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銃乱射事件で米国は何を学ぶのか

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アリゾナ大学追悼式での聴衆/写真:デイブ・マクレーン

 アリゾナ州トゥーソン郊外カサス・アドベで起きた銃乱射事件は、全米に衝撃を与えた。事件容疑者の動機はまだ明らかにはなっていないが、保守系テイーパーテイやサラ・ペイリン氏の過激言動と事件との関連性をめぐって、この2週間保守・リベラルの対立は激化した。オバマ大統領は犠牲者追悼式で「礼節ある米国構築」を提案したが、分裂した政治情勢に、市民たちの間には半ば諦めムードが漂っている。保守・リベラルの有り様を象徴的に表したともいえるこの事件を、現場での市民の声を紹介しながら再考する。

事件の全体像



 カサス・アドベから100キロほど南下すると米・メキシコ国境がある。国境付近では麻薬がらみの銃犯罪が多いが、カサス・アドベは住宅街とショッピングモールが並ぶ静かな地域だ。そのような一見平和な町で事件は起こった。

 8日民主党中道派のガブリエル・ギフォーズ議員は、大手スーパーの敷地内で市民対話集会を開いていた。同議員との対話を望む市民は、列をなして待っていた。ジャレッド・ロフナー容疑者は列から離れ、至近距離で議員の頭部めがけて発砲、その後集会参加者やスタッフなどに乱射、議員を含む14人が重軽傷、6人が死亡した。

 ロフナー容疑者は、現在暗殺未遂罪などで起訴されているが、犯行動機はまだ明らかにされていない。しかし、ギフォーズ議員が昨年保守派から脅迫めいた言動を受けていたことから、犯行に政治的背景があるのではないかとリベラル系メデイアは勢いづいた。

 昨年3月医療保険改革法案可決後、ギフォーズ議員の事務所のガラス戸が破壊されるという事件が起きた。また前アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏は、ウエブサイトで医療保険改革法に賛成票を投じた民主党議員の選挙区を、ライフル照準十字線でマークし「次に去るべき20人」のリストを作った。そのリストの中に、ギフォーズ議員もいた。また、ツイッターで「退くな、弾丸を再びこめよう」といった扇動的な言葉も加えた。

 事件後捜査にあたっていたピマ郡クラレンス・ダップニク保安官の発言「政治的過激発言が、国を荒廃している」はメデイアの注目を浴びた。

オバマ大統領、ペイリン氏に見るレトリック



 過激発言と事件をリンクしようとするリベラルの攻撃に対し、保守派は反撃に出るなど対立が過熱する中、犠牲者追悼式は12日現場近くのアリゾナ大学構内で行われた。オバマ大統領夫妻の他に、ナンシー・ペロシ下院・院内総務、ジャン・ブリュワーアリゾナ州知事、ジョン・マケイン上院議員、ジャネット・ナポリターノ国土安全保障省長官なども列席した。定員14000人の式典会場に、その2倍の数の市民が早朝から列をなして並び、会場に入りきれない市民たちは、外の球技場に備え付けられたスクリーンで式典の模様を見た。

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