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翁長雄志の「戦う民意」を読む

 沖縄県知事・翁長雄志(おながたけし)の近著「戦う民意」を読みました。「オール沖縄」を束ねて辺野古新基地阻止を使命としている人が、自ら綴った言行録です。始めに8ページにわたる異例の長さの前書きがあり、次の5章から成っています。

第1章 日本政府との攻防
第2章 この国を問う
第3章 品格ある安保体制を
第4章 苦難の歩み、希望への道
第5章 アジアへ、世界へ

 著者は文中で何度も述べていますが、本来は保守の人でした。保守とは、自分の郷土に誇りを持ち、そこに根を下ろして生きることです。父親も政治家でしたから、日本復帰の運動についても、保守と革新が争う構図には、違和感を感じながら育ちました。そして早くから自分も政治を天職と心得て、那覇市の市長に当選することで念願を果たしました。市長としての業績には、今も自信を持っています。

 知事選挙についても、当然のように前知事の仲井真氏の側で応援する立場でしたが、前知事が安倍政権による「沖縄振興予算との引き換えで辺野古容認」の懐柔策に屈した姿を見て、保革を超えた知事になることを目指し、知事選挙に立候補したのでした。

 しかし翁長氏は日米安保体制を不要と考える人ではありません。その必要性を理解しながらも、日本の0.6%の面積で、74%のアメリカ軍基地を引き受けさせられている現状の差別を、不正義として告発しているのです。沖縄はアメリカ軍による占領状態を引きずったままで今に至っている。これを沖縄県民は一度として容認したことはなく、この状態を無関心なまま放置している日本政府と、「本土の国民」に抗議するという立場です。「品格ある安保体制を」とは、そういう意味なのです。

 そのために、今はオール沖縄として辺野古埋め立てに反対せざるをえない。それが政府の強引な態度と対立するから「苦難の歩み」になるのです。しかし「希望の道へ」とは何であるのか。辺野古基地建設の強行は、日米安保の不安材料になると翁長氏は考えるのです。そのために個人的にグァムへの移転を検討したこともありました。辺野古を絶対視することの不合理を説いています。

 そして古くから交易の中継地であった沖縄は、世界情勢の中で、戦略拠点の最前線になるよりも、平和な交流の舞台になるのが似合うと、理想を述べています。「沖縄県民の心を一つにする政治」は、自分にしかできないという自負があるのです。

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