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- 2011年06月19日 11:49
欧州の問題3ヵ国に対する市場評価
将来、あの時のギリシャ国債は●●まで下がった、アイルランド国債は●●くらい下落した、と振り返ることができるようにこのタイミングで記録をしておこうと思いまして。
こういうのって、後になってみると、あの時どのくらいまで下がったんだっけ?と調べようとするとなかなか大変なので、書いておくと便利なんですよね。このブログを読んでくださってる皆さんが、10年後とかに「あの時ギリシャ国債ってどのくらい下落したんだっけ?そういやジョン太郎のブログに書いてあったような・・・」と思いだして見直してくださったり(その頃まで続けていたいものですが・・・)するかもな、ということで。
まず、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの問題3ヵ国の10年国債、5年国債、2年国債、の利回りはそれぞれこんな感じ。
ギリシャ:(10)17.45%、(5)24.00%、(2)27.04%
アイルランド:(10)11.20%、(5)12.17%、(2)12.03%
ポルトガル:(10)11.08%、(5)12.01%、(2)11.90%
ちなみに
ドイツ:(10)2.95%、(5)2.13%、(2)1.45%
フランス:(10)3.32%、(5)2.49%、(2)1.53%
イタリア:(10)4.71%、(5)3.73%、(2)2.98%
スペイン:(10)5.55%、(5)4.77%、(2)3.45%
去年の3月に101ユーロだったギリシャの10年国債は1年ちょっとで50ユーロになりました。アイルランドの10年国債は104ユーロが64ユーロに、ポルトガルの10年国債は100ユーロだったのが58ユーロになりました。ギリシャの2年物国債は一時30%を突破しました。
政府が満期になったら100ユーロ返す、って言ってるのに50ユーロでしか買ってもらえないと。
凄いことですよね。あんまり笑えないけど。あんまり他人ごとだとも思えないけど。
で、CDSの保証料もうなぎ上り。各国の1年CDSと5年CDSの保証料はこんな感じ(bpsで表示、100bps=1%)。
ギリシャ:(1)2,745、(5)2,237
ポルトガル:(1)922、(5)813
アイルランド:(1)991、(5)803
比較用に他の国々も。5年CDS順に。
アルゼンチン:(1)273、(5)637
ベトナム:(1)229、(5)330
エジプト:(1)232、(5)305
スペイン:(1)156、(5)302
アイスランド:(1)290、(5)288
イタリア:(1)50、(5)182
トルコ:(1)66、(5)175
ベルギー:(1)65、(5)160
ペルー:(1)49、(5)152
カザフスタン:(1)55、(5)152
ロシア:(1)46、(5)146
インドネシア:(1)39、(5)135
タイ:(1)60、(5)133
南アフリカ:(1)35、(5)125
ブラジル:(1)40、(5)117
メキシコ:(1)37、(5)112
コロンビア:(1)39、(5)111
日本:(1)35、(5)89
マレーシア:(1)31、(5)85
フランス:(1)22、(5)83
中国:(1)28、(5)79
チリ:(1)37、(5)74
イギリス:(1)19、(5)67
アメリカ:(1)51、(5)53
オーストラリア:(1)32、(5)51
スイス:(1)15、(5)34
ドイツ:(1)11、(5)42
ノルウェー:(1)6、(5)20
スペインの保証料はアイスランド以上、イタリアの保証料はトルコやカザフスタン、ロシア以上、日本の保証料はマレーシア以上、フランスの保証料は中国とチリ以上と。
これが、その国に本当にデフォルトが発生した時にお金を払わないといけない人たちが要求する保証料です。格付会社は、その国にデフォルトがあったとしても、お金払うわけじゃないですからね。格付けAです、デフォルトしました、どうもすみません、みたいな。デフォルトした時には実際にお金を払わないといけない人たちとはやっぱり違います。
私たちは本当にすごい局面にいます。遠い未来の人たちが振り返ってみれば、スター・ウォーズ並の壮大なサーガのように見えるんでしょう。
2007年に「サブプライムローン」という言葉がいきなり新聞やテレビに踊るようになり、物語は急展開。それまでの時期というのは平和な時代で、人々はリスク感覚をどんどん鈍らせ、プライシングはどんどん甘くなり・・・リスク対比ではとても考えられないような高値でリスク資産が買われていきました。
