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宮崎駿監督「自分に与えられたフィールドとチャンスにおろそかになってはいけない」

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BLOGOS編集部
-全生園の建物や緑を残すのは、とても大切なことだと思うんですが、悲惨な体験をされた患者、回復者の方々のですね、建物だけでは分からない体験とか記録とかそういうものを、残し伝えていくっていうのは、なかなか大変なことだと思うんです。

宮崎さんが作品に取り上げたのは、ハンセン病を語るために取り上げたわけではないと思うんですけども、映画を含めどういう風にそういう経験を語り伝えていくかっていうのも、また1つの課題ではないかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか?


宮崎:資料館に学会員が赴任して以来、様子が変わってきました。今まで出したくないと言っていた映像が随分出て来るようになったんです。写真集も出ていますし、少しずつ開かれつつあるように思います。そこが一番物語っているんで、一般論として語るよりも、行けば誰でもそれを見ることが出来るようになっていることですね。

それから定期的に色々展示をやっていますけども、本当に胸を打たれるような展示がいくつもありますから。特に、社会復帰出来るようになった人達も、生涯が終わるような年頃になっています。その人達がどういう風にやってきたか、本当に感動的に生きた人達の話がいくつもあります。

同時に、生きるのが苦しかったという話の中には、何もそれはハンセン病だけじゃなくて、都市に集まってきて、そこで暮らさなくてはいけなかった多くの若者達が味わった孤独や無力感みたいなものとそっくりですから。この都市生活というものの中に持っている、大きな黒い泡のようなものを感じて。それはハンセン病じゃなくても、僕自身も青春の時によく感じていたものなので、そこら辺も含めて、あそこの資料館は、非常によく努力されていると思います。だから、展示が変わるたびに観に行っています。

-沖縄県で政府が対立していて、さらに工事がドンドン進められようとしています。それについてのお考えと、今後どうすればいいでしょうか。

宮崎:僕は止めなさいといいます。要するに沖縄に基地が多すぎるってことですね。

その次の問題は、日本のどこにも基地を作らせる場所がないってことなんです。

それからもう1つ。中国はISの問題の方が大事で、海軍で東に出て来る能力は今持っていません。しばらくは持たないと思います。だから、中国海軍が増強しているから云々、というのは当たらない。新しい航空母艦を造ったからって、あんなもん全く役に立ちません。自信を持って言います。むしろ、あそこで危機感を煽る事自体が滑稽です。

むしろ、コントロール出来ていない軍隊のほうが危険でね。中国軍はコントロール出来ていないですよ。だからパイロットがミサイルを見せびらかして接近してくるとか、本当に国際的感覚が欠けているんですよ。よその国の軍隊の悪口を言ってもしょうがないんですけど、一緒に共同演習でもしてルールを教えていかないと、つまらないことで戦端が開かれてしまう危険が出てきたってことは確かだと思います。

でも、辺野古の海は残しておいたほうがいい。沖縄の人のためにも。それでも埋めるやつは埋めるだろうと思うんですけど。そこから先の戦いは、極めて政治的な判断と、粘り強さが必要なんだと思います。

-社会全体として、ハンセン病に限らず、原発事故も含めた負の問題。これに蓋をしてしまうような感覚がどうしてもあるような気がしています。抽象的な質問なんですが、社会としてはこういう問題に対して、どのように求めていくべきというか…。

宮崎:手分けしていくしかないんです。僕は原発が無くなってもいいと思いますけど、署名を集めるために、仕事を放り出していくわけにはいかないんです。

ハンセン病についてもそうです。ハンセン病について先頭に立ってやることは出来ないです。今、平沢さんとか佐川さんは、自分の残された時間をそれに賭けようと思ってやっています。

それぞれに偏見を持たないで、出会ったらそれについて賛同いたしますとか、幾ばくかのカンパはしますってことは出来るかもしれないけど、僕らはジャーナリストじゃないんだから、なんでもかんでも手を広げてね、この世にある問題全てに関わるというのは不可能です。

「おろそかに生きてはいけない」というのは、自分に与えられたフィールドについて、僕の場合は映画を作るってことですけど、そのフィールドについておろそかに生きてはいけないという意味です。そうすると、家庭生活は入っていないのかって、家内に言われそうですけど、それも少しは入っているという(笑)。

やっぱり自分に与えられたフィールドとチャンスに対して、おろそかになってはいけないということだと思います。

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