「大雪の中のアイスクリーム売りみたいなもの(like a man selling ice creams in a snowstorm)」と日銀・黒田総裁のマイナス金利政策導入のタイミングの悪さを指摘するのは、英FTのRobin Harding。
画像を見る発表後にアメリカの弱い経済指標、さらにECB・ドラギ総裁の「デフレに屈しない(no surrender)」発言があり、円安も株高も帳消しになったというのです。タイミングの悪さを大雪のアイスクリーム売りに喩えるのはおもしろいですね。
円高阻止の市場介入ではなく、日銀のいっそうの緩和、さらに財政出動によって景気を刺激しない限り、アベノミクスはもはや終わりだと指摘。
原文は"it will be RIP Abenomics, 2012-2015"です。RIPはRest In Peace(安らかに眠れ)なので、このままではアベノミクスは2015年に死んだことになると言いたいようです。
景気の低迷に苦しむのは欧州も同じ。スイスに本社がある世界最大の食品メーカーのNestleと言えばKitKatやPerrierなどが有名ですが、3年連続で売り上げ目標を達成できなかったとFT。数少ない明るい材料は、ペットボトル入りの水の販売が伸びていることだそうです。
CEOのPaul Bulckeは「とりわけ欧州では、小売業者が神経質になっていて店頭価格を引き上げるのが難しい」と語っています。物価が上がらない現状を心配。ブルケCEOはお会いしたことがありますが、グローバル企業でありながら、ローカルな味や文化にこだわりを持っていました。「グローバル企業はあってもグローバル消費者はいない」という発言が今も印象的です。
画像を見る(2012年、都内で)
FTは、資源価格の急落により、ネスレが特に欧州と日本で商品価格を上げにくいと指摘しています。
その資源価格の典型が原油。The Economistが、サウジアラビアとロシアが原油生産量の据え置きで暫定合意した場所のDohaに着目。
カタールの首都ドーハはサッカーの「ドーハの悲劇」で有名ですが、WTO=世界貿易機関のドーハ・ラウンドでも有名。15年かけてまとまらず事実上終焉したことから、 inauspicious place for deal making(交渉合意には不吉な場所)と表現しています。The Economistのグラフは去年の生産量。
画像を見るWSJには据え置きの基準となることし1月の生産量がありました。
画像を見るサウジもロシアもイラクも2月は、かつてない生産量を誇っています。据え置いてもほとんどインパクトはありません。
The Economistは、サウジもロシアもカタールのトリックにひっかかったという見方を紹介しています。両国とも相手国が減産に同意したと思って交渉のテーブルについたら、そうではなく、ここで蹴ったら、原油価格が急落するし、どうせ失敗してもイランの責任にすればいいや、ということで据え置きに応じた、とか。
WSJによると、今週の注目点はこの5つ。
①2/25(木)の耐久消費財統計
②2/26(金)の個人消費に関する統計(1月)
③2/26(金)に10-12月の米GDPの改定値(速報は0.7%の伸び)
④2/23(火)のケースシラー住宅価格指数
⑤2/23(火)の消費者信頼感指数
ところで、Snow stormとice creamで検索したら、Washington Postの2011年1月26日一面の初雪の写真が引っかかりました。
画像を見る目が釘付けに!説明によると、どうしてもアイスクリームが食べたくなった男性がコートもはおらずに近くのお店に行ったところ、帰り途は大雪に見舞われ、ダッシュしてオフィスに向かう場面。
ということで、大雪でもアイスクリームを買う人はいるので、Robin Hardingの比喩に立ち戻ると、マイナス金利政策のタイミングをよしとして、評価する人もいるかもしれません。にしても、この写真おもしろいわ^_^;