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高分配ファンドと高画素数カメラの共通点

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なんかよくわからんタイトルだなと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、今日は高分配ファンドと高画素数カメラの共通点についてお話しします。

いきなりですが、皆さん、デジカメを持ってますか?
今やほとんどの方がデジカメをお持ちなんじゃないかなと思います。携帯にもカメラ付いてますしね。

ところで、そのデジカメどうやって選びました?
家電量販店で「このモデルが売れてますよ」「これが一番人気あります」「キヤノンの最新モデルです」とかって言われて?テレビの通販番組で声を裏返しながら絶叫するあの人に勧められて?あるいはネットでいろんな人の評判とか口コミ調べて?
なんかこれって、話題のファンドを買う人たちのファンド選びと似てませんか?

更に言うと、デジカメを選ぶときに「光学12倍ズーム」とか「1,600万画素」とか「ISO3000」とかっていういわゆる「スペック」は気にしますか?あるいは「顔自動検出」「手ブレ補正」「ハイビジョン動画撮影可能」とかって「機能」を重視しますか?ほら、この辺もなんかファンド選びと似てませんか?

で、一番多くの人が気にする数字、注目する数字ってのが、「1,600万画素」とかって書いてある「画素数」だと思います。むしろデジカメ買う時に「画素数」を見ずに買う人ってあんまりいないんじゃないでしょうか。なんで皆さん「画素数」を気にするんでしょうね。もちろん、「きれいな写真を撮りたいから」とか「高画質で思い出の写真を残したいから」とかってのがその理由だとは思うんですが・・・

で、画素数が大きいと本当に綺麗な写真が撮れるんですか?本当ですか?1,000万画素のカメラと1,600万画素のカメラでは1,600万画素のカメラのほうが本当に綺麗な写真が撮れるんですか?

私はカメラについては素人ですが、こういう「もっともらしい数字」「みんな使ってる常識っぽい数字」に振り回されることはあんまりありません。放射線の話(http://jovivi.seesaa.net/article/190810660.html)の時もそうでしたけど、自分の専門分野である金融・経済の話で「いかに世の中の大半の情報が間違っているか」「みんなが言ってることにいかに間違いが多いか」「少数派の人が言ってることのほうが大多数の人が言ってることより正しいということがいかに多いか」「新聞だのテレビだの本だのインターネットに書いてあることのいかに多くが不正確か」「専門家ぶってて実際には素人という人がいかに多いか」「とんでもない誤解を生じさせる、まるで正反対のことが正論っぽい感じでいかに通用してるか」を本っっっっっ当にイヤっっっっっというほど知っています。だから、デジカメ選びでも、放射線の話を聞いた時でも、車を選ぶ時でも、私はあんまりそういう「もっともらしい数字」「みんな使ってる常識っぽい数字」「みんなが言ってること」はまず信用しません。

私は、自分が専門ではない分野のことを調べる時には、「誰が言ってることが自分は本当だと思えるのか」「自分が納得がいく説明をしてくれるのは誰か」「どの話が一番自分にとって合理的と思える説明か」「どの説明が一番信頼できるのか」「言ってる内容と言ってる人の利害関係は納得がいくか」というのを見出すのにたぶん一番多くの時間を割きます。ここで気を付けるのは「みんなが言ってること」「一見もっともらしいこと」に惑わされない、ということ。次のステップはそうして見つけた自分が信頼できると思えるソースで、最低限これくらいあれば判断できると思える程度まで基礎知識をつけます。で、それから初めて判断をします。

私がカメラについて、自分が信頼できると考えるソースから学んだことによれば、「画素数が大きい=高画質」というのは誤りです。「きれいな写真」を撮るのに必要なのは、「できるだけ大きな撮影素子」であり、画素数を表す数字がいくら大きくても、撮影素子が小さくては意味がない、ということを知りました。むしろ、無理やり大きな画素数にする弊害もあり、【できるだけ大きな撮影素子】で【撮影素子に見合った数値に抑えた画素数】のカメラが綺麗にとれる、という話を今は信頼しています。その辺の説明はこのサイト(http://takuki.com/gabasaku/CCD.htm)(http://takuki.com/gabasaku/gaso.htm)の説明が分かりやすいと思うので、興味のある方はご覧になってみてください。携帯のカメラに1,000万画素以上のカメラつけてもしょうがない、ということが分かると思います。でも、最近の携帯は平気で1,000万画素以上のカメラを付けてます。このサイト(http://www.vifar.com/lab/resarch/dc0001.html)に「同じ300万画素で撮影した」携帯のカメラと、コンパクトデジカメと、デジタル一眼、の写真を比較したものが載ってます。このページ(http://takuki.com/gabasaku/k-tai.htm)も参考になります。

でも、「みんな」画素数が高いほうが綺麗って言ってますよね?家電量販店のカメラに詳しそうな人も「このカメラは1,600万画素です!」って言いますよね?デジカメを作ってる一番デジカメに詳しいであろうメーカーの人たちも「高画素数」を競う新しいモデルを次々に開発し、「高画素数」をアピールするパンフレットを作ってますよね?画素数が大きくても意味ないなら、そんなのおかしいじゃん、やっぱり高画素数のほうが綺麗な写真が撮れるんじゃないの?と思うかもしれませんが、そうではありません。正しい情報を知ろうとしない素人がそういう構造を作り上げているんです。メーカーの人たちは消費者に合わせてるだけ。なんでこんな馬鹿げたことが起こってるかって、消費者がそうさせているからです。

