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再エネFIT改革法案審議への論点提起 ~FIT対象に『原子力・石炭』を追加するのはいつ・・・?

 今月9日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を見直すための「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、今国会(第190回通常国会)に提出された。

 この法案の主旨は、再エネの最大限導入と国民負担の抑制の両立を図るため、FITを見直すこと。国会審議の正式な対象となるのは法律案要綱法律案・理由だが、これを読んでも意味不明。このような一般的に解読困難なものを正式の審議材料にし続けていることから先ず是正すべきであると思うのだが、そうなっていない。

 経産省は、「固定価格買取制度(FIT)見直しのポイント」と題する次のような簡潔な資料を示している。それを見ながら、取り急ぎ、この法律案の主要事項について、国会で議論すべきことを提起しておきたい。

<資料>
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(出所:2016.2.9 経済産業省資料

(1)未稼働案件の発⽣を踏まえた新認定制度の創設について

→ 最大の懸案は、認定済未稼働案件数(H24~25年度認定案件:約36万件/約117万件(=30%))の取扱いであるが、根本的解決策は示されていない。「原則として新制度での認定の取得を求める」とあるが、これは非常に危険な賭けだ。行政責任を自覚した上で本気で解決しようとなれば、国家賠償は免れない。しかし、そこまで見据えるほどの責任自覚も余裕財源も今はないのだろう。この点について、具体的な資金調達手段を伴う解決策の私案を既に寄稿してあるので、先のブログ記事などを参照されたい。

→ そのような根本的解決策はないものの、今後の新規案件のことを考えれば、ここで示された法律案が正当に施行されれば、発電できる見通しがないのに認定だけを得ておく“空押さえ”はこれ以上発生しなくなるはずだ。この部分の見直し案の内容は、本来であれば、FIT施行当初から施行されるべきであった。FITが失政・失策であったというのは、こうした点にも大いにあるわけで、当時の与野党の大いなる共同責任だ。

(2)適切な事業実施を確保する仕組みの導⼊について

→ FITによる買取期間終了後の低廉な電源の確保は、安全確保や発電能力維持にとって必要なことではあるが、本来は法律事項として規定せずとも再エネ事業者が自主的に取り組むべき話。このようなことを法制化しなければならないのは、再エネ発電市場に不適格事業者を相当数も参入させてしまったことに係る政治・行政の責任だ。

→ 使用済みの太陽光発電設備などの撤去、運搬、リユース・リサイクル、適正処分に関しては先のブログ記事でも書いたので、適宜参照されたい。太陽光発電設備については、現時点では廃棄・リサイクルのシステムは確立されていない。貴金属やレアアースの回収による資源の有効利用や、有害物質の適正処理にも資するので、使用済みの太陽光発電設備の廃棄・リサイクルなどのシステムの構築は急務である。

→ 最近急増してきた太陽光発電設備に関する防災上の懸念や景観を巡る地域住民とのトラブルへの対応は緊要な課題。昨年9月の関東・東北豪雨による太陽光発電設備を巡る被害状況を見ても、早急な対策作りが必須である。詳細は、先のブログ記事(常総市・鬼怒川左岸の例仙台市太白区の例)を参照されたい。

(3)コスト効率的な導⼊について

→ 買取価格の予見・予定に係るものは、いずれも今年4月からの電力小売全面自由化の趣旨とは相容れないもの。下記(5)で、“電力システム改革を活かした導入拡大”などと掲げられているが、そもそも、それはFITは明らかに矛盾する。当面の技術では商用可能な蓄電はできないので、再エネは自由化市場では殆ど通用しない。だからこそ、FITによって優先的に固定価格で買い取られなければ普及のしようがない。どんな弁解をしようが、FITは自由化に矛盾している。

→ そうした中で、太陽光と風力には特段の価格統制メカニズムが必要なので、このような法律改正案が示されている。太陽光と風力が再エネ賦課金上昇の主因であることは、欧米の先行例でも明らか。そうした教訓からも、この法律改正案の提起は、再エネの適格な振興の観点からも妥当な政策判断だ。

→ 賦課金減免制度については、①現行の減免割合は8割と非常に高率で、国際競争力と必ずしも関係のない業種も対象となっていることから、減免割合の引下げや対象業種を見直すべき、②年々累増する減免費用の全てを、限りある予算で措置する場合には、予算硬直化を招くおそれがあるため、賦課金に求めていくべき、といった指摘がある。 だが、これまでの経緯を踏まえると、この法律改正案は妥当な政策判断だ。

(4)地熱等のリードタイムの⻑い電源の導⼊拡⼤について

→  ここは太陽光以外の再エネ電源に関するものだが、よくよく見ると、これらは今まで原子力・火力・水力に適宜施してきた各般の支援策と同じようなものばかり。いずれも電源立地対策としては適切なものであり、実現可能な範囲で追求していくべき。

(5)電⼒システム改⾰を活かした導⼊拡⼤について

→ 買取義務者を小売事業者から送配電事業者に変更するのは、小売事業者への信頼性は低いが、送配電事業者(つまり10電力会社)への信頼性は高いということと表裏一体。
 以上、取り急ぎの論点提起である。

 いずれにせよ、“電力システム改革”などという当面は不要無用有害な制度変更をしてしまったものだから、FITとの矛盾は解消しようがないが、それをさておいても、再エネの普及を進めていくにはコストが膨大にかかる。再エネ100%化は、商用可能な蓄電システムが浸透する日まで待たなければならない。

 更に、そうした再エネ100%化までの間は、低廉安定電源としての原子力と石炭が安定的に運営されていく必要があるが、このまま料金規制撤廃を含む“電力システム改革”なるものを自由化礼讃思想でゴリ押ししていくと、原子力と石炭は順次撤退を余儀なくされる。それを回避するため、近未来には、原子力と石炭に関して、固定価格買取制度を導入せざるを得なくなるはずだ。果たして、それはいつのことになるだろうか・・・??

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