記事

「この経済政策が民主主義を救う」を読む

松尾匡(ただす)の「この経済政策が民主主義を救う〜安倍政権に勝てる対策」(大月書店・1600円)という、気になるタイトルの本を取り寄せて読んでみました。安倍政権に勝つためには、安倍政権を凌駕する経済政策が必要という、ユニークな視点で「自由を守る最後のチャンス、あきらめるのはまだ早い!」と呼びかけています。

 安倍政権への支持率が、国民の繰り返しての抗議行動や識者の警告にもかかわらず、なかなか落ちないでいるのはなぜなのか。それは、経済政策についてはまあまあよくやっている(ように見える)、それに対して野党側には適切な経済政策があるのか、また不況が来て悲惨な生活をさせられるのはまっぴらだ、といった不信感が広く大衆の間にあるからではないか、というのです。

 識者はアベノミクスを批判して、その欠陥や失敗の予告などをするのですが、現状の失業率・求人倍率や賃金動向といった指標をうまく使えば、マスコミの宣伝効果もあって、日本の経済状態は、民主党政権当時よりも良くなっている(実際はその反対でも)という印象を、国民は持ってしまっている。そのイメージを変えるためには、安倍政権を倒したら経済も暮らしも良くなるという、力強いメッセージが欲しいのです。

 そこで著者が提唱するのが「大きな政府による大胆な財政出動」です。そもそも社会主義の原点は「民主主義に基づいた政府による経済の支配」でした。それは、政府もグローバル企業に支配される新自由主義経済の対極に位置するものです。そして現代の最新の潮流として、アメリカでもヨーロッパでも、左派は復活ケインズ理論による古典派との戦いを始めていることを紹介しています。

 簡単に言うと、これは政府は貧困・失業の解消、医療・福祉の向上、子育て支援、教育への投資といった民衆の生活向上に思い切った予算を投入し、それを起点として社会の活性化を図るべしということです。そう言えば必ず「財源はどうする」という反論が出るでしょうが、富裕層への増税とか、企業の優遇見直しといった緊縮策は、必要ではあっても後回しにして、まずは国営銀行よって通貨を増発すればよいのです。失業が完全に解消するまでは、インフレは起こりません。

 国債は償還を必要としない「永久国債」としてしまう方法もあります。要するに、資本や通貨を「国民の暮らしに役立つ道具」として使いこなすことを考えれば、いろいろな選択肢があるということです。安倍政権を倒したいと思っている政治家は、経済についてのこんな考え方もあるということを、頭に入れておくといいでしょう。

あわせて読みたい

「経済政策」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    グレタさんを中年男性が嫌うワケ

    木村正人

  2. 2

    元SMAP干されるテレビ業界の実態

    笹川陽平

  3. 3

    災害に弱いタワマン なぜ建てる?

    かさこ

  4. 4

    違和感? ユニクロ社長の日本喝破

    文春オンライン

  5. 5

    消えた日本人観光客 箱根の現在

    BLOGOS しらべる部

  6. 6

    ブラックな外食業界の歪んだ美学

    幻冬舎plus

  7. 7

    札幌開催へ IOCへの反発はやめよ

    早川忠孝

  8. 8

    いじめ教師の謝罪文に非難相次ぐ

    女性自身

  9. 9

    張本氏の放言を許さぬ風潮に疑問

    中川 淳一郎

  10. 10

    自民党を助ける対案なき万年野党

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。