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米雇用統計、為替介入、米自治体破産、米投信からの資金流出、など

今日は話題が盛りだくさん。

なので、1つ1つはできるだけ軽めにしていきたいと思うんですが、あんまり雑に書くわけにもいかないので、それなりの長さになっちゃうと思いますが・・・
最近のトピックで、これは知っておいたほうがいいんじゃないか、というものが結構あるので、一気にご紹介します。備忘録と記録も兼ねて、ね。

まずは日本の為替介入でしょうか。震災後の3月18日以来の介入で77円近辺だったドル円レートは一時80円台に。でも、その後はずるずると円高が進んで現在は78円50銭近辺ですよと。今回の介入は単独です。3月の時は戦後最高値の76円25銭をつけた後の協調介入で、金額こそ7,000億円規模とさほど大きくなかったものの、何せ過去に数回しか例のない協調介入ですから、介入金額の問題ではなく、一気に円安が進んで4月6日には85円50銭近辺まで行きました。その点、今回は単独。効果は限定的です。が、今回の介入額はなんと過去最大の4.5兆円規模と見られてます。ずいぶん思い切ったものです。タイミングも米雇用統計発表前でしたし、金額もこれだけの規模というのは結構サプライズな感じだったと思いますが、結局はこの程度。

以前からお話ししているように、また、前回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/218039913.html)でも書きましたが、今の円高はドル・ユーロを避ける凄まじい金額の資金が流入している結果です。この流れを止めるのは相当な力が働かないと厳しいのではないかと私は考えています。この程度の介入では方向を変えたり、構造を変えることは難しいんじゃないかと。

円と同様に大量の資金が流れ込んでいて円よりも市場規模の小さなスイスフラン、スイスも必死です。高騰するスイスフランの一段高防止のため、緊急利下げと流動性供給を発表。政策金利を25bpsから「可能な限りゼロに近づける」とのこと。また、市中銀行からの要求払い預金量を300億フランから800億フランに増やすとのこと。介入については言及せず。

効果?一応急落しましたが、すぐにまた戻ってきて再び最高値圏です。別に金利差狙ってスイスフラン買われてたわけじゃないですからね。金利がゼロでも流れ込むお金は大して減りませんよと。

次。どんどん行きましょう。
ICI(米投信協会)の発表では、先週、米国の投信からは104億ドルの資金が流出。このうち88億ドルが米株式市場から引き揚げたことになります。MMFからはなんと1,032億ドルの資金が流出(残高は2兆5,270億ドル)。頭の片隅にでもおいておきましょう。頭の中に地球の模型を持っている人は、アメリカのところで投信の解約が1週間で8,000億円規模、MMFの解約が8兆円規模、のイメージをもっておきましょう。

次。キプロスの国債利回りがガンガン上がってきてます。10年債利回りは11%超え。キプロスの最大手銀行のキプロス銀行の中核自己資本の55%がギリシャ国債、2番手のマーフィンポピュラー銀行の中核自己資本の95%がギリシャ国債。経済規模が小さいので、あんまりニュースになってませんが、国債を市場で借り換えしていくのはキツイでしょうね。そうなると、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルに次ぐ4番目の国はキプロスか?と注目しておきましょう。

次。ブルームバーグのニュースから。

【以下、ブルームバーグのHPから引用】
8月3日(ブルームバーグ):米ニューヨーク市マンハッタン8番街に42階建てのガラス張りのビルを所有する不動産会社785パートナーズが3日、破産法の適用を申請した。
【以上、ブルームバーグのHPから引用】


アメリカで不動産会社が破たんと。資金繰りきつそうですもんね。これも頭の片隅にでもおいておくとこれから先の市場を見るうえで役に立つ日が来ると思います。
これで、REITでローンの借り換えができないものが出てきたりするといよいよ感が高まってきますね。ローンの借り換えスムーズにできてますか?大丈夫ですか?分配金だけ見てREITファンド買ってる人、大丈夫ですか?

