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アングル:しぼむ世界の外為市場、取引高も人員も縮小進む

[ロンドン 11日 ロイター] - 世界で最も大きい市場である外国為替市場のステータスは、過去数十年にわたるグローバル化の広がりや規制緩和、金融サービスの発展によって築き上げられた。近いうちにその座を明け渡す可能性は低い。しかし、栄光の日々は過ぎ去った。

銀行規制の強化や、新興国ブームの衰え、そして長引く世界の成長や通商の伸び率鈍化が打撃となり、大手銀行の為替トレード部門における全体の市場の出来高や雇用の水準は縮小の一途をたどっている。

外為取引を行う欧州の上位10銀行が雇用するトレーダーの数は、過去3年間に30%減少した。英イングランド銀行(中央銀行、BOE)とニューヨーク連邦準備銀行が先月発表した統計も、取引高が3年ぶりの低水準に落ち込んだことを示している。

業界ウォッチャーによれば、1日平均6兆ドル近い取引高を記録する日は二度と訪れないという。

業界分析会社コアリションによると、欧州で営業する上位10行だけで為替トレーディングデスクの従業員は332人で、2012年の475人から30%減少した。このうち最前線のポストの圧倒的多数はロンドンに置かれている。

欧州の中央銀行で働くバンカーは、1日の平均取引高が6兆ドル前後だった「2014年末が、世界の為替取引のピークだった」と話す。

多数者間資金決済サービスを提供するCLS銀行のデータによると、1月の1日当たりの平均取引高は4.8兆ドルとなり、前年同期比9%減少。ピークの6兆ドル弱を大きく下回った。

世界最大の為替取引センターであるロンドンやニューヨークの一部の大手銀行のトレーディングデスクはこの1年、売買頻度の高い円やスイスフラン、豪ドルなどの通貨の取引高の減少に苦しんでいる。

昨年1月にスイスフランの急騰で多くの人が巨額の損失を計上したことを契機に、大手銀行は小規模なヘッジファンド型の事業の数を厳しく取り締まるようになり、レバレッジ比率が高く投機的な取引の伸びは抑えられた。

この傾向は最近の英米の中央銀行の調査で顕著だ。2015年4─10月の1日当たりの取引高はロンドンで前年同期比21%減、ニューヨークでは26%減となった。

機関投資家向けの独立系ブローカーでヘッジファンドも運営するITGのディレクター、ジム・コクラン氏は「5兆ドル超の取引高が恐らく近い将来にピークになる」と話した。

<指標不正操作も影>

外為市場は世界の貿易や経済活動を概観するのに使われる。世界で最も大きな金融市場であり、過去数十年間にわたって着実に成長してきた。

国際決済銀行(BIS)の1995年の調査によると、20年前の1日の平均取引高は1兆2000億ドルで、初めて1兆ドルの節目を超えた。

しかし、為替指標の不正操作スキャンダルが2013年に発覚し、複数の銀行が数十億ドル規模の罰金を科されたほか、数十人から数百人の規模で世界のトレーダーが職務停止や解雇に追い込まれ、業界全体に長きにわたって暗い影を落とした。

グローバル金融危機をきっかけに実施されたさらに多くの規制変更によっても、為替の取引リスクを積極的に取ろうとする能力が抑えられた。

リスク管理、調査、システム技術への支出が増大する中で、銀行は資本コストや事業コストの増大にも対処しなければならず、もはや自己勘定で為替のトレーディングを行うことはできなくなった。

アナリストの一部は、外国為替市場の相場変動率が比較的に低めだったことが、この数カ月間の取引高減少に一定の役割を果たしたとみている。相場の方向性が定まらない中で為替のスポット取引高は減少し、為替オプションなどデリバティブ商品の需要も落ち込んだ。

チャプデレーン(ニューヨーク)の為替部門のマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は「ゼロ金利と非常にハト派的なグローバル環境ではボラティリティは低下する。ボラティリティが抑えられている時に、取引高は急減する」と話す。

トレーダーたちは不安定な金融市場や中国の景気減速によって資産価格、インフレ率、成長、中銀の政策が今年どの方向に向かうのかについて大幅な再考を迫られることから、一定程度のボラティリティ上昇を期待している。

しかし、市場の混乱が為替の取引高増加につながるかどうかは疑わしい。

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