣が発布できる、こうした条項の持つ危険性について、しっかりと国民に訴えるべきである。こんな憲法改正ならしない方がよっぽどましだ。今、憲法改正の話を安倍総理がすればするほど、昨年の安保法制の強行採決の場面が国民の脳裏によみがえってくる。安倍総理が「全部やりたい」と言っている自民党憲法草案の是非を争点として問う選挙にすれば、国民は必ずや私達の側に軍配をあげるだろう。

フランクリン・D・ルーズベルトは、1933年、大恐慌の荒廃した社会状況の中で大統領に就任した時、就任演説で言った。

「恐れなければいけない唯一のものは、恐れそれ自体である。」
“The Only Thing We Have to Fear is Fear Itself.”

安倍総理に恐れをなしていては始まらない。それでは相手につけ込む隙を与えるだけだ。しかし策なしで強気だけ言っていれば良いのでもない。FDRにとってのニューディールのような、国民に支持される政策を持たなければならない。そして衆参同日選挙を受けて立つ気概を持たなければならない。私達の覚悟と本気が試されている。思えば、私達の新党結党に到る<平成の大同団結運動>は、そのためにやっているようなものではないか。

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