次はロイターのニュースから。

【以下、ロイターのHPから引用】
米ロードアイランド州セントラルフォールズ市が破産申請、全米最小の州で最小の都市

 [セントラルフォールズ(米ロードアイランド州) 1日 ロイター] 全米最小の州における最小の都市として知られるロードアイランド州セントラルフォールズ市が1日、米連邦破産法9条に基づく更生手続きの適用を申請した。

 セントラルフォールズ市は、米国の景気後退(リセッション)を受けて財政状況が悪化し、財政破たんの危機にひんしていた都市の1つ。同市は年間予算1700万ドルの4倍程度に上る8000万ドルの年金債務を抱えていた。

 同市は破産法の適用申請を行ったことで米地方債市場から締め出されるリスクがあり、今回の申請には大きな代償が伴う可能性もある。

 ジョージメイソン大学マーカタスセンターのシニア・リサーチ・フェロー、アイリーン・ノークロス氏は「財政難に苦しむ地方自治体への警鐘だ。ほかの州はロードアイランド(での破産申請)を他山の石として防止策を考えるべきだ」と述べた。

 自治体の破産問題に詳しいチャップマン・アンド・カトラー法律事務所のジェームズ・スピオット氏によると、米国では1937年以降、624の自治体が連邦破産法9条に基づく破産申請を行っている。昨年は5自治体だった。
【以上、ロイターのHPから引用】


ブルームバーグのほうでも出てたので。

【以下、ブルームバーグのHPから引用】
  8月1日(ブルームバーグ):米ロードアイランド州で最貧の市、セントラルフォールズは米連邦破産法9条の適用を申請した。年金給付の履行が困難になったことを受けたもの。
  州当局者は警察や消防、公務員退職者の労働団体に対し、年金受給の減額受け入れを説得したが合意を得ることができず、1日に破産法の適用を申請した。市の破産管財人に指名されたロバート・フランダース判事が声明を発表した。同判事は労働組合との既存の団体交渉協定を否認するよう裁判所に求めたことを明らかにした。
  同判事と共に破産法適用申請の発表に立ち会ったチェイフィー知事は声明で、「現状は深刻であり、断固とした手段を用いて市を強固な財政基盤に戻し将来の繁栄を目指す必要がある」とし、「全ての納税者に低コストで質の高いサービスを提供するため、あらゆる選択肢を検討する」と述べた。
【以上、ブルームバーグのHPから引用】


自治体のファイナンスがかなりきつくなってますよということは以前からお話ししてましたが、このタイミングでこういうニュースが出るというあたりが、やっぱりなぁという感じ。これも記憶の片隅とどめておきたいニュースです。安易な楽観論とか、たまたま撮れたベストショットのような経済統計の数字をひっぱり出してきて回復だなんだと報じるものを目にした時に思い出したいニュースです。

次はちょっと注意です。3か所のニュースを出しておきます。時間ないよって方は3つ目のWSJ日本版のやつだけでもいいので読んでおいたほうがいいです。

【以下、ロイターのHPから引用】
米BNYメロン、大口預金者の一部から手数料徴収へ

 [ニューヨーク 4日 ロイター] 米信託・保管銀行大手のバンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンは今週、預金急増が負担になっているとして、平均額を超える大口預金を持つ法人部門とアセットマネジメント(AM)部門の顧客に対し、今後手数料を徴収すると通知した。

 ギリシャ債務危機や米連邦債務上限引き上げ問題といった世界経済の混乱により、同行の大口顧客がリスク資産を売却して得たキャッシュを預金口座に移す動きが加速した。こうした急激な現金の流入は、同行が負担する預金保険料を上昇させる可能性が高く、また預金は資本比率算出の基となる負債の一部であることから、自己資本比率を悪化させかねない。

 預金月間平均額が5000万ドルを超す法人およびAM部門の顧客が対象で、5000万ドルを超過する分に対して年率0.13%の手数料を課す。個人富裕層顧客は対象外となっている。

