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“悪ふざけの時間”を自ら終えられなかったドワンゴ

米国のYouTubeと並んで、日本のニコニコ動画(以下、ニコ動)は著名な動画共有サイトのひとつだろう。運営しているドワンゴは、出版・映画などのメディア企業であるKADOKAWAと2014年に経営統合し、現在は持株会社カドカワの子会社となっている。

このニコ動などに対し法務省が、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチ(差別煽動表現)の動画が人権侵害に当たるとして削除を要請し、一部が応じたと報道された。問題となった動画は2009年11月、在特会メンバーが東京都小平市の朝鮮大学校前で行なったヘイトだという。

誰でも見られる形で野放しになっていたヘイト動画が削除されたのはよいことだが、どうにも腑に落ちないのはドワンゴの姿勢である。行政に介入される前に自らの手で削除することはできなかったのだろうか。

ドワンゴの川上量生会長は自身のツイッター(現在はアカウント消去)で、規制をしないことが理念であり、ヘイトスピーチも表現の自由だと主張して、反レイシズム運動を揶揄するツイートを繰り返していた。ニコ動にはかつて「在特会公式チャンネル」まであったのだ(2015年5月閉鎖)。

また、ニコ動の規約から、「他の利用者への中傷、脅迫、いやがらせに該当する行為」「差別につながる民族・宗教・人種・性別・年齢等に関する表現行為」を禁止する項目が今年の1月ごろ消されてしまった。これでは、健全な社会に対しての責任があるメディアの一員として胸を張ることなど、とてもできまい。

ネット問題に詳しい落合洋司弁護士は「自分で解決できない被害者を救済するために今回のような(行政による)対応は必要だが、行き過ぎると表現の自由への介入となる」と指摘している(14日共同通信配信記事)。

被害者や反レイシズム運動に取り組む人が声を上げたからこそ法務省を動かしたとも言えるが、表現の自由を履き違えたニコ動=ドワンゴの主体性のなさこそが、最も問われるべき点だろう。彼らは“悪ふざけの時間”を自分で終わらせることができなかったのだ。

(中津十三)

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