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トルコ、反政権紙を政府管理下にー欧米諸国は批判

Posted By: 室橋 祐貴 2016年3月6日

4日、トルコの裁判所は、エルドアン政権に批判的なトルコの最大紙「Zaman(ザマン)」を政府管理下に置くとの決定を下した。

4日夜には、警察が催涙ガスと高圧放水銃を使用してザマン紙本社前に集まっていたデモ隊を排除、同紙を正式に政府の管理下に置いた。5日には編集長が解雇されている。これに対し、Sevgi Akarcesme編集長は、「トルコの民主主義が暗い時代をむかえ、目にあまる憲法違反が行われている」と批判し、ほとんどのメディアが同じような報復を恐れて今回の当局によるザマン氏占拠を十分に報じていないと述べている。

5日にも同紙の本社前で約500人がデモ抗議を行ったが、機動隊はゴム弾や催涙ガスを使用して排除した。

反逆罪による取り締まりの一環

今回、裁判所がザマン紙を政府管理下に置く決定を下したのは、反逆罪による取り締まりの一環だ。トルコ政府は政府に批判的な宗教団体に対する取り締まりを強化しており、ザマン紙はエルドアン大統領と対立する米国在住のイスラム教穏健派指導者フェトフッラー・ギュレン師との関わりが深いと見られている。

ギュレン師が率いる「ギュレン教団」は政府からテロ組織に指定されており、検察官はこの組織が反政府武装組織クルド労働者党(PKK)と協力関係にあり、政権転覆を目論んでいるとしている。

トルコのダーヴトオール首相も「トルコには、選挙を通じて樹立された政府に対する明らかな反乱に参加する者の正当性を問う権利がある。違法な資金の横流しなどの政治工作を検証する法的プロセスに政府が介入したことは一度もない」と主張している。

2014年12月には、ギュレン師が行った演説内容を掲載したことなどが「テロ容疑」に当たるとしてザマン紙編集長ら約30人を逮捕している。さらに2015年10月にはギュレン師とつながる他の企業も占拠されており、その中には銀行も含まれている。

また、2014年2月には、裁判所の命令がなくてもウェブサイトを遮断したり、インターネットを通じて個人の閲覧記録を収集することを首相に認める法律を成立させた。通信規制当局のトップには経験豊富なスパイが就き、TwitterやYoutubeも過去に遮断された(関連記事:トランプ氏のインターネット閉鎖案は非現実的なのか?)。

一方、EUや欧米諸国からも批判が集まっており、独ノルベルト・レトゲン議員(与党・キリスト教民主同盟)は「新聞社に対する暴力的な措置というだけにとどまらず、トルコ政府が主要新聞社全体を占拠したという事実は、トルコ国家指導層による報道の自由に対する重大な攻撃を意味している」と批判した。

今後は、言論の自由をトルコ政府が担保できているのか、欧州評議会等で厳しく問われることになりそうだ。

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