 トレーダーによると、4日の米金融・債券市場では、この決定を受けて預金者による現金の避難場所を求める動きが広がり、米財務省短期証券(Tビル)への需要が急増した。1カ月物Tビル利回りはゼロを下回る水準に低下した。

 今のところステートストリートやノーザン・トラストなど、他のカストディ(保管)銀行に随の動きは出ていない。【以上、ロイターのHPから引用】
【以上、ロイターのHPから引用】

【以下、ブルームバーグのHPから引用】
BNYメロン:法人の大口預金から手数料徴収−資金逃避の阻止狙い

8月4日(ブルームバーグ):カストディー(証券管理)最大手の米バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンは法人顧客の現金預金が「極めて大口」である場合、手数料を徴収する方針だ。安全資産と見なされる銀行預金への資金逃避を食い止める狙いがある。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジェラード・キャシディ氏はインタビューで、「このような経験は過去25年間ない」とした上で、他行もBNYに追随する可能性があるとの見方を示した。
世界経済がリセッション(景気後退)に逆戻りするとの懸念が強まり、米欧諸国が債務問題で苦しい対応を迫られる中、投資家は安全資産である銀行預金に資金を移そうとしている。
BNYメロンの広報担当者、ジョー・アイリンガー氏が電話インタビューで語ったところでは、同行は「6月の平均に基づく超過分の預金」に対して13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の手数料を徴収する。同行が顧客に送った書簡によれば、手数料は1社当たり5000万ドルを超える米ドル建て預金に適用される。「預金残高が事前の平均並みの顧客」への影響はないという。
【以上、ブルームバーグのHPから引用】

3つ目。これ秀逸です。
【以下、WSJ日本版のHPから引用】
米銀大手、大口預金に手数料導入―実質マイナス金利に

 米信託・保管銀行大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は、過去1カ月間に預金残高を大幅に積み上げた顧客に対し、来週から手数料 を課すと通知した。グローバル市場で現金が潤沢でリスク資産回避の傾向が強まるなど、さまざまな懸念が強まっているが、これに対応した措置だ。

 同行は、欧州債務危機や最近の米政府債務上限引き上げ交渉の中で、投資家や企業が金融証券市場から資金を引き揚げるにつれて、最近数週間で巨額のドル資金が同行に預託されたと指摘。平均月間残高が5000万ドルの口座を持つ預金者に対し、それを大幅に超過する預金に0.13%の手数料を課し、財務省証券(TB)1カ月物利回りがゼロを下回った場合、さらに追加的な手数料を課すと通知した。今月8日から実施するという。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの金利ストラテジスト、ブライアン・スメドリー氏はこの措置について「彼ら(BNYメロン)は過去数週間で流入したこのホットマネーを締め出そうとしているか、あるいは少なくとも預金引き受けに伴う経費を相殺しようとしているのだ」と解説した。

 実際、BNYメロンの手数料導入を受けて、マネーマーケット・ミューチュアルファンド(MMF)や金融機関は4日、手持ちの現金を急いで短期金融市場にシフトしたため、各種短期金利が広範囲にわたって低下した。例えばTB相場は上昇(利回りは低下)し、オーバーナイト物レポ金利は大幅に低下した。同レポ金利は0.08%前後で始まったあと、ゼロ%を下回った。

 オッペンハイマー社の公債取引マネジングディレクターのアラン・ドローズ氏は「この手数料導入を受けて、現金の代わりに何を保有するかを決定する方式が変化した」と語った。

 過去2週間にわたって、MMF、企業の財務担当者、投資会社は満期が1日間を超える証券類から資金を引き出し、BNYメロンの銀行口座やカストディアン(保管)銀行業務を行っているその他の銀行、例えばJPモルガン・チェースなどに現金預託し始めた。こうした銀行口座は無利子だが、連邦預金保険公社(FDIC)によって保護されているからだ。

