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シリアをめぐる米・ロの暫定合意

この数日だけでも、トルコのアンカラでのテロ事件(トルコ政府のPYGの犯行との発表後、クルド人武装組織「クルド解放のタカ」(TAK)が犯行声明発出)、シリアのダマスカスおよびホムスでのテロ事件(「イスラム国」(IS)が犯行声明発出)と、市民を巻き込んだ犯行が頻発している。

問題の根底にはシリア内戦が深くかかわっている。

その内戦の停戦に向け、再び米国とロシアが外交を展開している。

2月21日、米・ロはシリアでの敵対行為を停止することで暫定合意をし、その後、首脳協議を経て関係国・組織との合意を図ろうとしている。

2月19日、デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表はジュネーブでの和平会議を開催するには10日の準備期間が必要であると述べた。

そして、交渉のための交渉ではなく、真の和平交渉が必要であると強調した。

「真の和平交渉」については、(1)人道支援の継続、(2)停戦に言及があった。

現在の米・ロシアの停戦に向けての積極的な動きは、それに協調した動きといえよう。

一方、シリアのアサド大統領は、スペイン紙「エル・パイス」のインタビューにおいて、軍事作戦停止の条件として、「テロリスト」へのあらゆる兵站支援を中止することを挙げた。

ここで問題となるのは、アサド政権が反体制派勢力をテロリストと認識しており、トルコやサウジアラビアが支援している反体制派組織が含まれることになる点である。

マスメディアの報道でも、今回の米・ロの暫定合意は戦闘当事者抜きのものであり、人道問題、停戦の見通しには悲観的との論調が多い。

国際関係の理論的にみれば、米・ロの動きは、規範を形成した上で関係国・組織の「同意」を求める手法といえる。

一方、政策学の合意形成論の観点では、関係国・組織の熟議を経て「不本意ながら合意」するという諸条件をつくっていくことの方がよりよいといえる。

パワーバランス論、抑止論に基づいて政治を行おうとする指導者にとっては、トップダウンで決めたことへの「同意」を得ることを志向するのだろう。

しかし、国境を挟む両側の文化の相違、地域間の結びつきを認識する指導者は、ボトムアップの合意を志向する。

国家間関係を研究している者が世界戦争に警告を鳴らすことは意味がある。

その一方、地域研究者は、「国家という単位」から距離をとり、地域や非政府組織、市民生活の観点から語るべきことがある。

その一人として、本日より、テロが起きたフランス、そしてシリアからの難民が大挙して押し寄せ、かつテロの対象となっているトルコを見てきます。

少々の不安もありますが、地域を研究する者として、人びとの中に身を置きたいと思います。

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