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入国拒否・長期拘束の末、イルカ漁反対の活動家で――『ザ・コーヴ』主演者を強制退去

イルカ漁に反対する活動家として知られ、2009年には和歌山県太地町における同漁の実態をテーマにして公開されたたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』で主演を演じた米国人のリック・オバリー氏(76歳)が1月18日に入国した際、成田空港で東京入国管理局によって入国を拒否。19日間拘束された後、2月5日になって強制退去処分を受けた。

オバリー氏はもともとイルカの調教師で、「日本のイルカを救おう」と称した団体のディレクターを務め、米国内外に日本のイルカ漁中止を求めるキャンペーンを展開。この映画を見たキャロライン・ケネディ駐日米国大使も、イルカ漁に対して「懸念」を表明したとされている。

自身が創設した米国の団体「ドルフィン・プロジェクト」のホームページによると今回、成田空港に到着後、(1)太地町に滞在する反捕鯨の環境保護団体「シーシェパード」と関係を有している(2)観光ビザで入国したが、単なる観光とは判断できない――等の理由で、入国を拒否されたという。

次いで、空港内の入管の拘禁施設に入れられたが、その際にオバリー氏は一部の報道機関による電話インタビューで、「私は政治犯だ。日本政府内には、『イルカに対する戦争』に反対を唱える人々を弾圧しようとする上層部がいるのだと思う」と述べていた。

またオバリー氏は、入管当局が「観光目的で入国するとウソをついた」と非難している件については、「以前も観光で入国している」と説明。「私は(日本で)法を犯してはいないし、入管当局にウソを言ってもいない」と主張している。さらに、「これは言論の自由に対する侵害だ」としながらも、「それでも日本に対する私の愛着は揺るがない」と強調していた。

入管当局は「個別のケースについては答えられない」としているが、過激な行動で知られる「シーシェパード」との関係については、オバリー氏は以前、シーシェパードの顧問会議に名を連ねていたが、現在、そこから削除。また昨年、和歌山県那智勝浦町内で旅券不携帯容疑で逮捕されたほか、レンタカーでの交通事故を起こしているが、イルカ保護運動では平和的なやり方を貫いている。

【入管の措置は「世界の汚点」】

今回のオバリー氏の強制退去について、日本沿岸のイルカやクジラの現状調査と保護を求めている市民団体「イルカ&クジラ・アクション・ネットーワーク」の倉澤七海代表は、「入管のやり方はあまりにひどすぎる。強く抗議されるべきだ」と怒る。

倉澤代表は、「オバリー氏の熱心さは評価します。しかしながら私たちの立場は、国内でもっとイルカ漁問題を論議できる基盤をしっかり作るといった国内対応をまず優先します。それ抜きに、『かわいそう』といった次元で海外への発信を重視するオバリー氏の方法とは、残念ながら一致しません。これでは余分な国外との摩擦が生まれかねず、そのため、共同歩調は取っていません」と指摘。その一方で、「海外の人々も、日本のイルカ漁に抗議する権利はあるはず。この運動に関して何の違法行為も暴力的な行為もしていないオバリー氏を強制退去させるとは、いったいこの国には言論の自由があるのかと言いたいと思います。今回のことで、日本は世界的に見たら汚点を残したのではないか」と述べる。

さらに今回、オバリー氏の代理人となった高野隆弁護士も、前述の「ドルフィン・プロジェクト」のホームページで抗議文を掲載。

「オバリー氏が入国目的とした『旅行』とは、『観光』だけの意味だけではなく、たとえば虐殺やホロコーストの現場を訪れるといった行為も含まれる」と強調しながら、「『ザ・コーヴ』の舞台となった太地町や、イルカ業の現場を訪れるのは、正当な『旅行』として見なされるはずだ。日本をオープンで民主的な国だと信じていた人々は、今回の件でこんなことが起きるのかとわかってショックを受けるに違いない」と、入管当局の対応を強く非難している。

(成澤宗男・編集部、2月12日号)

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