サウディの最近のアラブ世界における積極的な国益追及政策の一環か、逆に必ずしもその政策がうまくいっていない焦りの反映かはわかりませんが、サウディは19日レバノン軍に対する30億ドルの支援(仏製武器の購入に充てられる由)を停止したとのことです。
これは、アラブ連盟やイスラム諸国会議で、テヘランのサウディ大使館、マシャドの総領事館攻撃に関して、イラン非難の決議を支持しない等、サウディに対する敵対行動をとったことに対する反応の由。
また、それ以外でもレバノン治安維持部隊(内務省関係)に対する10億ドルの支援も停止した由。
説明によると、レバノンの外相はヒズボッラー系の男で、サウディとしてはヒズボッラーがレバノンの外交を乗っ取ったとして、問題にしている由。
これに対して、レバノン首相はレバノンとしては、サウディの支援を大きく評価してきており、支援停止の決定の再考を要請すると表明した由
この件については、UAE及びバハレンもサウディの措置に対する全面的支持を表明した由
http://www.alquds.co.uk/?p=485400
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2016/2/19/بيروت-تدعو-الرياض-لإعادة-النظر-بوقف-مساعدات-الجيش
http://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2016/02/19/-والإمارات-تؤيد-السعودية-في-مراجعة-علاقتها-بلبنان.html
レバノンについては、国境でのイスラム過激派と治安部隊の衝突とか、ベイルート南部でのテロとか、ベイルートのごみ問題等が問題にされていたが、サウディとの関係の報道はあまりなかったので、若干唐突な感じを受けています。
レバノン軍は、伝統的にキリスト教徒が主要な部署を抑え、レバノンが親西欧、親王政湾岸国家の政策をとる上での重要な要素であったとおもいますが(それゆえにサウディが軍と治安部隊合わせて40億ドルもの支援をしたと思うが)、最近ではシリアの影及びヒズボッラーの影響力増大で、大統領はキリスト教徒ではあっても、親Syriaの立場をとらざるを得なくなっていて、その辺がサウディのいらだちの背景かもしれません。
また、大統領の後任が長いこときまらないこともあって、レバノン政局も非常に混乱しているところ、この辺でくぎを刺しておこうという思惑もあるのかもしれません。
記事
- 2016年02月20日 11:38