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もうちょっと他にやりようは……

たとえば軽減税率やヘイトスピーチ規制など、ヨソの国では豊富な実例がある制度でも、いざ日本で導入されようとなると闇雲にダメ出しする人って多いですよね。そう言うのならば、なぜ「日本に限っては」ダメなのかを説明してくれなければ説得力など皆無に思えるのですけれど、他国の成功例を無視して屁理屈をこねているような類ばっかりが目立ちます。まぁ、実利よりも理想を優先するのが我々の社会の文化です。己の意に沿わない制度ができるとあらば、何かしら事実を歪曲してでも否定しなければ気が済まないのでしょう。

「記述式採点に最長2カ月必要」 文科省試算(毎日新聞)

 新しい大学入試の制度設計を進めている文部科学省の専門家会議が29日開かれ、新共通テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で採用する記述式問題について、文科省が採点に必要な期間の試算を示した。解答欄に記述させる文字数が40〜80字程度なら3〜4日、200〜300字では約1週間かかり、計6問出題すると最長で約2カ月必要という。今後、記述式の出題規模やテスト実施の日程を詰める。

 文科省は受験者53万人分の解答用紙を1日800人で採点すると想定。受験者が新聞記事を読んだうえ、「2段落構成で」「引用した言葉に『』をつける」など複数の条件に合わせて自分の考えを300字程度で記述する問題の場合、採点にかかるのは7日程度。複数の図表や文章を読んで「仮説」を40字程度で書く問題は3日程度かかるという。

 200〜300字程度の長い記述と80字以内の短文を組み合わせて計6問出題すると、採点に最長で60日、短文記述式3問だと最長25日かかる。

 ……で、こんな報道を目にすると共通テストへの記述式問題の導入なんて不可能に見えてしまいますが、実際はどうなんでしょう。名高いフランスのバカロレアなんて、模範解答ありきの日本の記述式問題などとは比べようもない漠然とした抽象的な記述問題が並んでいるわけです(「人は自らの過去の所産なのか?」「どんな芸術作品も何らかの意味を持つか?」「個人の意識は自らの所属する社会を反映したものでしかないのか?」等々)。そしてこのバカロレア、毎年60万人以上が受験しています。文科省の試算が妥当なものであるのなら、バカロレアの採点なんて1年以上かかりそうです。

 大学独自に記述問題を設けているケースは普通の話で、だからといって採点に2ヶ月もかかるなんてのは相当に特殊なケースに限られるはずです。実際に採点経験の豊富な人から見たら、この発表はどうなのでしょうね。単純に計算すると、採点者一人につき約660人を見ることになる、それで「7日程度」とのことですから、1日で95人程度を採点できることになります。1日8時間労働で計算するのなら、「300字程度で記述する問題」を採点するのに、5分程度を見込んでいるようです。う~ん、文学賞の選考なんかに比べれば真面目に読んでくれる感じでしょうか。

 そもそも「誰が」採点することを想定しているのかが問われます。期間中は採点が主たる業務なら「じっくり」採点していると言えますが、普通に仕事を抱えている大学関係者が、「片手間に」あるいは「残業して」採点することを想定しているのであれば、翻って「手短に」採点されることになるであろうことは必至です。いずれにせよ入試に記述式問題を設けること自体は悪くありません。しかし、そうするからには相応のリソースを増やす必要があります。採点する人を増やす、採点は専門の担当者が行う等々、コストはかけなければなりません。単純に「採点時間が長くなります」では、従業員にダラダラと長時間残業を強いることで延命しているダメな会社と同じですから。でも、そこで「人」にコストをかけることを厭うのが我が国の慣習なのかも知れませんね。

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