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dTVオリジナルドラマ「裏切りの街」は地上波にできない面白さに満ちている

Netflixが昨年9月に日本でサービスを開始して、定額映像配信の世界が活気づいている。定額配信自体はNetflix上陸以前から日本にもあったものだが、Netflixが既存の他業者と違うのは、オリジナル作品への力の入れようだ。Netflix製作のオリジナルドラマシリーズはエミー賞を受賞したり、昨年は映画「ビースト・オブ・ノー・ネイション」も作っている。オスカーノミネートは惜しくも逃したが、非常に評価の高い作品だ。

Netflixは、日本でのサービス開始とともに国内でオリジナル作品を投入してきた。国内ではまだサービスインしていないのに、もうコンテンツを作る動きがあるのかとその展開の速さに関心したが、その2作「テラスハウス」と「アンダーウェア」は正直あまり話題にはなっていない。

WIRED日本版編集長の若林氏は、同社開催のイベントに日本支社の代表取締役社長グレッグ・ピーターズを招いているが、そのイベント後のコラム記事にこう書いている。

日本ローンチのひとつの目玉として、フジテレビとNetflixが6月17日に共同制作を発表したのは、「テラスハウス」の続編と、下着メーカーを舞台にしたオリジナルドラマ「アンダーウェア」というものだった(フジテレビで2014年に放映された「ファーストクラス」がみんなの頭をよぎったはずだ)。
別にこれらのコンテンツが悪いとは言わない。「ファーストクラス」なら、ぼくも喜んで観たクチだ。しかし、それは期待していたものとは、やっぱりちょっと違う。なぜなら、それは期待していたはずの「オルタナティヴな何か」ではなく、地上波の、よく言えば延長線、悪く言えば二番煎じに、どうしたって思えてしまったからだ。
ぼくらは「Netflix日本上陸」に期待していいのだろうか? いまのところYesと言おう « WIRED.jp


このイベントが僕も参加させてもらったのだが、始まる前からそんなにdisらなくてもいいじゃないかと思ったが、まあ言いたいことはわかるし、一部共感する部分もある。テレビにできることはテレビにやってもらえばいい、わざわざネット配信の会社にまで同じものを作ってもらってもコンテンツは多様化しないし、コンテンツの質を高める競争にもならない。

ローンチしてまだ約半年なので、まだまだこれからなのだろうが、他の定額配信事業者もオリジナル作品を製作し始めている。現在日本国内で映像定額配信(SVOD)サービスで会員数が最も多いのはdTVだ。そのdTV、なかなかに野心的なオリジナル作品を作っている。
これは地上波にはできない作品であろう。鬼才三浦大輔監督作「裏切りの街」である。


地上波にはできない内容をネット配信でやる意義

映倫審査ではR15+がついているだけあってハードな絡みのシーンもある。激しい性描写はシンプルに現在の地上波にはない魅力の一つだ。低予算で撮影されているが、役者の芝居が素晴らしくてのめり込んでしまう。

池松壮亮演じる無気力なヒモ男が、出合い系サイトで亭主に不満のある女(寺島しのぶ)と出会う。男は彼女に食わしてもらっている。女は亭主の顔色を伺いながら生きている。出会ってからの二人はそれぞれのパートナーとの関係にも変化が訪れるが、その変化が二人とも合わせ鏡のように似通った展開をする。男が彼女ともめれば、女のほうでも亭主ともめる。男の浮気がバレそうになれば、女のほうでも亭主に疑いの目を向けられるなど、まるでどこかで運命で繋がっているのではないかと思わせる展開が見事だ。

映像のルックはテレビドラマよりも映画に近い。監督の三浦大輔は元々演劇の出身だが、2010年の映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」と2014年の「愛の渦」で映画界でも大きく注目された存在だ。オリジナル作品でこうした才能を起用するあたりかなり大胆な試みだ。愛の渦など典型的だが、テレビ業界で扱えそうな才能ではない。こうした才能に活躍の場を与えられるのが、ネット配信の存在意義でもあると思う。


Netflixも又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」の映像化では、映画監督の廣木隆一や、沖田修一などの映画界の才能を起用している。才能ある映画監督の活躍の場が増えるのは嬉しい。「裏切りの街」はその先鞭をつけた作品だ。映画ファンにとって見る価値のある作品だ。


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