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カッダーフィについて

最近いろいろな方からコメントをいただきますが、本日も衛星中継で昔カッダーフィと話をしたが、理想主義で大局から物を見る人との印象を受けたが、本当に彼は抑圧者なのかと言う質問を受けました。
大変面白い、と言うか重要な問題なので、ここで彼について私の考えているところを少し整理してみたいと思います。

と言うのは彼は欧米では一般にmad dog(狂犬)と呼ばれて、せいぜい良くて道化と呼ばれた様で、基本的には人民の抑圧者、テロ支援者、誇大妄想狂というイメージしか持たれていなかったと思います。
ところがそのリビアに石油があったために面と向かっては、少なくとも欧州の連中は悪口が言えなかったところに、カッダーフィが米国の爆撃以来すっかりおとなしくなり、テロ支援も手控え、ロッカビーの被害者にも補償をしたり、大量破壊兵器開発をやめたりしたので、すっかり悪口が聞こえなくなっていましたが、少なくとも国内、と言うかリビア国民に対しては容赦のない抑圧体制を敷いていたことには何の変化もありませんでした。
そのことはこの1〜2日市民を爆撃すると言う21世紀の世の中でも前代未聞の蛮行を平気でしたことで、逆に証明されてしまいました。いくら独裁者の多い中東でも、昔はともかく、最近ではサッダムフセインくらいがこれに匹敵する蛮行の行為者でしょう。
またカッダーフィは他の独裁者と違って、個人的な蓄財をせずに比較的クリーンと言うことで、アラブ世界では評価されていた面があったかと思いますが、これも例のセイフルイスラムなどと言う息子やハンニバルなどと言う息子が相当勝てtなことをして、カッダーフィ財団などから資金を勝てtに流用している模様で、クリーンさにも陰りが出ていましたが、特にセイフルイスラムに世襲を狙っていると言うことで、こちらの方も馬脚が現れました。
昨日など彼がどういう資格で話したかは知りませんが、国営TVで長々とお説教をして、最後はリビア国民を脅迫したことに端的に表れていると思います。要するにここでもサッダムフセインのウダイ級の悪がいる訳です。
このカッダーフィが反体制派を絶対に許さずに、アラブ世界や世界中に刺客(小泉の刺客とは違って殺人者ですぞ)を送って、反体制派を暗殺していたことは前にカイロの実際の見聞のところで書きました。
尤も最近はこちらの方は殺す相手がいなくなったのか、年老いて少しは丸くなったせいか、余りそのような実例は聞きません。

と書いてくるとカッダーフィは稀代の冷酷な独栽者でしかない(まあ、事実そうですが)と言うことになりますが、勿論彼のしたことが全部悪いわけではありません。
それまで北アフリカの砂漠の国で、人口も少なく、極端に遅れた国であったのを、特に海岸の比較的裕福で発達したところに比して貧しく、教育、保健等も全く無視されてきた内陸の開発に力を注いだことは事実だと思います。
また女性の地位の向上にも大きな貢献があったことも事実です。
但し、これらの貢献も女性の地位を除けば、基本的にリビアが彼の時代より少し前から開発が進んでいた膨大な石油資源に恵まれていたからできただけ、という面も少なくなく(だから彼がアホみたいに気前よくテロ団体、民族開放団体に資金、武器面で援助をしてもリビア内の開発も同時並行して行えた)、もし彼のような奇矯な政策でなく、お隣のチュニジアのような正統的経済政策をとっていれば、その開発ははるかに大きく早く進んだものと思われます。
また内陸の部族等の優遇政策も、ある意味では自己の支持基盤の強化と言う意味があり、別に自己ん利益と無関係に利他的な理由から内陸の開発、貧富の格差の解消等に努めた訳でもないはずです。

そのカッダーフィの政策の中で、最もアラブ民衆から歓迎され、評価されたのが反植民地、要するに反欧米の政策だと思います。
そもそも彼が1969年にクーデターで国王を追い払ったのも、ナセルのアラブ民族主義に傾倒し、英米等の植民地勢力の中東からの追放、アラブ民族の統一、アラブの資源である石油の利権をアラブにと言う政策を実行するためで、この政策がリビア人を始めアラブ人の支持を獲得した大きな理由と思います。
そして当時リビアにあった巨大な米空軍基地を回復し、石油についても石油ショックに乗じて、当時リビアで操業していた立場の弱い独立系(いわゆるメジャーではない石油資本)を脅して、産油国に圧倒的に有利な契約に変えさせ、それがその後の中東石油の契約の元になって行きます。
またアラブ民族主義の立場から、ヨルダンとかサウデイとかの王制で親米国の政府と徹底的に敵対し、またエジプトとの統合を求めて群衆を率いてエジプト国境に殺到して実力で国境をなくそうと計画したこともありました。
その意味ではかなり奇矯な行動が目立つ点はありましたが、アラブ民族主義、反植民地主義と言うことでアラブの大衆の心をとらえたことは事実だと思います。

ところがナセルが死に、サダトが親米路線に切り替え、シリアもイラクも(双方とも昔はアラブ民族主義を呼号していた)自己の狭い国益か政権益を目指す頃になると、カッダーフィのアラブ民族主義主義も耐用期間を越えてしまい、テロ組織に対する支援とかその様な点ばかりが目立つようになって言ったものと思います。
またカッダーフィも独裁が長期化して、ナセルのようなメンター(目指す指導者)がいなくなると、誇大妄想的思考が増長して言って、その行動もますます奇矯になってきます。
何しろ国内は鉄の規制で反対意見はなく、欧州の指導者等石油利権に魅かれておべっかを使う有様で、自分やリビアの地位が見えなくなっていたのだろうと思われます。
この頃からアラブ世界で思うように動けないためか、アフリカ問題への介入が目立ってきます。
欧州のEUにならってアフリカ連合を設立するなどと言うのは実害のない可愛い方ですが、実際には近隣諸国への介入などを行ってきました。

このように書いてくるとカッダーフィの政権は耐用年限がとうの昔に過ぎた独裁政権で、国内の反対派の弱さ、国際的おべっかで、何とか今までもてきたが、流石にもう終焉の時期を迎えていると言うのが、全くの個人的意見です。
以上偏見と独断の意見ですので、ぜひ反論をいただければと思います。

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