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焦点:誤算の不動産株、住宅価格高騰でマイナス金利効果広がらず

[東京 23日 ロイター] - 不動産株が軟調だ。日銀が導入したマイナス金利政策の恩恵を最も受けるとみられていたが、マンション販売の動きに大きな変化は見られず、「当てが外れた」との声も市場では漏れる。

資材や人件費の高騰でマンション価格が上昇、もともと低かった住宅ローン金利が小幅に低下しても、爆発的な住宅需要の増加とはならないという冷めた見方が広がっている。

<2月の不動産株、日経平均より大きい下げ>

日銀が1月29日にマイナス金利政策の導入を決定した際、最も期待感が高まったのは不動産株だった。

1月28日終値から、日経平均<.N225>が直近高値を付けた2月1日までの2営業日で不動産<.IRLTY.T>は15.0%高。上昇率は東証33業種でトップとなった。

しかし、その後は大きく下落。2月1日終値から23日までは13.5%安と日経平均の10.1%安を上回っている。

個別でも、三井不動産<8801.T>・三菱地所<8802.T>・住友不動産<8830.T>の上位3社はそろって13─14%安。建設関連では住友林業<1911.T>が18.4%安、長谷工コーポレーション<1808.T>が30.6%安と下げがきつい。

その背景には、不動産セクターに対するマイナス金利の恩恵は限定的との見方が広がってきたことがある。「景気減速や円高傾向など外部環境が厳しくなっており、金利が少々低くなった程度では、住宅販売が増加するのは難しいとの認識が徐々に浸透してきた」(岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏)という。

<価格高騰で販売減>

実際、マンションなどの販売は低調だ。不動産経済研究所が22日発表した2015年のマンション平均価格は、前年比プラス7.2%の4618万円と大きく上昇。その一方で、発売戸数は前年比マイナス6.1%の7万8089戸と約23年ぶりの低水準となった。資材や人件費の高騰が住宅価格を押し上げたことで販売が落ち込んでいる。

3メガバンクのうち、他行に先駆けて15日に住宅ローン金利の引き下げを発表した三井住友銀行の場合、主力の10年固定型(最優遇金利)は足元で0.90%。1月末時点に比べ0.15ポイント低下している。

だが、もともと低い水準からの低下であり、市場では、金融機関がこぞって住宅ローン金利を引き下げたとしても、住宅価格の高騰を打ち消すような効果は限定的との見方が広がっている。

今年1月の首都圏マンション発売戸数(不動産経済研究所)は、前年同月比11.0%減の1494戸。契約率は同16.3ポイント減の58.6%となった。

ゴールドマン・サックス証券はレポートで、季節的な要因などを考慮しても「50%台の契約率は低い水準」と指摘。株価調整による資産効果のはく落や、国税庁による節税対策マンション購入への監視強化などの動きが、高価格帯マンションの購入意欲を後退させた可能性があると分析している。

日銀のマイナス金利導入後となる2月の住宅関連データはまだ明らかになっていないが、大和ハウス工業<1925.T>によると、マイナス金利の導入が決定してからも、住宅展示場への来客数など「大きく顧客の動きが変わったということもない」(広報企画室)という。

<業績にも不透明感>

日銀の黒田東彦総裁は22日午前の衆院予算委員会で、マイナス金利の導入以降、国債のイールドカーブが全体的に下がり、貸出の基準金利や住宅ローン金利なども低下していることから「金利面での効果はすでに表れている」と指摘。

こうした実質金利の低下が今後、実体経済に波及し「経済活動にもプラスの効果があると確信している」との見解を示している。

ただ、住宅価格の上昇に逆資産効果という悪条件が重なれば、せっかく低金利となっても、住宅購入層への恩恵は限られてしまうとの見方が、マーケットでは多数派を形成しつつある。

藍沢証券・投資顧問室ファンドマネージャーの三井郁男氏は「(不動産業界において)これまではリーマンショック後の安い時期に土地を仕入れていたため、大きな粗利が出ていた。だが、景気回復で地価自体が上昇し、利ざやを稼げるような土地が見つかりにくい状況になっている」と分析。

マクロ景気への減速懸念が広がるなか、オフィスビルの賃料水準の伸びも力強さに欠けており、不動産各社の収益も伸び悩む恐れがあるとみている。

不動産大手3社のうち、三井不動産と住友不動産は15年4─12月期で過去最高益を更新した。三菱地所も通期では最終増益を見込んでいる。だが、先行きへの不透明感は一段と濃くなっており、株価の上値を抑えている。

(長田善行 編集:伊賀大記)

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