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結婚しやすさに『23区格差』あり!〜男性超過の台東区、女性超過の目黒区 - 池田利道

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編集部より:東京23区を様々なデータで解析、パブリック・イメージとは異なる実相を浮き彫りにした『23区格差』 (中公新書ラクレ)が話題の東京23区研究所所長・池田利道氏に寄稿いただきました。

男女比はそもそも“アンバランス”である

 女性を100としたときの男性の割合、これを「性比」という。国連の推計による2010年の世界人口の性比は101.6。この数値は、「男女がほぼ半分ずつ存在している」ことを意味する。そんなのあたり前じゃないか、と思われたかもしれない。どっこい、性比とは、生物学的要因はもとより、政治・経済・社会的な要因によって大きく変化するものなのである。

 たとえば5歳未満に絞って性比をみると、全国、東京23区ともに104.8と男性の方が多い。男の子の方が多く生まれるのは、男性は女性より死亡率が高いことを見越した「神の摂理」によるものだろう。実際、「神の摂理」そのまま、年齢が高くなるに従って性比は低くなっていく。かつては、ほぼ結婚適齢期で性比がバランスしていたが、医療水準が向上した今日では、全国平均で見ると50歳を境に100を下回り、女性の方が多くなる。ちなみに、長寿国である日本の性比は94.8。東京23区なら97.3と女性の方が多い。

現在の東京は「女性」超過

 ここまでは常識の範囲内に収まる話だろう。しかし先述したように、実際は政治や経済、社会的要因によって、ときに性比は大きく変化する。たとえば、お隣の中国。その性比は2010年に104.9。10歳未満の子どもに限れば118.9と、男性が女性を大きく上回っている。このいびつな状態は、「ひとりっ子政策」がもたらした結果と思われる。経済・社会的要因の例としては、サウジアラビアが典型。同国の性比は130.8(2012年推計値)。さらに30代~50代に限ると、なんと176を超えてしまう。完全な男性超過。これはオイルマネーを目指し、他国から出稼ぎ労働者が流入してくるからである。

 前置きが長くなった。東京23区を見てみよう。仕事の機会が豊富な東京も、かつては男性優位の社会だった。第1回の「国勢調査」が行われた1920(大正9)年の東京都(当時は東京府)の性比は112。その後も長く男性超過の時代が続く。しかし2000年に、東京都の性比は100を下回り、ついに女性の方が多くなる。23区に限ってみれば1990年から女性過多が続いている。

男性超過1位の「台東区」、女性超過1位の「目黒区」

 そのような背景のもと、今現在の東京23区の性比は、かなり大きな違いが生じている。 図1に23区別の性比をまとめてみた。男性超過の台東区と女性超過の目黒区の間には、実に22ポイントを超える差があることがわかる。

 なぜ、23区にはこんなに男女比のアンバランスさが存在しているのだろうか。台東区の性比が飛び抜けて高い背景には、圧倒的な男社会である山谷の存在が無視できないと思われるが、23区全体として、もっと正確な答えを探るためには、性比が低い区のほうをみていった方が分かりやすい。

23区で一番性比が低いのは目黒区だ。以下、港、渋谷、文京、世田谷と続く。いずれもいわゆる山の手に属し、各種調査の「住みたい区ランキング」上位のブランド区なのはみなさんもお分かりだろう。ぜひ「港区904万円、足立区323万円(所得水準)」のオビの文字が躍る拙著、『23区格差』をご覧いただきたいが、データから見てもこれらの区は、高所得、高学歴、高職種の「三高」を体現する、いわゆるあこがれのまちだ。

23区で性比が生まれる理由

家族で暮らしている場合、基本的には男女がカップルで生活している。このため、性比の差は「ひとり暮らし」によってもたらされることになる。そしてその大部分は未婚の独身者が構成している。彼らの場合、「ブランド区に住みたい」と望む気持ちがほとんどの男女に共通して存在するだろう。しかし、それを実現するためには多くのハードルがある。たとえば勤務先までの経路や距離であったり、家賃や買い物・飲食などの物価であったり、それは人によってさまざま。

しかし女性は、このハードルを軽々と乗り越える。それは治安や環境を優先する、という考えなのかもしれないし、単なるブランド志向かもしれない。とにかく希望を実現に結びつける実行力が備わっているのは確かだろう。

一方の男性。こちらは希望をあくまでも希望としてとどめ、実利を優先する傾向が強いようだ。実際、性比が高い区を見れば、大田区など、ものづくりの蓄積などが豊富で地元雇用力が高いまちや、豊島区などのように都心への通勤が便利なわりに地価・家賃が安いまちなど、まさに実利優先の区がズラリと並んでいるのがよくわかる。

 男と女の間に横たわる本質的な違いがこの性比の差を生んでいる。そう考えてみれば、なんとも興味深くはないだろうか。

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