記事

【金利はマイナス、支持率はプラス】

今週のThe Economist に日本の政治の記事がありました。表紙は、欧州の難民問題です。



タイトルは、Negative rates, positive polls(マイナス金利、プラス支持率)。サブタイトルは、 Shinzo Abe weathers the exit of a scandal-hit minister with surprising ease(安倍首相はスキャンダル閣僚の辞任を軽々と乗り切る)。

 

内容はざくっとこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。


最近の日本ではかつてないことが起きている。1月29日には史上初めて日銀がデフレ脱却のためマイナス金利を導入した。


(The Economist)


その前日には、bribery scandalに対する甘利経済再生担当大臣の辞任という、これまたびっくりなことが起きた。普通に考えれば政権の支持率は落ちるが、3つの世論調査によると支持率は 50%以上まで上がった。安倍首相は、この幸運を奇妙に思っているかもしれない。


最大野党の民主党は、安倍政権下で4つ目のスキャンダルとなる甘利氏の辞任を機に、混乱させてやろうと準備をしてきた。しかし、民主党は2012年の総選挙での敗北以来、依然としてもがき苦しんでいる。今なお有権者にアピールするメッセージを見いだしていない。この夏の参議院選挙のキャンペーンは、ぱっとしないものだ。「民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい」


 (毎日新聞)


甘利辞任に対する安倍首相の巧みな対応は、ダメージを最小限に抑えた。保守系週刊誌の「週刊文春」が甘利大臣のスキャンダルのスクープを報じたあと、甘利大臣は首相の後ろ盾に自信を持っていたようだ。それは違っていた。政治献金の報告に対するあいまいなルールもあって、日本では政治とカネをめぐるスキャンダルは日常茶飯事だ。しかし、甘利大臣の事務所が、見返りを求めた建設会社の代表から1200万円を、封筒に入った現金などの形で受け取ったのは行き過ぎた。1週間を待たずに、辞任を発表したのだ。第 1次安倍政権(2006年から2007年)で首相は、閣僚のスキャンダルがだらだらと続くことを容認し、ダメージを大きくした。

 

甘利大臣の退任は、安倍首相がぱっとしない経済を何とか押し上げようとしている微妙な時期に起きた(日銀のマイナス金利政策で浮揚するかもしれないが)。スキャンダルの結果、国会で新年度予算の議論が遅れているが、いずれは決定されるだろう。


 (The Economist)


安倍首相の構造改革(決して数は多くないが)の代表例であるTPPが遅れを取るかもしれない。甘利大臣は TPP交渉の先頭に立ってきた。甘利氏の先導を失ったことで、国会でTPPの承認を得るのは遙かに難しくなるだろう、というのは竹中平蔵元経済再生担当大臣の見立てだ。農家は関税撤廃などに適応するためにあわせて1100億円ほどの予算を受け取るにしても、農業団体はTPPに強く反対すると見られている。

 

後任の石原伸晃大臣は、自民党で2番目に小さな派閥を率いている(彼の父親はウルトラナショナリストな元東京都知事だ)。経済改革を推し進めたい者たちは、石原氏の 経験の乏しさ失言癖(proneness to gaffes)を心配している。

 

とは言え、TPP熱を除けば、甘利氏は決して構造改革の強力な推進者(gung-ho promoter)ではなかった。さらに安倍首相の視線の先にあるのは別の目標だ。野党の足並みは乱れ (opposition’s disarray)、この春にも衆議院の解散総選挙があるという観測もある。日本経済は弱いものの、有権者は安倍首相の政策ではなく中国経済の減速のせいにしがちだと分析するのは上智大学の中野晃一教授

 

安倍首相は強力な政治基盤を経済の構造改革ではなく、日本が普通の軍事パワーとして動けることを容易にするための憲法改正に力を注ぐかもしれない。このためには、衆参両院の3分の2の支持が必要となる(国民がそこまで支持していないのはともかくとして・・never mind that he lacks it with the public)。自民党が参議院選挙で勝利し、衆議院の解散総選挙に踏み切った上で、考えの近い政党の協力も得られれば、あり得るかもしれない。奇妙なほど回復力のある安倍首相は、今こそ試す時だと判断するかもしれない( A strangely resilient Mr Abe may decide that now is the time to try)。

あわせて読みたい

「TPP」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。