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貧困層だけでなく、富裕層ではない貧乏層もツライ

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厚生年金の未加入企業 きめ細かな相談と効果的対策を | ニュース | 公明党
厚生年金への加入義務のある企業が、未加入のまま保険料を納めていない事態を改善する動きが出てきた。

日本年金機構が、従業員に代わって所得税を納税している企業(約250万社)のデータを国税庁から初めて入手して調べたところ、厚生年金の未加入企業は約80万社に上ると推定された。

そこで、厚生労働省と同機構は、今年度から3年間かけて対象企業に加入への周知を徹底するほか、調査活動や指導を行っていく。保険料の負担能力があるにもかかわらず、加入に消極的な姿勢を取る企業などには、強制加入を求める方針だという。

厚生年金は、全ての企業(法人事業所)と従業員5人以上の個人事業所が加入しなければならない。労使が折半して保険料を納めるが、経営体力の弱い中小零細企業の中には、保険料負担を避けるために加入していない企業も少なくない。当初は従業員が1人だった個人事業所が、従業員の増加に伴う年金加入の必要性に気付かずに長年放置しているケースもある。給与から天引きした保険料を国に納めていない可能性もあり、未加入の事情はさまざまだ。
 ……というのがある。この記事では、厚生年金を問題にしているが、社会保険として健康保険もセットなので、厚生年金に加入していない会社は健康保険にも加入していないと思っていい。
 そういう会社(つまり、ブラック企業もしくは濃いグレー企業)に勤めている人は、国民年金や国保に入ることになる。国保の保険料は度重なる値上げで、けっこうな負担になっている。「プレ貧困層」は、それを払えなくなってしまうことがある。
 国保の保険料は、各自治体レベルで決められるので、全国一律の料金体系にはなっていない。自治体によって料金格差がある。

国民健康保険料 高い自治体(市、区) ランキング
国民健康保険料 高い自治体 ランキング 年収400万円(単身、介護保険未加入)の場合
リンク先を見る
 最安と最高で2.18倍の格差がある。
 私は東京都だから35万円弱になるが、月割りすると2万9504円……なのだが、このデータはちょっと古いかな。現在はもう少し高くなっている。
 お恥ずかしい話をカミングアウトするが、私も国保の保険料を払えなくなり、給料を差し押さえられたことがある。払えない事情を区の「国保せいり係」の人に、生活がカツカツであること、私の安月給で夫婦二人が生活するには、3万円弱の保険料は捻出できないと説明した。
 しかし、容赦なく差し押さえられた。その額は、月々15万円。
 妻は健康上の理由(糖尿病などの持病)からまともには働けないので、私の収入イコール世帯収入なのだが、手取りで30万円そこそこの安月給。つまり、給料の半分を持って行かれたのだ。手取り年収360万円が、180万円になった。
 「プレ貧困層」から、一気に貧困線に近くなってしまったのだ。
 崖の縁でなんとか踏ん張って生活していたのに、後ろから突き落とされたようなもの。
 もとより生活費は切り詰めていたのだが、さらに切り詰めなくてはいけなくなった。まっ先に削るのは食費だ。1日1000円にしていた食費(2人分)を500円にする。給料日前でいよいよ金がなくなると、ごはんを茶碗一杯に卵1個の、卵かけご飯で済ませる。それが1日分の食事だ。
 これはツライよ。腹はいつも空腹で、グーグー鳴ってしまう。だが、食べるための金がないから堪えるしかない。ライフラインの料金も支払いが滞るようになり、督促状と供給停止の連絡が、毎月来るようになる。その支払いのために、持ち物で売れるものは売ってしまう。本とかCDとか家電とかだ。売るものがなくなると、今度は借金をしなてはいけなくなる。クレジットカード会社や消費者金融から借りる。だが、借金の返済が追い打ちをかける。負の連鎖は止まらなくなってしまう。

 夫婦二人で生活費としてどれくらい必要かという、以下のようなモデルケースがある。

老後の生活費26万円、貯蓄額2144万円 [定年・退職のお金] All About
老後の生活費、費目別に見るといくら?
総務省の「家計調査(二人以上の世帯)」平成27年5月分によると、無職世帯(セカンドライフ世帯が多く含まれます)の支出は次のとおりです。

