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福島第一原発事故を巡る強制起訴の意義

2月29日、福島第一原発事故に関して、東京電力の元会長ら3人が強制起訴されました。

これは、検察が2度にわたり不起訴処分としていましたが、検察審査会による2回の起訴議決により刑事裁判が開かれることになったものです。

公訴事実は、3・11のとき10メートルを超える津波で原発が浸水し水素ガス爆発などが発生、それにより作業員ら13人が負傷、周辺の病院から避難しようとした入院患者ら44人が死亡したことについて、事前に予測できたのに必要な措置を怠ったという内容。

「巨大な津波は予測できなかった」などと無罪を主張し、業務上過失致死傷罪の成立を否定すると見られており、ポイントは指定弁護士がその点を立証できるかになりそうです。

強制起訴はこれで9件目ですが、過去8件のうち有罪となったのは2件、有罪率は25%です。検察官による起訴の99%と比べるとかなり低い数字となっています。

このことから「社会的、心理的、経済的な負担を何年も負わされた上、無罪になることが続いていいのか」と言った声もあがっています。

たしかに一理あります。しかし、被疑者・被告人の負担が大きい原因は、有罪判決が確定するまでは無罪が推定されるという大原則がないがしろにされていることにあります。逮捕・起訴されても犯罪者と決まったわけではない、できるだけ一般人を同じ扱いすべきである、ということを国も社会も徹底できれば、相当軽減されるはずです。

また、そもそも本当に無罪かも含めて事案の真相を最終的に判断するのは裁判所の役割のはずです。やみくもに起訴すればいいというものではありませんが、有罪の確信が得られた場合しか公訴提起しないという姿勢では、刑罰法令を適正に適用・実現することはできないのではないでしょうか。

処罰すべきという検察官の判断が間違っている場合、それは裁判によって是正されます。しかし、処罰すべきでないという判断が間違っている場合には、原則としてそれに歯止めを掛けることはできません。

それではいけないということで設けられているのが検察審査会制度です。

強制起訴を通じて、被告人が有罪か否かだけでなく、検察官が起訴しなかったことが間違いではなかったのかも審査されることになります。そして、その際は、何が真実だったかが一つ一つ認定されることになります。

2月27日、東電は、メルトダウンの判定基準が記された社内マニュアルが発見された、それによると津波から3日後にはメルトダウンと判定できていたと発表しました。5年経って、事故に関する重要な資料が新たに出てきたのです。

今後の裁判では、こういった新証拠の存在などによって事案の真相の解明につながる可能性があります。事故原因の究明も期待されます。

どのような顛末になるのか、我々人類が学ぶべき教訓はないのか、注意深く見守っていきたいと思います。

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