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マイナス金利に抱くモヤモヤ

日銀が導入したマイナス金利政策について、あるマスコミの世論調査で割が「景気回復は期待できない」と答えた。景気回復に魔法の杖など存在しないことを、多くの国民が理解し始めたからだろう。そして、アベノミクスの限界についても多くの国民が気付きつつあると感じる。

3年半前の安倍政権誕生以降、どちらかというと日本経済については楽観的に語られることが多かった。円安で企業業績は軒並み回復し、株価は右肩上がりで上昇。政府の要請を受けた大企業は賃上げに前向きに取り組んできた。

 中小零細企業の業績やそれらの企業に従事する労働者の賃金はなかなか上がっていないという声は根強かったが、いずれ安倍晋三首相のいう「トリクルダウン」、つまり大企業から中小零細企業に好景気の波が波及していくというだろうと考えていた人は多かったはず。ところが、ここにきてそうした人々まで首をかしげるようになった。その決定打が今回のマイナス金利ともいえる。

 今朝の日経新聞に興味深いコラムが載っている。ベテラン編集委員の書いた核心「『不思議の国』のマイナス金利」という記事だ。多くの国民がマイナス金利政策に居心地の悪さを抱いているとして、その原因は「政策金利をマイナスまで押し下げざるを得ないほど、日本経済は厳しい事態に直面しているのか、と感じたからだ」と指摘している。


 日銀がマイナス金利に期待しているのは円高の抑制や株価の下支えだが、日銀の政策決定会合では9人のうち4人の審議委員が反対に回った。そしてマイナス金利の導入決定後、為替相場は円高、株式市場は株安が進んだ。マイナス金利が期待されていないのと同時に、海外相場の影響を強く受けたからだ。

結局、日本政府がどうあがいても、足腰が弱いままでは海外の影響を受け続ける。それを避けるには、日本経済の潜在成長率を上げるしかない。ところが潜在成長率を上げるためのアベノミクス第三の矢、つまり成長戦略や規制緩和についてはかけ声すら聞こえなくなってしまった。

ここ1~2年の自民党の動きを見ていると、あたかも「日本経済は復活したのだから、昔の自民党的なやり方に戻そう」といわんばかりだ。多くの国民は景気回復を信じてそうした動きを見過ごしてきたが、今後はそうもいかない。国民がきちんと監視していないと、機能しない党だからだ。

かといって、野党再編にも期待できない。最近、「反安保」を旗印とした野党結集の記事をよくみかけるが、国民のニーズはそこにないと感じるからだ。多くの国民は野党に安保法案の対案を示してほしいのではなく、経済政策の対案を示してほしいのだ。野党議員の多くも、左派マスコミもそこを勘違いしている。

もうすぐ参院選。そして恐らく年内に衆院選も行われる。深い経済論戦を期待したいという思いと、どうせ期待できないんだろうなというあきらめの思いが頭の中をグルグル回っている。

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