消費者たちは高画素=高画質だと思い込み、1,000万画素のカメラが1,600万画素のカメラよりも綺麗に撮れるということを認めない、正しいことを知ろうとしない、もっともらしい数字を疑ってかからない、「みんな」が言ってることを鵜呑みにする、これが現在の状況を作り出しています。

更に、これが一番の問題なのですが、それまでに自分が正しいと思っていたこととまるで正反対の正しい情報に触れる機会が幸運にもあったとしても、それまでに正しいと思い込んでいた情報と冷静に比較ができず、これまでに慣れ親しんだ真逆の情報が正しいと自分に無理やり思い込ませる。その時にその判断をする支援材料にするのが、「みんな言ってるから」とか、「家電量販店やメーカーがこう言ってる、こういう商品作ってる、こういうパンフレットを作ってる」という状況証拠。私は「みんな」は大抵間違っている、どの分野でも「ほとんどの人は素人」、家電量販点やメーカーは「売れればOK、売れなければどんな綺麗ごとを言っててもダメ」、と考えています。

デジカメを作ってるメーカーの人はもちろん、画素数を引き上げても綺麗に撮れないことは知ってます。でも、1,600万画素よりきれいに撮れる1,000万画素のカメラを出しても売れない。売れなきゃしょうがないんです。どんなに「綺麗に撮るには撮影素子が大きいことが一番大事で、画素数が大きくても意味ない、むしろ画素数はある程度抑えたほうがいい」なんてうったえても、それに耳を貸す人は少ないでしょう。大半の人は「いやいや、そんなことはない」「なんとなく画素数が大きいほうが綺麗にとれそうだし」「そうなのかもしれないけど感情的に・・・心理的に・・・なんとなく・・・」1,000万画素のカメラは1,600万画素のカメラより綺麗に撮れないと思い込み、1,600万画素のカメラを選んでします。結果、1,600万画素のカメラが売れ、1,000万画素のカメラは売れず、1,600万画素のカメラは「みんな」が選ぶ売れ筋のカメラになり、「みんなが言う」綺麗な写真が撮れる1,600万もの画素数のあるカメラになり、各メーカーや販売店は高画素数であることをアピールすると。

これは分配金が高いファンドが売れるのと全く同じです。気持ち悪いくらい全く同じ構造です。分配金をたくさん出してくれるファンドが儲かるファンド、パフォーマンスのいいファンドだと思い込んでいる投資家が、5%のリターンで5%の分配金を出すファンドよりも、3%のリターンで15%の分配金を出すファンドのほうが「儲かる」とか「パフォーマンスがいい」と誤解し、高分配のファンドばかりが売れて、本当にいいファンドが売れない。結果として「本当に綺麗に撮れるカメラ」が出てこないように、いいファンドがなかなか出てこないと。メーカーの人はおそらく全員正しいことを知ってます。

デジカメメーカーの人100人に「小さな撮影素子に1,600万画素のカメラよりも、大きな撮影素子に1,000万画素のカメラがほうが綺麗な写真が撮れる。YESかNOか。」と問えば、100人がYESと答えるでしょう。デジカメを販売しているお店の販売員の人だと100人中70人とか50人とかしか知らないかもしれませんが・・・その人たちを信頼してその人たちのアドバイスに基づいて購入している人たちのことを考えるとそうは考えたくないですが・・・

投資信託のメーカーである運用会社の人100人に「リスク値が18、リターンが7、分配利回りが20%のファンドよりも、リスク値が15、リターンが10、分配利回りが10%のファンドのほうが儲かる(いいファンドだ、パフォーマンスがいい、得だ、選ばれるべきだ)。YESかNOか。」と問えば、100人がYESと答えるでしょう。投資信託を販売している販売員の人だと100人中70人とか50人とかしか知らないかもしれませんが・・・その人たちを信頼してその人たちのアドバイスに基づいて購入している人たちのことを考えるとそうは考えたくないですが・・・

忘れちゃならないのは、メーカーの人も、販売店の人も売れてなんぼですから。売れなきゃ会社の業績が悪くなる、上司に怒られる、ボーナスが減る、わけですから。本当にいいものを作り、世の中の大半の人が選んでる基準は間違ってて、正しい基準で作るとこういうものになる、というのをアピールし、結果売れなかった、これは残念ながらサラリーマン的にはアウトです。正しいものを作り、正しいものをすすめ、正しいことを伝える、より売れることが大事ですからね。「高画素数ですよ」と言って売れるなそれでOK、「高分配ですよ」と言って売れるならそれでOKと。せっかくプロ意識をもって正しいことを説明したとしても「でもやっぱり高画素数のほう綺麗にとれる気がする」「やっぱりなんとなく分配金がいっぱい出るファンドのほうがいい」と言われるのが関の山。

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