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ウエアラブル汗センサー、分子レベルで健康監視

 人間の汗は、べとべとして臭い場合があるものの、ポジティブな側面もある。それは、体内で何が起こっているかの手掛かりを提供し得るという点だ。

 米カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、汗に含まれる多数の化学物質を測定し、装着者の体温に応じてデータを調整するウエアラブル(身に付けられる)システムを開発したと発表した。この装置は測定結果をブルートゥース経由でスマートフォンに送信する。これによって、医師は装着者の健康状態に関する分子レベルの情報をリアルタイムで得られるようになる。

 イリノイ大学アーバナシャンペーン校のジョン・A・ロジャーズ教授は、「この技術は最先端のさらに先を行くものであり、人間生理学の基礎研究分野と一連の臨床応用分野の双方に適用できる」と述べた。同教授はこの研究に参加していない。

 フィットビットのようなフィットネス端末は、装着者の心拍などのバイタルサインを記録する。汗センサーは一層深く入り込んで、複雑な生化学的データの分析を目指す。だが、さまざまな研究チームが過去に開発した初期のモデルは1度に1つの化合物しか計測できなかったり、装着するには大き過ぎたりした。今回、バークレー校の研究チームは、ある程度の時間にわたって、いくつかの化合物を継続的かつ同時にモニタリングできるプラットフォームを開発した。同チームが27日に英科学誌ネイチャーで発表した。

 主席研究員のアリ・ジェービー博士率いるチームは、柔軟性のある回路基板上に5つの小さなセンサーを配置し、利用者にとって使い勝手の良いヘッドバンドとリストバンドにこれを装着し、ボランティアの体につけてもらった。この装置は感度が極めて高く、乳酸とブドウ糖(体がエネルギーを消費したときにできる化学物質)の値のほか、ナトリウムとカリウム(水を保持するのに必要な化学物質)の値もチェックした。高過ぎる乳酸の値は、筋肉疲労の兆候だ。一方、カリウムなど電解質の値が低いと、脱水状態の可能性を示す。

 ジェービー博士は、「理論上、分子と健康状態との関係を、大勢の人々について研究できる」と述べた。チームはこのセンサーを商業的、臨床的に応用することを目指すという。

 この研究は、バークレー・センサー・アンド・アクチュエーター・センターと国立衛生研究所(NIH)から資金援助を受けた。

 一部の専門家は、汗センサー技術が依然として未熟な段階にあり、もっと研究が必要だと指摘している。シンシナティ大学のジェーソン・ハイケンフェルド教授によると、センサーと皮膚の間に隙間ができる可能性や、装着者が継続的に汗をかかない場合は装置が正確に機能しない問題などがある。ただ同教授はカリフォルニア大チームの開発した装置を「素晴らしい研究成果」だと評価した。同教授は汗をモニタリングする商品を独自に開発しているエクリン・システムズの最高科学責任者でもある。

 ハイケンフェルド教授は「われわれはウエアラブルのハードサイエンスに着手したところだ」とし、「これは一歩前進だ。何が可能かを初めて人々に垣間見せたのだ」と話した。

By KAT LONG

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