そして歯車はいきなり逆回転を始めます。ハンドルもブレーキも壊れ、暴走しているマネートレインを制御しようと各国政府が躍起になりますが、暴走するマネートレインはあちこちの市場をズタズタに荒らしていきます。その跡は見るも無残な状態。そんな中でリーマン・ブラザーズが破たんし、アイスランドが吹っ飛び、問題はソブリンリスクに発展し・・・ギリシャ国債が半値になり・・・という物語の途中に私たちはいます。そんな時に、しかもヨーロッパのソブリンの問題がこれだけの深刻さになってる状況で、ただただ高利回りを求める人々のお金がハイイールド債市場に流れ込んで価格を押し上げて利回りを低下させ、ハイイールド債の上乗せ金利を500bps以下にすると。この局面でハイ・イールド債のスプレッドが500bps以下になるなんて本当に信じられないですよ。本当に異常です。喉元過ぎれば熱さを忘れるなんて表現がありますが、喉元過ぎるどころか口の中で咀嚼中に、ひょっとしたら口に入れたばかりのところでもう熱さを忘れてます。
サブプライムローンという言葉があちこちで踊り始める前、リスク感覚を鈍らせたお金はリスク資産に要求する利回りをどんどん低下させていき、つまり価格を上げていき、新興国のドル建て債の上乗せ金利が300bps以下、ハイイールド債の上乗せ金利が400bps以下になったのが2006年から2007年ごろでした。それで精一杯張りつめたゴムがバチーンと吹っ飛んで、一気に信用収縮が起こってあれほど痛い目にあったにも関わらず、またハイイールド債の価格を押し上げて上乗せ金利を500bps以下にしてしまうこの市場って本当になんなんでしょうね・・・そしてそんな状況でまだ日本からの資金がハイイールド債にお金が流れ込みまくり、ハイイールド債ファンドがバカ売れして、運用上限に達して一時販売停止・・・まるで笑い話です。
ファンドの中身の債券の利回りが7%になってることなんて見もしないで、やれ分配金がいくらだ、分配金利回りが15%だこっちは20%だというところしか見てない人たちには、自分たちのお金がハイイールド債市場にマネートレインを送り込んで価格をどんどん押し上げて利回りを7%にまで下げてしまっているという自覚や、自分がこの局面でスプレッド500bps以下でハイイールド債券買っているという認識は全くないんでしょうね・・・
こういう時に、2007年までのあの時代と同様に、ハイイールド債だREITだと特集を組み、「ハイイールド債ファンドやREITファンドが人気」「高分配利回りを実現」「高分配ファンドランキング上位にはハイイールド債ファンドやREITファンドがズラリ」なんて書きたててるマネー雑誌の人たちは無知なのか、悪意があるのか、いったいどっちなんでしょうね。どっちにしてもタチが悪いことには変わりませんが。サーガの中での役は正義の味方でも光明を告げる役でもないでしょう。
ご用心ご用心。
こういうのって、後になってみると、あの時どのくらいまで下がったんだっけ?と調べようとするとなかなか大変なので、書いておくと便利なんですよね。このブログを読んでくださってる皆さんが、10年後とかに「あの時ギリシャ国債ってどのくらい下落したんだっけ?そういやジョン太郎のブログに書いてあったような・・・」と思いだして見直してくださったり(その頃まで続けていたいものですが・・・)するかもな、ということで。
まず、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの問題3ヵ国の10年国債、5年国債、2年国債、の利回りはそれぞれこんな感じ。
ギリシャ:(10)17.45%、(5)24.00%、(2)27.04%
アイルランド:(10)11.20%、(5)12.17%、(2)12.03%
ポルトガル:(10)11.08%、(5)12.01%、(2)11.90%
ちなみに
ドイツ:(10)2.95%、(5)2.13%、(2)1.45%
フランス:(10)3.32%、(5)2.49%、(2)1.53%
イタリア:(10)4.71%、(5)3.73%、(2)2.98%
スペイン:(10)5.55%、(5)4.77%、(2)3.45%
去年の3月に101ユーロだったギリシャの10年国債は1年ちょっとで50ユーロになりました。アイルランドの10年国債は104ユーロが64ユーロに、ポルトガルの10年国債は100ユーロだったのが58ユーロになりました。ギリシャの2年物国債は一時30%を突破しました。
政府が満期になったら100ユーロ返す、って言ってるのに50ユーロでしか買ってもらえないと。
凄いことですよね。あんまり笑えないけど。あんまり他人ごとだとも思えないけど。
で、CDSの保証料もうなぎ上り。各国の1年CDSと5年CDSの保証料はこんな感じ(bpsで表示、100bps=1%)。
ギリシャ:(1)2,745、(5)2,237
ポルトガル:(1)922、(5)813
アイルランド:(1)991、(5)803
比較用に他の国々も。5年CDS順に。
アルゼンチン:(1)273、(5)637
ベトナム:(1)229、(5)330
エジプト:(1)232、(5)305
