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原油の巻き返し

私は年頭、ゲームチェンジャーの年になる、と申し上げました。1月だけでも様々なサプライズがあった流れはまだ続きそうです。次の注目は原油価格の動向になるかと思います。これから大きく巻き返し、40ドル台回復は近い気がします。

伏線はロシアの軟化だろうと思います。同国は原油や天然ガスの輸出で国内経済を支えていますが、現状5四半期連続のマイナス成長で目先、回復の兆しはありません。外貨準備は2014年より約30%も低い380ビリオンドルまで下がっており、非常に苦しい経済運営を強いられています。

そんな中、ノワク エネルギー大臣が減産に関するOPEC諸国との検討に前向きの姿勢であることが報じられています。一方のOPECの盟主、サウジアラビアは減産に強い関心があったもののOPEC内だけでの減産は非加盟国であるロシアやアメリカへの影響力が十分ではなく、「減産した自分だけ損をする」論理が働いていました。

ここにきてロシアが減産調整へ前向き、しかも5%程度の減産という具体案をもってその検討を進めるとなればこの会議開催、合意の可能性は大いにあり得る気がします。現在、原油のだぶつきは日量150−200万バレルとされていますが、OPECとロシアなど主要非加盟国が5%の減産に同意すれば200万バレルには達する計算となり、理論上の需給バランスは回復します。

仮にそうなるとバランスする原油価格はいくらか、ということになりますが、ニューノーマルが叫ばれる現在でも個人的には50-70ドル程度は最終的にあり得る水準かと思っています。但し、原油相場というのはそう単純ではなく、仮に目先減産を含む原油価格の巻き返しがあるとみると先物の売り方が必死の買戻しに入ります。また、買い方の勢いが一気に加勢するため、原油相場はポンポン上がっていくことになり、それこそ1日で3-5%程度の上昇はごく普通に起きうるわけです。

現在の北海ブレントが35ドル強まで巻き返し、ニューヨークのウエストテキサスインターミディエートが33ドル後半と1月につけた安値から既に25%以上、あっという間に巻き返しています。多分、あの時の安値は何だったのだろう、という時期は遠からずやってくる気がいたします。

では原油相場が回復するとどんな影響があるか、ですが、まず、即座に他の資源価格にプラスに作用します。大根が高くなればキャベツも高くなるのか、という話なのですが、原油が高くなればそれこそ野菜より安く放置されていた鉄鉱石を始め、あらゆる資源価格は跳ね上がりやすくなります。これは相場の連想性で株式相場を知っている方ならばお分かりになるかと思います。ある銘柄がある材料で急騰するとそれに関連する銘柄も連鎖反応を起こしやすいのです。

そうなると次に資源国の通貨が安定し、新興国の経済が少し、明るさを取り戻します。アラブなどは財政赤字を埋める為に世界中の資産を売りまくっているとされていますが、それも止まるかもしれません。例えば日本の株式の外資を通じた売り圧力も減るかもしれません。

これは「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話ではありますが、好循環のサイクルに入りやすくなるともいえます。日本の場合で言うと資源価格の上昇で潜在的な物価上昇バイアスがかかります。実はこれも年初に申し上げていたのですが、黒田総裁の夢である2%のインフレはそこまで達成しうるかどうかは別としてインフレ率上昇になりやすい風が吹く、と予想していました。よって、マイナス金利政策で円安誘導するとそれで輸入物価の上昇が加速されますので日本経済には賃金が上がらない限りやや逆風ということになります。

OPECと非加盟国との原油減産に向けた会議の機運が出てきた理由はズバリ、イランの原油輸出再開であります。イランは日量100万バレルを輸出したいわけですからこれ以上のだぶつきに伴う価格低迷は放置できないわけであります。イランへの経済制裁解除はOPEC諸国が決めたわけではなく、原油を購入してくれるクライアントである先進国の判断であり、サウジとしては抵抗しにくかったのでしょう。

今までは減産をしない方針で力づくの勝負をしていましたがOPEC諸国もロシアも大人ですから、いつまでも不毛な戦いをするわけがありません。

ちなみに「風が吹けば…」のおまけ話をすればトヨタの車が売れる、と思います。今やアメリカではガソリン安で大型のSUVやライトトラックのような燃費を気にしない車がガンガン売れており、燃費性能に優れた日本車、特にトヨタのハイブリッドは逆風でありました。新型プリウスも下馬評は微妙でしたが国内の売れ行きは良さげのようです。これが北米にも広がるとよいと思います。

たかが原油、されど原油とも言えそうです。さて、2月の乱はあるのか、市場から目が離せません。

では今日はこのぐらいで。

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