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電波停止問題〜放送の政治的公平について〜

 2月8日の予算委員会で、私は「個別の番組の政治的公平性」を理由に「電波停止」を行わない旨確認しようとした。これに対し、高市総務大臣は、「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と答弁。「電波停止」について否定しなかった。
 
 高市大臣の答弁の最大の問題は、「ひとつの番組」(個別)の内容について、「政治的に公平で」はないと総務大臣が判断すれば、その放送局の放送を止めることができる(「業務停止」(放送法174条)「無線局の運用停止」(電波法76条))ようになる点である。
 これでは、萎縮して自由な報道ができなくなってしまう。

 従来、総務省は、大臣自身が答弁しているように「政治的に公平であること」について、「放送事業者の番組全体を見て判断する必要があるという考え方」に立っていた。したがって、個別の番組の「政治的不公平」を理由に「電波停止」を行うことはできなかったのだ。 

 ところが「放送法遵守を求める視聴者の会」の質問状(2015年11月27日)に対して、高市総務大臣は、 
「放送法第4条第1項第2号の「政治的に公平であること」について、総務省としては、これまで、~中略~基
 本的には、一つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する必要があるという考え方を示し
 て参りました。

 他方、一つの番組のみでも、例えば、
• 選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、
• 国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、

一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないと考えております。」

 と回答(2015年12月4日。同様の内容については2015年5月12日参議院総務委員会藤川委員の質問に対しても答弁している。)
 私とのやりとりの中で、大臣はこれを従来の解釈の「補充的答弁」とした。しかし、「新たに解釈が「付加された」つまり「変更」されたのではないか」との私の指摘に大臣は反論せず、うなずいておられた。明らかに従来よりも踏み込んだ解釈変更を行ったのだ。

「報道の自由」は憲法21条が保障する「表現の自由」の中核をなすものである。憲法21条が「公共の福祉」による制限を規定していないことからも、「報道の自由」に制限を加えるべきではない。実際、1980年台までは、放送法4条は倫理規定であるとされ、行政指導も行われて来なかった。現在では、法規範とされ、いわゆるやらせなどの場合(「報道は事実をまげないですること」に違反)「行政指導」が行われるようになってきてはいる。しかしこうした場合でも私は、まず、BPOに委ねるべきと考える。まして個別の番組の「政治的公平性」を理由に「電波停止」を行うべきではない。
 今回の答弁、先進民主主義国の政府として、いかがなものか。

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