スペイン:(1)156、(5)302
アイスランド:(1)290、(5)288
イタリア:(1)50、(5)182
トルコ:(1)66、(5)175
ベルギー:(1)65、(5)160
ペルー:(1)49、(5)152
カザフスタン:(1)55、(5)152
ロシア:(1)46、(5)146
インドネシア:(1)39、(5)135
タイ:(1)60、(5)133
南アフリカ:(1)35、(5)125
ブラジル:(1)40、(5)117
メキシコ:(1)37、(5)112
コロンビア:(1)39、(5)111
日本:(1)35、(5)89
マレーシア:(1)31、(5)85
フランス:(1)22、(5)83
中国:(1)28、(5)79
チリ:(1)37、(5)74
イギリス:(1)19、(5)67
アメリカ:(1)51、(5)53
オーストラリア:(1)32、(5)51
スイス:(1)15、(5)34
ドイツ:(1)11、(5)42
ノルウェー:(1)6、(5)20
スペインの保証料はアイスランド以上、イタリアの保証料はトルコやカザフスタン、ロシア以上、日本の保証料はマレーシア以上、フランスの保証料は中国とチリ以上と。
これが、その国に本当にデフォルトが発生した時にお金を払わないといけない人たちが要求する保証料です。格付会社は、その国にデフォルトがあったとしても、お金払うわけじゃないですからね。格付けAです、デフォルトしました、どうもすみません、みたいな。デフォルトした時には実際にお金を払わないといけない人たちとはやっぱり違います。
私たちは本当にすごい局面にいます。遠い未来の人たちが振り返ってみれば、スター・ウォーズ並の壮大なサーガのように見えるんでしょう。
2007年に「サブプライムローン」という言葉がいきなり新聞やテレビに踊るようになり、物語は急展開。それまでの時期というのは平和な時代で、人々はリスク感覚をどんどん鈍らせ、プライシングはどんどん甘くなり・・・リスク対比ではとても考えられないような高値でリスク資産が買われていきました。
そして歯車はいきなり逆回転を始めます。ハンドルもブレーキも壊れ、暴走しているマネートレインを制御しようと各国政府が躍起になりますが、暴走するマネートレインはあちこちの市場をズタズタに荒らしていきます。その跡は見るも無残な状態。そんな中でリーマン・ブラザーズが破たんし、アイスランドが吹っ飛び、問題はソブリンリスクに発展し・・・ギリシャ国債が半値になり・・・という物語の途中に私たちはいます。そんな時に、しかもヨーロッパのソブリンの問題がこれだけの深刻さになってる状況で、ただただ高利回りを求める人々のお金がハイイールド債市場に流れ込んで価格を押し上げて利回りを低下させ、ハイイールド債の上乗せ金利を500bps以下にすると。この局面でハイ・イールド債のスプレッドが500bps以下になるなんて本当に信じられないですよ。本当に異常です。喉元過ぎれば熱さを忘れるなんて表現がありますが、喉元過ぎるどころか口の中で咀嚼中に、ひょっとしたら口に入れたばかりのところでもう熱さを忘れてます。
サブプライムローンという言葉があちこちで踊り始める前、リスク感覚を鈍らせたお金はリスク資産に要求する利回りをどんどん低下させていき、つまり価格を上げていき、新興国のドル建て債の上乗せ金利が300bps以下、ハイイールド債の上乗せ金利が400bps以下になったのが2006年から2007年ごろでした。それで精一杯張りつめたゴムがバチーンと吹っ飛んで、一気に信用収縮が起こってあれほど痛い目にあったにも関わらず、またハイイールド債の価格を押し上げて上乗せ金利を500bps以下にしてしまうこの市場って本当になんなんでしょうね・・・そしてそんな状況でまだ日本からの資金がハイイールド債にお金が流れ込みまくり、ハイイールド債ファンドがバカ売れして、運用上限に達して一時販売停止・・・まるで笑い話です。
ファンドの中身の債券の利回りが7%になってることなんて見もしないで、やれ分配金がいくらだ、分配金利回りが15%だこっちは20%だというところしか見てない人たちには、自分たちのお金がハイイールド債市場にマネートレインを送り込んで価格をどんどん押し上げて利回りを7%にまで下げてしまっているという自覚や、自分がこの局面でスプレッド500bps以下でハイイールド債券買っているという認識は全くないんでしょうね・・・
こういう時に、2007年までのあの時代と同様に、ハイイールド債だREITだと特集を組み、「ハイイールド債ファンドやREITファンドが人気」「高分配利回りを実現」「高分配ファンドランキング上位にはハイイールド債ファンドやREITファンドがズラリ」なんて書きたててるマネー雑誌の人たちは無知なのか、悪意があるのか、いったいどっちなんでしょうね。どっちにしてもタチが悪いことには変わりませんが。サーガの中での役は正義の味方でも光明を告げる役でもないでしょう。
ご用心ご用心。