 BNYメロンの手数料導入は、米国経済やグローバル経済が陥っているもっと広範囲な緊張を象徴する動きだ。連邦準備制度理事会(FRB)はリセッション(景気後退)と景気回復の弱さを受けて、政策金利を事実上ゼロに引き下げ、2兆6000億ドルに上る住宅ローン担保証券や財務省証券(国債)を買い付けた。この過程で、金融システム全体に膨大な現金が流入した。

 カストディバンク(保管銀行)は金融市場が混乱する際に典型的なセーフヘイブン(投資避難先)になる。これら銀行は顧客向け短期融資のための担保になる資産、現金、証券類の保護銀行として行動し、レポ市場で支払いを処理し、取引を決済する。MMF、銀行、ヘッジファンド、その他の機関投資家は短期間のうちに、カストディバンクで現金を容易に移動できる。

 しかし銀行や投資家は最近、経済見通しを懸念しているため、この現金を投資に回すのに消極的だ。他に投資先が見あたらないため、カストディバンクに預託したままにしている。

 BNYメロンのように金融機関が大量の資金流入を阻止するため、預金に手数料を導入する、つまりマイナス金利を導入したのはこれが初めてではない。1970年代末にはスイスの中央銀行が資本流入に伴うスイス・フラン上昇を阻止するため、マイナス金利を導入した。

 BNYメロンの手数料導入は、金利がゼロ近辺にある際に、大口の預金を取り入れるコストに対する懸念を浮き彫りにしている。同行は預金口座に保険を付けるため、FDICに約0.10%支払っているほか、預金が膨大に膨らむと、資本増強を迫られる可能性もある。

記者: Liz Rappaport
【以上、WSJ日本版のHPから引用】


これは鳥肌が立ちますね。今の状況をこれほど如実に表しているニュースはなかなかないと思います。お金はじゃぶじゃぶに供給されている、でも必要なところには届かない。お金が必要な人はお金が調達できず、いらん、というところに更にお金が集まる。そして、前回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/218039913.html)でも書いたように、今の市場は「お金の置き場に困る市場」なんだと思います。

次。イタリアとスペインの10年国債が利回り6%を超えてきてます。今でもラインは7%だと思うんで、7%が近づいてくるといよいよ滑走路か?という感じですが、まだそこまでは行ってません。この2カ国は滑走路に入っていざテイクオフってなった時に、支援しきれるかという問題がありますが・・・
今日は一時イタリアの国債利回りがスペインの国債利回りを超えてやや緊張感が走りました。

滑走路の話はこの辺の記事をご覧ください。
http://jovivi.seesaa.net/article/202802461.html
http://jovivi.seesaa.net/article/186815844.html

日米欧のホットな国の財政状態も確認しておきましょう。各国の財政収支と政府債務残高をそれぞれGDP比%で示してます。

画像を見る

何度見ても日本の80年以降の債務残高の伸び方は寒気がしますね・・・あ、2016年の数字はIMF予想です。下のほうにはご参考で新興国代表でチリと中国の数字を載せておきました。

最後、先ほど発表された米雇用統計のアップデート。

まずはこの表をアップデートしておきましょう。

画像を見る

失業率は9.2%から9.1%にちょっとだけ低下。でもいまだ高水準。失業者も156,000人減少。でも、労働力人口も193,000人減少。労働力人口に含まれない人が374,000人も増えてます。決していい数字ではないですね。依然厳しい状態が続いていると。

若年層失業率も見ておきましょう。

画像を見る

若年層失業率、深刻です。
よろしければ前回の雇用統計を受けてのこちらの記事
米雇用統計は「裏切られた数字」?
http://jovivi.seesaa.net/article/214160554.html

とこちらの記事
スペインの若者の失業率をご存じですか?
http://jovivi.seesaa.net/article/216330358.html
もご参照ください。

本当に盛りだくさんでしたが、この辺のニュースは一度読み流しておいてほしいなというものばかりでしたので、一気にざざっと。
しかし、眠い・・・
皆さんよい週末を!

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