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医療保険未加入者増加

 医療保険未加入者は増え続け、現在約5000万人。長引く不景気で中流階級の一部が、無保険層に滑りこんでいる。頼みの綱は、3月可決の医療保険改革法。しかし、中間選挙で共和党が下院を制したことで、その見直しまたは破棄も考えられる。

 米国疾病予防管理センターのレポートによると、ここ10年間で、民間医療保険加入者の数は徐徐に減っている。65歳未満で4人に1人は、過去1年間で無保険の時期があったとしている。

 米国での医療費は非常に高い。一般に救急車の費用は1回約1000ドルから1500ドル。ヘリコプターで搬送される場合の費用は、約1万ドル。腹部MRI画像1枚で2000ドル。病院のベッドに治療もなしに数時間いるだけで、1000ドルはとられる。

 数字を挙げればきりがないが、とにかく保険に加入していなければ、とても病院で診察など受けることはできない。また、たとえ加入していたとしても、保険の種類にもよるが、最初の数百ドル、もしくは数千ドルは実費となるケースが多い。

 またカイザー財団の調査では、昨年1年間で民間医療保険料は平均一人4800ドル、1家族では13000ドルにも上っている。低所得者層には、連邦政府による医療保険制度メデイケイドがあるが、貧困レベル以上の収入では、政府からの援助は難しい。現在政府が定めている貧困ラインは、4人所帯で年間約22000ドルとなっている。

 オバマ政権が3月に可決した医療保険改革法は、段階的にとらえられ2019年には65才以下の成人の95%が保険加入になる。また、新法は病気予防も保険対象となる。この改革法が、将来唯一の無保険者救済方法なのだが、最新のラスムセン世論調査では、57%の国民が改革法破棄を求めているという。

 中間選挙で、共和党を躍進させた「テイーパーテイ(茶会)」メンバーは、この改革法を「悪」と決めつける。「なぜ連邦政府が、個人の健康に口出ししないといけないのか」と言うのが、概ね彼らの意見である。「自分のことは自分で管理する、政府に干渉されたくない」「自立している」と人々は言う。「なぜ他人の医療に税金を払わないといけないのか」。

 アリゾナ州プレスコットバレーで、茶会メンバーのガート・ラファソさんは「オバマは、市民の選択の自由を奪っている。皆が同じ医療保険制度なんかありえない。自分のことは自分で決める。それが米国人」と言い切る。

 つまり、多くの医療保険改革法に反対する人々は、連邦政府の制度下に置かれることに怒りをもつようである。しかし、茶会メンバーの多くは定年退職者。政府管理の65歳以上向けの医療保険制度・メデイケアーの加入者である。「政府の指図は受けない」と息巻いてはいるが、政府管理の医療保険制度下で医療補助を受け税金を使っているのだ。「自立している」という言葉と、その行動には矛盾があるようだ。

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