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シャープ買収が試す日本の改革 - WSJ社説

 経営再建中のシャープは、海外企業に買収の優先交渉権を与えた。この海外企業は、日本政府が支援するベンチャーキャピタル・ファンドの2倍以上の金額で買収提案を行った。買収が実現すれば、それは「日本株式会社」にとって分水嶺となるだろう。まさにsharp endだ(訳注=「事態の山場」のこと。社名のシャープに掛けている)

 台湾の電子機器受託製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業(商号はフォックスコン)はシャープ株3分の2を55億ドル(約6600億円)で取得し、この液晶メーカーを再生したいと申し入れた。

 日本政府系ファンドの産業革新機構(INCJ)は25億ドル(約3000億円)を提案している。この金額ではシャープの取締役会は歯牙にもかけないだろうと思われるだろう。だが、これまで日本政府は、その規制上の権限を使って株主利益を圧倒し、企業が外国企業の手に渡らないようにしてきた。

 安倍晋三首相は新たな企業統治(コーポレートガバナンス)指針を打ち出し、経営陣の株主への説明責任を強化した。同時に安倍政権は、INCJに対して投資のための公的資金を増額した。シャープの決定は、政府の優先政策に対する重要な試練になるだろう。

 鴻海は、赤字続きのシャープ(2012年には銀行団に救済されている)の立て直しにおいて有利な位置につけている。郭台銘(テリー・ゴウ)最高経営責任者(CEO)はシャープの最も先端的な液晶パネル工場に37.6%出資し、それを黒字に転換したと評価されている。アップルをはじめとするメーカーからの製造を受託する世界最大のスマートフォン製造大手として、鴻海には柔軟な経営、豊富な資金、そしてシャープの技術を発展させられる顧客基盤がある。

 これに対し、シャープに対するINCJの計画は、液晶パネルの生産をジャパンディスプレイ(INCJ主導でソニー、東芝、日立製作所の液晶パネル部門を統合した会社)に吸収させるというものだ。INCJは日本の経済産業省の下にある。経産省は斜陽産業の雇用保護のため企業統合を推進してきた歴史がある。それは、「管理された衰退」のための処方せんであり、シャープの技術的な利点を無にしてしまうだろう。

 鴻海は、シャープが再び世界のトップに返り咲けると信じており、進んで55億ドルを同社に賭(か)けようとしている。株主たちはこれが最良の道筋であることに同意し、シャープ株は4日、市場全般の下落とは対照的に17%高となった。シャープの機関投資家と債権者の一部は、鴻海との交渉を支持すると述べた。

 問題は今や、日本政府が効力を失った過去の産業政策をとるのか、あるいは株主資本主義の可能性を信じるのかということだ。

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