- 2016年02月26日 12:50
増える税などの負担、社会保障の自己責任化、不安定な雇用の時代に大田区が区民のためになすべきこと
1/2フェアな民主主義 奈須りえです。
カラー刷りで挿絵や写真をふんだんに使っている平成28年度予算案の概要をみながら、税金の使い方が大きく変わってきていることを実感しています。
認可保育園申請者4300人に対し、今年も1800人が不承諾だということが明らかになりました。
今年の大田区予算編成における4つの重点課題のひとつは「少子高齢化の進行など人口構成の変化への対応」で、その中に子育て、教育、健康、福祉、医療の充実と書かれてはいますが、具体的な保育施策は、民間建物(土地)を一括借り上げした事業所内保育所開設支援にとどまっています。
平成24年の第四回定例会で待機児の問題について質問したときに、大田区は財政と土地の不足を理由にしていました。その後、3年が経過し、大田区も、待機児対策に取り組んできていますが、それでも待機児は解消しません。
認証保育所定員1850人ほか保育ママなど、多様な運営主体の民間保育施設があるから最終的には100人程度になるということですが、だったらいいと言うことでしょうか。
そこでうかがいます。
① 今年の大田区の待機児の問題ですが、原因は何でしょうか。財政とは税収が少ない問題でしょうか。それとも、使い道の優先順位の問題でしょうか。いったいいくらあれば、大田区の待機児は解消されるでしょうか。
最近すっかり耳にしなくなった「地方分権」ですが、私は、地方分権は、保育園の待機児の問題と密接な関係にあると考えています。地方分権を理由に行われた三位一体改革により、保育が国から大田区の責任にかわったからです。
地方分権は「地方にできることは地方に」という理念の下、国の関与を縮小し、地方の権限・責任を拡大するため「国庫補助負担金改革」「税源移譲」「地方交付税の見直し」の3つを一体として行う三位一体の改革とセットで進められました。
納税者が国へ納める国税を減らし、都道府県や区市町村に納める地方税を増やすことで、国から地方へ税源を移す税源移譲により、国から地方へ、3兆円の税源移譲が実現しました。
三位一体の改革の税源移譲は、大田区の歳入構造を変え、保育のために国からおりてきていた国庫負担金の代わりに、自由に使うことのできる特別区民税の歳入が増えました。
特に、松原区長が初当選された平成19年の影響は大きく、個人住民税所得割が都道府県4%、市区町村6%の一律10%と定率化と定率化され大田区分は6%になり、都区財政調整制度における23区の割合が52%から55%に引き上げられました。大田区の歳入は前年にくらべ特別区民税で33億1千万円、財政調整交付金で100億6千万円増収になっています。
地方分権とは直接関係はありませんが、平成23年には、年金から個人住民税を天引きする年金特徴がはじまり、扶養控除廃止が行われ、所得税・住民税ともに区民の負担が増えました。平成26年には消費税が8%に引き上げられ、20億円の負担増になっています。
保育が自治事務化したこともあり、区民の負担は大きくなりましたが、財源と権限が大田区になって以降の待機児解消のほとんどを区の負担の少ない認証保育所で解消してきています。大田区の「小泉政権の時に三位一体の改革があり、私立保育園については補助金が入ってきているが公立の保育園については一般財源化され見えなくなって保育料以外のものは区が負担しているという見方となる」という発言に理由があるのではないかと思います。
平成15年に330人だった認証保育所の定員は、平成28年度予算案では1850人です。
国は三位一体の改革で保育が区市町村の責任になってから、保育園の待機児の数の定義を変えてきていて、認可保育園に入れなかった人の数ではなく、認証保育所・小規模保育所・保育ママで対応した人は待機児と計算しないようになりました。
保育は憲法に定められる義務ではありませんが、義務教育の小中学校に例えてみると何が起きているのか見えてくると思いますが、大田区立の小中学校に入ろうとしても定員がいっぱいで入れず、わたくし立の小中学校に通わされているようなものではないでしょうか。
認可保育所に入れず、認証保育所に通うことになって区民が負担する保育料は定員1850人で月6万円の保育用で計算すると概算で年13億円にもおよびます。しかし、認可保育所と小規模保育所以外の保育料は私費扱いでこの13億円は大田区の歳入には入りません。
保育という社会保障が自己責任化されたということです。
そればかりでなく、三位一体改革以降、待機児を民営化や民間委託で解消してきたことで、区民の間には、認証保育所と認可保育園の保育料負担の差や、地域によって違う入りやすさの違う不公平、民間事業者が保育事業を担うようになったことでの保育士の低賃金や不安定な雇用、園庭基準など保育環境の低下といった問題が生じています。
地方分権について、平成5年当時、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、などが国に「地方分権の推進に関する意見書」を出しています。
「国内では、経済成長が所得水準の向上をもたらしたものの、多くの国民は、それを実感できず、真の豊かさを求めようとしている。このため、成長優先の政策から生活重視の政策への転換が行われつつある。生活重視となれば、生活に身近な地方公共団体の果たす役割への期待が高まるのは当然であろう。さらに、中央集権的な行政の結果、首都圏への一極集中、地方における過疎化、地域経済の空洞化などの課題が生じており、このためにも 、地方公共団体が、迅速・機敏に、きめ細かに、しかも自立的・総合的に行動し、生活の向上と魅力ある地域づくりに邁進できるような権能と条件を備えてゆくべきである。」
それでは、地方分権で成長優先の政策から生活重視の政策への転換はなしえたといえるでしょうか。
保育が自治事務になり、住民税、財政調整交付金、など平成19年で大田区は133億円の増収。消費税の増収分は20億円。ほかにも扶養控除の一部廃止など、区民から見れば、三位一体改革後の税制改正などに伴い負担は大きくなっています。各種控除の住民税の課税標準額がかわってきたため、保育料や国保料、介護保険料などの負担もそれに伴い大きくなっています。
こうした保育や社会保障のための財源は、生活に身近な地方公共団体の果たす役割への期待にこたえられているでしょうか。
そこでうかがいます。
② 三位一体の改革で一般財源化された財政を理由に待機児問題を認可外保育所で解消してきたことで生じている区民間の不公平や保育士の処遇などの問題について大田区はどう評価していますか?その課題や問題意識についておこたえください。
平成19年以降の歳入における区民の税負担は一貫して大きくなっています。一方、企業収益、内部留保は過去最高と報じられていますが、法人税は競争力を理由に引き下げられ続けています。
大田区における法人住民税と固定資産税を原資とした財政調整交付金も、ようやくリーマンショックの落ち込みから回復傾向にあると思ったら法人住民税の国税化で国に吸い上げられるなど、大田区の財政には十分に還元されず、相対的に区民の負担ばかりが大きくなるかたちです。
大田区は、平成28年度予算についてその編成過程を公表しています。それによれば、当初要求額、2605億円に対し、計画財政部長査定と区長査定の二度の査定を通じ、予算案が2574億円になったと書かれています。
財務省のHPに次のような解説を見つけました。- 大田区議会議員奈須りえ
- フェアな民主主義を大田区から



