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甘利元大臣の疑惑の元凶は「存在しない党支部」 - 山本洋一

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甘利明前経済財政担当相の事務所による悪質な「口利き」の実態が明らかになってきた。秘書が献金を受けた建設会社と都市再生機構(UR)とのトラブルに介入し、建設会社側に配慮するよう働きかけていたのだ。ただ、口利きの問題は甘利事務所だけでなく、この国の政治全体の問題である。そして元凶は「本当は存在していない政党支部」にある。

UR職員に「事務所の顔立てて」


口利きの相手とされるURによると、URの職員と甘利氏の秘書は12回にわたって面談。甘利氏に資金を提供した建設会社とURの道路建設に伴う補償協議について話し合った。

URが公表したやり取りメモによると、甘利氏の秘書は「少しイロを付けてでも」とか「甘利事務所の顔を立ててもらえないか」などと発言。URから建設会社に支払われる保証金を上積みするようあからさまに働きかけていた。

さらに、建設会社の総務担当者は外国人の労働ビザ発給に関しても甘利氏の秘書らに口利きを依頼し、お礼として計40万円を渡していたことも明らかにした。どちらも支援者の依頼を受けて議員やその秘書が役所に働きかける、典型的な口利きの事例といえる。

自民党支部に100万円寄付の記載


甘利氏は辞任を表明した記者会見で、本人が計100万円を受け取ったことを認めるとともに、受け取った封筒を秘書に渡して「適正に処理しておくよう」指示したと説明した。

「処理」というとわかりにくいが、要するに企業献金として受け取り、政治資金収支報告書に記載するということ。実際に「自民党神奈川県第十三選挙区支部」の2014年分の政治資金収支報告書には2月4日付で千葉県の会社Sから100万円の寄付を受けたとの記載がある。

※添付資料(この資料の67ページ目)http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/9400/H271126/0104jiyuuminsyutou/105_4834.pdf

実際には2013年と2014年の2回に分けて50万円ずつ2回に分けて受け取ったのだから、厳密には「適正」ではない。だが、こっそり受け取ったのではなく、ちゃんと収支報告書に記載しているのだから問題はない、というのが甘利氏の言い分だ。

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影も形もない政党支部

ここで注目すべきは、建設会社から献金を受け取ったとされる「自民党神奈川県第十三選挙区支部」である。自民党支部といわれると立派な組織を想像するかもしれないが、実際には影も形もない、書類上だけの存在なのだ。

自民党や民主党といった大政党の政治家は、ほとんどが企業・団体献金を受け取るための政党支部を抱えている。例えば東京都千代田区、港区、新宿区という「東 京都第一区」を地盤とする国会議員、もしくはその候補なら「〇党東京都第一区総支部」。東京都千代田区を地盤とする都議会議員なら「〇党東京都千代田区第 1支部」、同じく東京都千代田区地盤の区議会議員なら「〇党東京党東京都千代田区第10支部」といった具合だ。

ではこの支部がどんな活動をしているかといえば、何もしていない。事務員がいるわけでなく、独自に講演会を開いているわけでもない。政治家や後援会が企業・団体献金の受け取りを禁止されているため、抜け道として利用するために用意してあるだけなのだ。

実際に政党支部を管理しているのは政治家の事務所。一つの政治家事務所が金を受け取ったり、経費を計上したり、イベントを開催する際に「後援会」や「政党支部」を使い分けているのだ。政党支部の住所を調べれば、ほとんどが地元事務所と同じ場所にある。

実効性の高い政治資金規正を

永 田町で甘利氏を擁護する声が多いのは、多くの国会議員が口利きに手を染めているからだ。さすがに交通違反のもみ消しはなくなったが、今も国会議員の事務所 にはビザの発給や役所への就職、入札への配慮と言った「陳情」の依頼が後を絶たない。陳情を受けて役所に働きかけることを「陳情処理」と呼び、事務所の重 要な仕事の一つである。

かつてと違って役所側も議員の働きかけにすんなりと応じるわけではないが、大物議員となれば話は別。丸吞みはしないまでも、「少しくらいは配慮しようか」となる。

依頼側も陳情がかなえば、選挙を手伝ったり、寄付したりするのが永田町の“常識”。通常はその寄付を「適正に処理」するが、問題は処理の方法ではない。政治家やその秘書が口利きし、その対価として金品を受け取ることが問題なのだ。

野党はさっそく企業・団体献金の全面禁止を訴えているが、野党にも労働組合からの献金や政治資金パーティーの代金を受け取っている議員は多い。政治汚職を繰り返し、国民の信頼を失わないためにも、実効性の高い、総合的な政治資金規制が求められている。

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