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ECB追加緩和検討の背景-銀行システムへの圧力、ユーロ安効果剥落、投資回復の遅れへの懸念

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■要旨
  1. ECBが、2月18日、1月20~21日の政策理事会の議事要旨を公開した。
  2. 1月理事会で、追加緩和の決定を見送る一方、3月10日に予定する理事会で追加緩和を強く示唆したのは、世界市場のリスクが現実化しつつあり、原油安の影響が一時的なものに留まらない兆しが見え始めたなどの認識に基いていたことがわかった。
  3. 1月理事会後も経済データが急激に悪化してはいないが、世界的な金融市場の不安定でボラティリティの高い動きがユーロ圏の銀行システムを圧迫、ユーロ相場の圧力となり、投資回復を通じた潜在成長率引き上げをさらに困難にするおそれは高まっている。
  4. 金融政策の効果が限られるとしても、3月にECBが追加緩和に動くことはほぼ間違いない。1月理事会では具体的な選択肢は議論されていないが、12月の段階の議論を踏まえると中銀預金金利のもう1段階の引き下げが有力と考えられる。
  5. 理事会内に、マイナス金利は資産買入れよりも副作用が小さいとの見方があるが、副作用は時間の経過と共に拡大する可能性があり、注視する方針も示されている。マイナス金利政策で追随した日本としては、今後の動きが気になるところだ。



■目次

・ECB、3月追加緩和方針で一致した1月20~21日の政策理事会議事要旨を公開
・追加緩和方針の表明は現実化しつつあるリスクへの対応
・1月理事会後、経済データに急激な悪化は見られない
・銀行システムへの圧力、ユーロ安効果剥落、投資回復の遅れへの懸念は広がる
・3月は効果と副作用を再検証した上で

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ECB、3月追加緩和方針で一致した1月20~21日の政策理事会議事要旨を公開

欧州中央銀行(ECB)が2月18日、1月20~21日の政策理事会(以下、1月理事会)の議事要旨を公開した。
ECBの1月理事会は、16年に入ってからの世界的な株安(図表1)と原油安の連鎖が止まらず、ユーロ圏内の国債市場では、「質への逃避」から全体として低利回りが続いたものの、対ドイツ国債のスプレッドが再度拡大(図表2)する兆候が表われる中で開催された。為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測の後退を背景に急激なドル高修正の兆しもあった(図表3)。同月内に予定されていた連邦公開市場委員会(FOMC、26~27日)、日銀の金融政策決定会合(28~29日)に先駆けて開催される主要中銀の理事会としても注目を集めた。

1月理事会では、12月に中銀預金金利の10bpの引き下げ(図表4)と国債を中心とする資産買入れプログラムの半年間の期限延長を決めたばかりであり、追加緩和は大方の予想通り見送ったものの、3月10日に予定する理事会で「金融政策のスタンスを見直し、再評価する必要が生じた(ドラギ総裁)」と追加緩和を強く示唆した。ECBの追加緩和方針の表明が、1月29日の日銀のマイナス金利導入の決定につながった部分は少なからずあると思われる。

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追加緩和方針の表明は現実化しつつあるリスクへの対応

1月理事会の議事要旨によれば、「必要に応じて行動するだけでなく、12月理事会後の金融情勢のタイト化の傾向を相殺するための備えはあることを強調」し、次回理事会での追加緩和を示唆する方針は、「金融政策は効果を及ぼし」、世界市場の動揺による耐性を高めているものの、(1)「新興国市場の成長見通しの不確実性、金融市場のボラティリティ、地政学的リスクが高まるリスクが現実化」しつつある、(2)原油価格の下落は内需を支える要因だが、世界景気の下振れ懸念で効果は減殺される、(3)物価の押し下げ効果(図表5)が一時的でなく、「賃金の伸びが期待を下回り、インフレ期待が下振れるなど、二次的な影響を及ぼす兆しを見せ始めた」などの認識に基づくものであったことがわかる。

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