●支出総額 26万7803円
<内訳>
・食費 6万7169円
・住居 1万5524円
・水道光熱 2万1286円
・家具、家事 9999円
・被服費等 8038円
・保健医療 1万3446円
・交通通信 2万5857円
・教育 537円
・教養娯楽 2万6522円
・その他 5万437円
(その他-理美容、交際費、嗜好品、諸雑費など)
・税金 社会保険料 2万8990円
 この中には、借金の返済が入っていないが、借金のない人は少ないのではないだろうか?
 都会だと家賃などの住居費がかなりの部分を占めるので、被服費、教養娯楽、その他を削っても、27万くらいには収まらない。貯蓄があればまだいいが、「プレ貧困層」は貯蓄に回す金もない。その金があれば、保険料は払える。

 国は格差是正や貧困対策を政策として打ち出すが、低所得層の現実では、公的機関である国保が「プレ貧困層」を貧困層に追い詰めている。まるで貧困ビジネスだ。
 こういうことを書くと、「払わないのが悪い。自業自得」といった批判が出てくるのだが、払いたくなくて払わないんじゃない。払う余裕がないんだ。
 健康保険は、皆保険ではなく必要な人だけが入る任意でいいと思う。どのみち、保険料を滞納すると保険証は無効にされ、無保険状態にされるので、病院に行く必要があったとしても治療費は払えないから行かない。保険証があったとしても、国保は3割自己負担だから、仮に1万円の治療費だったとしたら3000円は払わなくてはいけない。3000円は私の感覚では、3日分の食費。それすらも節約したいと思うのが、プレ貧困層貧困層だ。保険の恩恵を受けることはあまりないので、なくても困らない。
 なにがなんでも皆保険で、保険料は厳しく取り立てる……というのであれば、その支払い方法に生命保険の死亡保障を当てる「死後払い」というはできないのだろうか?
 生命保険で死亡保障が1000万円の場合、調べてみると月々の掛金が5000円ちょっとくらいのものがある。3万5000円は無理でも、5000円なら捻出できると思う。保険金の受け取りは、2親等ないし3親等までに限られているが、そこに国保などの公的機関を加えられるようにすれば、被保険者が死亡したとき、保険料に相当する金額を回収できるだろう。国保の年間保険料が50万円としても20年分、30万円だと33年分だ。国保としては悪くない話ではないか?

 余談になるが、以前、国保や税金の滞納金を取り立てる人たちの、情報交換の掲示板があった。現在はなくなったのか、完全にクローズになってしまったようで見ることはできないのだが、そこに書かれていた本音カキコはかなり衝撃的だった。
 出典を示せないので、私の記憶にあることだけだが……
「金が払えないなら、さっさとシねーー」
「今月は、○人自殺に追い込んだぜwwww」
「くたばる前に、金払えよ」
 ……等々、自慢話のような罵詈雑言があふれていた。彼らは金を取り立てるのが仕事だから、相手の事情などどうでもよくて、いくら回収できるかで仕事の評価をされるのだろう。本音なのか、うっぷんばらしなのかはわからないが、そういう感覚があるのだと思う。
 私に対応してくれた国保せいり係の人も、どことなく高圧的で見下したような物言いをしていた。公務員の彼らからしたら、払えないヤツが悪いというのも、わからないではない。公務員は社会保険でも恵まれているから、それで苦労している人の気持ちなどわかるわけがない。

 貧乏なのがツライのではなく、貧乏であるがゆえに周囲から追い詰められるのがツライんだ。
 贅沢をしたいとは思わないし、そこそこ食べていけて、夫婦や家族が笑顔でいられる生活をしたいだけ。健康保険はなくてもいい、病院に行けなくてもいい、今あるささやかな平穏な時間を過ごせればいい。
 夫婦二人で1日1000円の食事をすることは、許されないのか?
 国保の人にいわせると、許されないようだ。

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