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認知症事件逆転判決

認知症の男性が徘徊中に電車にはねられて死亡した事故で、JR東海が遺族に対して事故により生じた損害の賠償を請求していた事件で、最高裁が責任を認めた高裁判決を破棄して、JRの責任を棄却する判決を出したようである。

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基本的に、民法は、個人責任である。
しかし、責任無能力者が責任を負わない場合、監督義務は、監督義務を怠らなかったことを立証するか、監督義務違反がなくても損害が生じたことを立証しないかぎり、損害賠償責任を負うのである。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条  前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

で、これまでの裁判例的には、この監督義務というのはハードルが高かくて、よっぽど頑張ってても監督義務が無かったとは認められなかったのである。

この事件、名古屋地裁は、妻と長男に720万円の賠償を命じ、名古屋高裁は、長男は20年以上も別居していたので責任はないが、妻には半額の360万円の賠償を命じていたのである。

最高裁判決が早速公開されている。
精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないというべきである

ということで、最高裁は従前の裁判例とのバッティングを避けようとしたのか分からないが、妻の監督義務者である地位を否定したのである。

難しいところはあるが、私は、最高裁の結論に賛成である。ただし、監督義務者であることを否定するよりは、監督義務違反を否定するべきだったような気はする。

この問題は、ときに生じる理不尽な損害に対して誰が責任を負うべきかという問題である。
単に、かわいそうなお年寄りとか、JR東海はお金持ちというだけで考えてはいけない。

例えば、電車が顛覆して数百人がお亡くなりになっても同じ結論を言わなければならない。
どれだけ監督すればいいのか。
難しい問題である。

他方、JRが動かしているのは、当たれば人が風船のようにはじけ飛ぶ危険な巨大な鉄の塊である。どれだけ、安全に配慮すれば加害者にならないのか。
これまた難しい問題である。

年寄りは国の宝であり、鉄道は現在の社会に不可欠である。

ちなみに、JRは、従前、飛び込んだ人がお亡くなりになった場合は、損害賠償請求をしてこなかったのである。。。。。。

えらく空気を読めない訴訟だったなという気がする。

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