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関西電力高浜1・2号機 〜 『40年超』は例外的措置なのか?

 今朝未明の日本経済新聞ネット記事では、原子力規制委員会が昨日、運転開始から「40年」を過ぎた関西電力高浜原子力発電所1・2号機(福井県)について、再稼働に必要な安全審査の合格を内定した、と報じた。

 2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間は原則として「40年」に制限されたが、原子力規制委が特別に認めれば「60年」まで延長できることとされている。田中俊一委員長は再稼働に向けて「第一関門をクリアしたことは間違いない」と述べたとのこと。

 この記事では、「原則40年の運転期間に限る制度は、設備の老朽化による原発事故を防ぐ目的で導入された。延長を認めることに対しては、制度の形骸化を招くとの声もある」と書かれている。

 しかし、この「40年」から「60年」への延長は、本当に例外的措置なのだろうか?

 日本の「40年」ルールは、米国の制度を参考にしている。

 私は昨年8月、東京電力改革監視委員会委員長のデール・クライン氏(米国原子力規制委員会(NRC)の元委員長)、福島第一原子力発電所の汚染水対策などに関して様々な助言を行ってきたレイク・バレット(NRCの元幹部;1979年の米国スリーマイル島原発事故の現地対策ディレクター)と対談した。 その時の「40年」ルールに関する指摘は以下の通り。端的に言うと、「40年で閉鎖」に科学的根拠はなく、重要なのは期間ではなく安全の確保だということ。

(1)米国では40年で閉鎖することを原則としていない。NRCには60年まで稼働させることに関する評価プロセスが確立している。40年は一つの節目にすぎない。(註:このインタビュー時点で、米国の稼働中原発は99基、うち60年までの延長が承認済みなのは73基。)(2)安全やリスクという観点からは、39年でも41年でも同じ。リスク管理が重要であり、40年が妥当かどうかの証明は事業者側が行うもので、NRCがそれを科学的に審査し、合否を判断。40年は厳密な数字ではない。

(3)「30年」の根拠は、当てずっぽうだ(“It was a guess.”)。米国で原子力発電が始まったのは1950年代だが、当時まだ新しい技術でよくわからなかったので、他の産業分野を参考にして原発プラントに対しては「40年分の許可」とした。この「40年」には科学的根拠はない。どんな年数でも構わなかったが、保守的な数字として選ばれたのが40年。投資回収期間を考えた場合、1950年代の頃の感覚としては、40年程度であれば納得感があったということ。

(4)米国では、事業者が稼働させたい期間を申請し、それに見合った対策が講じられているかどうかを見る。100年でも1年でも、60年でも40年でも30年でも、規制当局としては構わない。申請した期間を安全に運営できることを証明すれば良い。100年ではコストが莫大になり、1年では投資回収できない。そうこうしているうちに、だいたい40年くらいが一般的なものとなった。これは、規制するNRC側ではなく、規制される事業者側の発意だ。

(5)延長期間として認める「20年」にも、科学的根拠はない。これも保守的な数字。

(6)今は、費用便益を勘案しながら60年を超えて80年という可能性が探求され始めている。

 尚、全文は、拙稿(http://diamond.jp/articles/-/77976)を参照されたい。

画像を見る

(出所:2016.2.25 日本経済新聞ネット記事

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