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G7協調介入の歴史的意義、長期円高の終着点

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謹んで地震災害のお見舞いを申し上げます

この度の東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と、一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。

はじめに
500年から1000年に一度の危機は、言を絶する被害をもたらした。しかし、震災の今後のGDP成長率に与える悪影響は限定的である。東北4県のGDPは全国比で4%弱と低いこと、被害の中心は津波でその影響は沿岸部に限定され、より高台の地域にある工場の多くは壊滅的打撃を免れたこと、インフラの多くも早期に修復が可能であること、などによる。2011年下半期には、生産活動に対するマイナスの影響が消えると見られる一方、政策効果(震災対策による金融緩和、財政出動、円安誘導)、生産の回復効果、復興建設需要などの寄与が予想される。

それ以上に、震災によって誘導された意外性のあるG7による協調介入は、長期円高トレンドを転換させ、「日本の失われた20年」を終焉させる転機となる可能性が大きい。March 11thがなぜ転機となるのか、それは世界が心から日本の復活を必要としているからである。なぜ今日本がそれほどに重要なのか、背景には地政学環境の急変があり、それは米国の国益と深く関わっている。

(1)協調介入はトレンドの大転換点であった
(2)なぜ今回の協調介入がG7共通の利益なのか
(3)地政学から見た円高修正の必要性
(4)長期ドル安トレンドの転換点間近

(1) 協調介入はトレンドの大転換点であった

意外性のあるG7協調介入
先週末の2011年3月18日、G7による緊急の電話会議が開催され、声明発表とともに協調介入が実施された。76円/ドルへと史上最高値まで急伸した円相場は、81円/ドル台まで押し戻されている。G7の共同声明は、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を及ぼす」とし、「日本当局からの要請で、 米・英・カナダ・欧州中銀は為替市場で協調介入に参加する。為替市場をよく注視し適切に協力する」。また「必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」、とうたっている。このG7による共同声明と協調介入の実現は、日本当局にとってすら、意外性のあるものであった。

G7協調介入は長期トレンドの転換点であった
図表1に見るように、過去G7の協調介入は5回あった。即ち、①1985年9月プラザ合意(ドル高修正)、②1987年2月のルーブル合意(過度のドル安是正)、③1995年8月の円高阻止、④1998年6月の円安是正、⑤2000年9月のユーロ安阻止、であるが、いずれも協調介入は為替の長期トレンドの転換点となっている。今回も、介入がファンダメンタルズに合致していること(日本が更なる金融緩和を迫られているのに対して、米国や欧州は金融緩和政策の出口が検討され始めている)、米国の利益に合致している可能性があること(デフレ対策が終わり対外投資に政策重点がシフトする時期に入ること)、の2点から、長期円高トレンドの終着点となる可能性が強い。
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(2) なぜ今回の協調介入がG7共通の利益なのか

「円高投機」の根拠、グローバルデフレシナリオはすでに破綻
G7声明が日本に対する人道的支援にとどまらず、協調介入に至ったのは、円高阻止がG7の共通の利益と認識されたからである。それは「円高投機」が、始動しつつある世界景気回復を妨げるものだからである。

「円高投機」の背後にあるものは、グローバルデフレシナリオであり、円買い・米株売りといったトレードを伴っている。円高はグローバルリスク回避シナリオ(リスクオフ・トレード)の象徴になっており、世界的なリスク資産の価格下落と表裏一体をなしている。それはQE2でリスクテイクを鼓舞し、株価などの資産価格を押し上げようとしている米国中央銀行にとっても容認できない動きなのである。

また「円高投機」は景気回復が脆弱で、震災の直撃を受けた日本をことさら傷めている。図表2、3に見るように、2007年以降の円は独歩高を続けたが、それは購買力平価から見て極端であった。日本円は再び購買力平価(対ドル比較)からの乖離が50%という極端な水準にいたっている(図表4)。その極端な円高が、日本のデフレを深刻化させ、日本株の突出したプア・パフォーマンスをもたらし、日本経済回復の妨げになってきた。
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「円高投機」の反合理性・反社会性
しかし、今や米国の景気回復が明白になったことにより、「円高投機」の非論理性・反社会性が鮮明になっている。つまり円高は純粋に需給・投機の産物である、ということである。地震ショックにより、過去の円キャリートレードの清算需要、あるいはリスクオン・トレード(日本株買い、日本円売り)の清算を迫られた投資家の反対売買が誘発された。これをきっかけに、悲観論をかさにきて一気に相場を売り崩す動き、「人の不幸につけこんだ投機筋は」G7という巨大な敵を招いてしまった、といえる。

『資金移動には正常なものとネガティブなものとがある。正常なそれはよりリターンの高い分野に資金が移動し、経済効率を極大化させる。ネガティブなそれは、リターンの追求をあきらめ、元本の保全に専念する投資行動で、経済成長を阻害する。2008年以降の円高をもたらしている資金移動はどう見ても、高いリターンを求めた建設的資金移動の結果には見えない。ただでさえ投資需要が冷え込み潤沢な資本が有効に活用されておらず、長期金利が1%そこそこの日本への資金流入は、純粋な投機需要によるものであろう。その根拠はと言えば、自己実現的な円高を前提としているとしか思えない。そうしたネガティブな資金移動は、「グローバルデフレシナリオ」に基づいたものであった。故に、米国経済の持続回復に黄色信号が灯り米国株が下落するたびに、円高が進行してきたのである。』

『円高は世界市場の弱い環である日本株を直撃し、日本の景気を押し下げる。また、世界から資金を吸い上げ各国のデフレを誘発する。円高は日本のみならず、世界デフレの一里塚なのである。従って円投機を抑制し日本から世界に資金を還流させることは、世界デフレへの悪循環を断ち切るうえで、決定的に重要である。仮に日本が為替介入で30兆円、3500億ドルの米国国債を購入すれば、現在検討中のFRBの追加金融緩和策を大きく支えるものとなる。円高阻止の国際協調の構築は日本のエゴではなく世界の利益なのである。』(ストラテジーブレティンvol.27「円高阻止で世界デフレを食い止めよ」2010年9月1日 より )
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