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アメリカの気を引きたいサウジ、中国を振り向かせたい北朝鮮〜田原総一朗インタビュー

2016年が始まって、早くも1カ月がすぎた。日本国内は、芸能人のスキャンダルや政治家の違法献金疑惑などがマスコミを賑わしているが、海外に目を転じると、中東や東アジアで外交や安全保障の面で大きなニュースがあった。新年早々の世界の動きをどうみるのか。田原総一朗さんに聞いた。

サウジアラビアとアメリカの微妙な関係

今年の国際情勢は非常に荒っぽい幕開けだった。新年早々、イスラム教スンニ派の大国・サウジアラビアが国内のテロに関与したという47人を処刑したが、その中にイスラム教シーア派の指導者も含まれていた。それに対して、シーア派が多数を占めるイランで、群衆がサウジアラビア大使館を襲撃する事件が起きた。そして、サウジとイランが国交を断絶するという事態になった。

サウジアラビアとイランは、いずれも産油国の大国だ。国交断絶というのは、中東だけでなく、世界に与える影響が大きい。

これまでサウジアラビアのバックにはアメリカがいて、軍事面などで支援してきた。しかし、アメリカで地下深くに眠るシェールオイルが産出されるようになったことで、事情が変わった。いままでアメリカは、サウジを全面的に支持していたが、最近サウジに冷たくなっているようだ。

さらに、アメリカやEUなどは、核開発問題をめぐってイランに実施していた制裁を解除すると発表した。サウジからすると、自らの敵であるイランとアメリカが仲良くしていて、孤独感を募らせているのではないか。

サウジは、原油安の影響で、財政面も厳しい状態になっている。外交的にも経済的にも追い詰められたサウジアラビアが今回、過激な行動に出たのだと見ることがでできる。

中東といえば、シリアについても動きがある。昨年暮れには、アメリカのケリー国務長官がモスクワでプーチンと会談して、シリア問題への対処法を話し合った。シリア問題とは、イスラム国(IS)問題。イスラム国の国際テロにどう対抗していくのかという問題だ。

対立することも多いアメリカとロシアだが、対イスラム国問題では協調路線を取っている。シリアの内戦を収束させるため、国連の仲介による協議が進められているが、イスラム国対策では、シリアのアサド政権を支援するロシアが主導権を握っている。

アメリカがシリア問題で主導権をとるためには、イスラム国と地上戦をやるしかないが、その気はない。そのような事情からすると、ロシア主導で進んでいくのではないかと思う。

北朝鮮が水爆実験をした理由

東アジアでは、北朝鮮が水爆の実験をしたと発表したことが世界的なニュースになった。日本の新聞は「非常に馬鹿げたことで、こんなことをすると国際的に孤立する」と書いた。だが、北朝鮮はすでに国際的に孤立している。世界中から猛烈に批判されるのをわかっていながら、あえてこのような行動に出ている。それは、なぜか。

理由としては、2つ考えられる。

1つは、北朝鮮の金正恩第一書記が、父親の金正日のマネをしたというもの。金正日は10年前の2006年に核実験を強行した。その結果、アメリカが北朝鮮のほうを向いて、交渉のテーブルについてくれた。核実験は世界中から批判されたが、外交的には成功したといえる。

いまは、オバマ政権が北朝鮮のほうを見てくれない状態。それを振り向けさせるために、水爆実験を敢行したというのが、考えられるシナリオだ。

もう1つ、想定される理由は、対中国問題。金正恩は中国に太いパイプを持っていた叔父を粛清した。それもあって、最近は中国が北朝鮮に冷たい態度を取っている。北朝鮮としては「これ以上冷たくしたら、何をするかわからないぞ」と、中国に子どもじみた脅しをかけている可能性がある。

一見すると馬鹿げた話たが、北朝鮮にはそれなりの計算がある。中国にとって、北朝鮮は安全保障上、重要な場所に位置する国で、つぶれてしまったら困る。中国は、どんな形であれ、北朝鮮が存在している必要がある。

そういう事情があるから、北朝鮮もこういう子どもじみた行動に出ているのだといえる。

今年は、アメリカでも大統領選があるなど、もともと国際的に大きな動きが予定されている年だ。その最初に、中東や東アジアで世界の耳目を集める出来事が起きた。波乱を予感させる幕開けだ。

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