記事

アングル:トランプ氏躍進に市場もそわそわ、円高リスクにも

[東京 2日 ロイター] - 米大統領選の候補者指名争いでドナルド・トランプ氏が躍進し、市場もそわそわし始めてきた。過激な発言から大統領就任の確率は低いとの見方が依然として大勢を占めるが、今回の「スーパーチューズデー」で勝利し、共和党の「大穴」から「本命」に躍り出たからだ。

同氏の経済政策はいまだ明確ではなく、過激な発言を材料に先行きの不透明感がさらに強まれば、リスクオフの円高材料になりかねないとの声も出ている。

<「とんでも予想」に現実味>

みずほ総合研究所が昨年末に公表した「とんでも予想2016」。発生する可能性は低いものの、起きると影響が大きく重要度が高いと項目が列挙されている。同社が1番手に上げていたのはトランプ氏の大統領当選だったが、2月から始まった予備選や党員集会で同氏は勝利を重ねてきた。

集中日にあたる1日の「スーパーチューズデー」では、トランプ氏が11州のうち7州で勝利の公算。2位争いのクルーズ上院議員が大票田である地元のテキサス州などで勝利を確実にしたが、共和党候補の座をめぐる争いでトランプ氏の優勢は、いよいよ鮮明になってきた。

同氏は、その過激な発言が物議を醸してきた。昨年12月にはカリフォルニア州での銃撃事件を受け、米当局が問題を分析できるまでの間、イスラム教徒の米国への入国を完全に禁止することを提案。移民政策でも、不法移民を防ぐためにメキシコ国境に壁を建設するなどと発言した。

この過激発言でも支持が拡大している要因について「移民層と雇用面で競合するような米国民の不満が高まっている」(邦銀エコノミスト)との指摘が出ている。

「とんでも予想」を執筆したみずほ総研の高田創チーフエコノミストは、政治経験がなく、過激な発言で知られるトランプ氏が、有力候補に残ることは昨年末の予想時点で考えづらかったが「足元の状況では必ずしも『とんでも』ではなくなってきた」と話す。

<無視できぬ勢い>

為替など金融マーケットで、トランプ氏の大統領就任を本格的に織り込み始めたわけではない。市場では「差別的な発言が多く、政策うんぬんの前に一国のトップになる資質が欠けている」(国内証券)との声は多い。

さらに「トランプ氏をはじめとする共和党候補者が(民主党の有力候補者である)クリントンに勝てるという評価であれば動揺するかもしれないが、トランプが(共和党候補者選で)圧勝しても、クリントン氏に勝てる確率は現時点では低いので、マーケットはまだ無視できる」(外銀)との見方が、市場のコンセンサスとなっている。

とはいえ、トランプ氏の躍進ぶりは、無視できる勢いではなくなりつつある。

ニュージーランドのビクトリア大学が運営するオンライン賭けサイト「プレディクトイット」では、トランプ氏が指名を獲得する確率は2日朝の時点で76%。29日につけた過去最高の80%から下がったが、クルーズ氏とルビオ氏は10%に過ぎない。

<不透明感はリスク回避材料に>

経済政策の面では、トランプ氏の方針が明確になっておらず、この面でも市場は織り込みにくい。「もし共和党の候補になったときに、共和党の方針を受け入れるかが焦点だが、それも現時点ではわからない。トランプ氏がこのまま躍進し続ければ、市場は不透明感を嫌気し始めるかもしれない」(三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏)という。

不透明感の強まりは、市場にとってリスクオフ要因。先行きのドル/円相場にとっては、リスク回避の円買いとなり、下押し要因になるとの見方が多い。リスクオフ局面ではドルも買われやすいが、マネーが「安全資産」の米国債に流れ、米金利が低下すれば、ドル安材料になる。

「トランプ氏が過激な人ということを前提にすれば、米国の行動が極端なものになりやすいという意識が働く。ポジティブかネガティブかと言われれば、ドルにとってはネガティブ」(大手邦銀関係者)という。

トランプ氏が大統領に就任した後の状況を予想するのはまだ早過ぎるとはいえ、「一候補者のパフォーマンスのうちはいいが、大統領となれば話は違ってくる。議会の壁に阻まれ、政策を実行する前にレームダック化すれば、リスクオフの流れになる」(外銀)との声も出てきている。

11月8日の大統領本選まであと8カ月。市場は、また新たな不透明材料を抱えようとしている。

(杉山健太郎 編集:田巻一彦)

トピックス

ランキング

  1. 1

    パワハラ原因?オスカー崩壊危機

    渡邉裕二

  2. 2

    相次ぐ「GoTo外し」観光庁に疑問

    木曽崇

  3. 3

    公選法に抵触 毎日新聞の終わり

    青山まさゆき

  4. 4

    菅首相を揶揄 無料のパンケーキ

    田中龍作

  5. 5

    陰性の「安心感」に尾身氏がクギ

    BLOGOS しらべる部

  6. 6

    TBS番組が伊藤健太郎逮捕で誤報

    女性自身

  7. 7

    伊藤と交際報道の山本舞香は号泣

    女性自身

  8. 8

    ニトリが島忠にTOB 家具業界の変

    ヒロ

  9. 9

    仏再封鎖 医師「PCR数凄いのに」

    中村ゆきつぐ

  10. 10

    意外に多い「やり過ぎ感染対策」

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。