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マイナス金利導入に身構える市場

 2月12日の東京市場で日経平均は大きく下落し一時、15000円の大台を割り込む場面もあった。11日にドル円が一時110円台をつけるなどの円高や欧米の株式市場の下落も嫌気された。この株価の下落や円高はリスク回避の動きの強まりを示すものであり、そうであればリスク回避資産として国債は買われるはずである。ところが12日の債券先物は寄り付きこそ買われたが、その後は下落基調を強め、78銭安の151円11銭で引けている。10年債利回りは9日と10日にマイナス0.035%まで以下したが、12日にはプラス0.075%に上昇した。

 長期金利のマイナス化の背景には、1月29日の日銀の金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的緩和の導入が決定されたがある。これにより長期金利はさらに低下し、そこに海外発のリスク回避の動きが加わって、2月9日に10年債利回りが一気にマイナスに低下したのである。

 ただし、この間のいわゆるイールドカーブはかなりの興味深い格好となった。最も短い金利である無担保コール翌日物の金利はいまのところマイナスとなっていない。これはマイナス金利の適用が16日からということで、先んじたような動きとなっていなかった面もあるが、取引する金融機関のシステムが無担保コール翌日物の取引のマイナス化を想定しておらず、対応し切れていない面も指摘されている。

 10日のイールドカーブをみてみると、短いところがゼロ近辺で、そこからマイナスとなり、残存4年程度のマイナス0.2%台が底となって上昇し、10年でゼロ近辺、さらに長いところはスティープ化している。

 10年以下の国債利回りがマイナスとなったことにより、国内投資家はこのマイナス金利での国債運用は躊躇せざるを得ない。しかし、いきなりプラス利回りの期間の長い国債にシフトすることも難しいとなれば、ある程度のマイナス利回りは許容しても運用せざるを得ない面もある。

 それでも現実に16日以降のマイナス金利の適用で短期市場ばかりでなく、債券市場でもどのような動きになるのか、いまのところ予想が付かない面もある。このため、12日は高値警戒もあったろうが、16日のマイナス金利導入前にポジションをいったん手仕舞うような動きが出た可能性もある。もちろん金利がマイナスのタイミングで利益確定売りを出したこともありうる。

 はたして16日以降、短期金融市場や債券市場はどのような動きをみせるのか。短期市場に関してはマイナス金利へのシステムの未対応のところもあって、当面はマイナス化はないとの見方が強い。債券市場にあってはマイナス化はやむを得ないという面はあるが、マイナス金利の国債を積極的に買える状況でもない。

 当面は国債の入札や日銀の国債買入をこなしながら、少しずつ落ち着きどころを探る展開となりそうながら、そこに海外初の相場変動が加わると、ますます参加者が減って値動きが荒くなることも予想されるのである。

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