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メッセージアプリがメディア向けプラットフォームとして浮上、大手パブリッシャーも新規ユーザー開拓で動き出す

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10億人ユーザーのWhatsappが乗り出せば、本格化する
 パブリッシャーにとってグローバルなメディアプラットフォームといえば、これまでFacebookに代表されるソーシャルネットワークであった。ところが図10に示すように、月間アクティブユーザー数でソーシャルネットワークはメッセージアプリに追い抜かれ、差を広げられている。メッセージアプリには、既存のパブリッシャーがリーチできなかった、つまり手つかずのユーザーが多く集まっているはず。それだけに、ソーシャルネットワークを補完する形で、メッセージアプリにもグローバルなメディアプラットフォームの役割を果たしてほしいとの声が高まってきたのは当然かもしれない。

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図10 ソーシャルネットワーク 対 メッセージアプリ。トップ4の月間アクティブユーザー(MAU)数総計の推移を示している。2015年の前半に、トップ4のMAU総計でメッセージアプリがソーシャルネットワークを追い抜いた。2015年第一四半期時点でのメッセージアプリのトップ4はWhatsApp, Facebook Messenger, WeChat, Viberで、ソーシャルネットワークのトップ4はFacebook, Twitter, LinkedIn, Instagram。

 そのグローバルなメディアプラットフォームとしては、規模やFacebook傘下の点から、WhatsAppやFacebook Messengerの2大メッセージアプリに注目が集まる。特に、欧米のパブリッシャーが強く関心を寄せるのは、月間アクティブユーザー数が10億人を突破した”最もグローバル”なWhatsAppである。ところが上で紹介したように、名だたるパブリッシャが飛びついたのは、ViberやLINEであった。理由は、両メッセージアプリがメディア対応に先行して動いていたからだ。一方WhatsAppは公式にメディアサポートをしていない。それどころかプライベートなメッセージサービスならではの各種制約が課せられていた。グループのユーザー数に上限があったり、ユーザー情報が得られなかったりしている。

 ただ、Facebookなどのソーシャルネットワークからパブリッシャーサイトへの流入トラフィックが伸び悩みだした現状において、新たなフロンティアとしてメッセージアプリへの期待が日増しに高まっている。そのためか、Facebookも動き始めている。 WhatsAppはこのほど年間0.99ドルのサブスクリプション料金を廃止し、新たな収益モデルへの転換を明言している。またFacebook MessengerもAPIを公開することを昨年末に明らかにした。公式にメディアサポートする前ぶれではなかろうか。

 すでに非公式ながら、大きなイベント時の期間限定ではあるが、大手パブリッシャーがWhatsAppを使ってニュース配信した事例はいくつかある。たとえばNYタイムズは、昨年7月のローマ法王が南米を訪問した時に同行した特派員が、WhatsAppのメッセージサービスによるニュース配信を実験している(図11)。読者との対話も試した。BBCもこれまで一昨年のインド選挙や、昨年のネパール大地震などの時に、WhatsAppを利用してきた。ネパール地震の時には、WhatsAppアカウントを用いて、ニュース素材となる読者からの写真やビデオ、それに生の声を集めた。

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図11 New York Times(NYT)の特派員が、昨年7月のローマ法王南米訪問ニュースをWhatsappのメッセージサービスで配信

 そのほか、Washington PostはKiKを(図12)、独BildがFacebook Messengerを利用するなど、大手パブリッシャーの実験が花盛りだ。

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図12 Washington PostはKiKのメッセージ機能を用いてゲームやクイズを提供


 さらに外部のメッセージアプリに頼らないで、メッセージ機能を備えたニュースアプリを独自に提供するパブリッシャーが登場してきた。Quartzのスマホ向けニュースアプリは図13で示すように、チャットインタフェースでニュースを届けている。チャットボットを採用し、対話しながらユーザーはニュース記事を選んだり、クイズを楽しんだりできるようになっている。図13の例では、新しいニュースがない時間帯にアクセスしたので、クイズをしてみないかと問われ、OKをすると、「最も利用者の多い空港はどこか」との質問が出て、その後すぐにアトランタか北京かの2択が表示され、アトランタを選ぶと、おめでとうと返事が戻るとともに、今は新しいニュースがないので、もう少し経ってからアクセスしてくださいといわれる。ステッカー/絵文字なども使ったりして、楽しくニュースに接する環境を提供しようとしている。

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図13 Quartzは自前のチャットインタフェースのニュースアプリでニュースを配信


 このように見ていくと、今年はメッセージアプリがグローバル・メディア・プラットフォームに飛躍する元年となるかもしれない。これに合わせて気になる動きとして、GoogleのスマホWeb表示高速化の「AMP」をLINEやViberなどが採用していることである。近いうちにメッセージアプリから爆速表示のニュース記事に接することができるかも。もう一つ楽しみな動きとしては、Quartzも採用したチャットボットのAI化が進んでいることである。チャットに編集者が加われば良いのだが、現実には超多忙な編集者が関われる時間は限られているだけに、より賢いチャットボットの開発が期待される。

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