- 2016年01月29日 08:15
アメリカ人の職業政治家嫌いが顕著に トランプ、クリントン、サンダース支持者の声 - 海野素央
3/4クリントン支持者の声
国務長官在任中に、私的メールアドレスを使って公務を行っていた問題で信頼を失っていたクリントン候補でしたが、第1回民主党テレビ討論会及び、ベンガジ問題下院特別委員会での公聴会後に戸別訪問をしたところ、支持者は同候補に自信を取り戻していました。
レベッカ・ダフィー(29)
「(民主党)テレビ討論会を観て、ヒラリーに自信を持ちました。ヒラリーは争点について熟知しています」
スーザン・ブリーン‐ホルド(57)
「私は(民主党)テレビ討論会のヒラリーのパフォーマンよりも、ベンガジに関する公聴会での彼女の答弁に好印象を持ちました。彼女は自制があり、冷静でまるで大統領のようでした」
キャセリーン・サンプソン(35)
「(民主党)テレビ討論会の前は、どの候補を支持するのか決めかねていましたが、今回の討論会(第1回)を観てヒラリーに決めました」
ロバート・キーラー(58)
クリントン陣営の標的となっているキーラーさんの家を訪問すると、驚いたことに彼は妻のキャティーさんと一緒に、家の横に止めてあるトレーラーハウスの中で生活をしていたのです。キャティーさんがトレーナーハウスの入口でその理由を説明してくれました。
「私たちの家を見てください。家を修理するお金がありません」
続けて、クリントン支持の理由を語ったのです。
「ビル(クリントン)は経済を立て直しました。ヒラリーも経済を回復させます。それに対して、共和党は経済を悪化させると思います」
夫のロバートさんは、クリントン候補とオバマ大統領を比較して次のように述べました。
「ヒラリーは、オバマと違って経験が豊富です。彼女なら議会と一
緒に仕事ができます」
次に、サンダース上院員議員の支持者の声をみていきましょう。
サンダース支持者の声
サンダース支持者には、特徴があります。第1に、彼らは、サンダース上院議員は本物であり、本音で語っていると主張します。第2に、同上院議員は中間層を気遣ってくれると述べます。第3に、クリントン候補がウォール街の大企業と関係が深く、しかもスーパーPACから献金を受けていると指摘するのです。
ウイリアム・ハネシー(69)
「サンダースを強く支持しています。彼は本物です」
バレリー・ドラグーン(59)
「サンダースに傾いています。ヒラリーには秘密を隠しているような印象を持っています。それに対して、サンダースには本心で語っているという印象があります」
リンダ・ケンワーシー(71)
「党員集会に出かけてサンダースを支持します。彼は誠実な人柄です。正直に語っています」
ジェームズ・ウォースター(35)
「ヒラリーは大企業と距離が近いです。彼女は、大企業や富裕層の操り人形です」
クリントン陣営が標的としているドナ・ドビンス(52) さんの家を訪ねると、庭にサンダース支持の看板が立っていました。彼女は不在でしたが、夫が対応してくれました。
「私も妻もバーニーを支持しています。私は消防士で組合に所属しています。忙しくてボランティアができないので、バーニーに120ドルの個人献金をしました。バーニーは中間層の世話をしてくれます。ヒラリーはワシントンでの経験が長く、中間層のことをあまり気にかけていません」
ジュリー・ブトウ(43)
「私はサンダースを支持しています。彼は普通の人ですが、ヒラリーは違います。サンダースは中小企業の味方です。ヒラリーは大企業の味方で、しかもワシントンの経験が長いです」
ブトウさんは、大企業から献金を受け、その見返りに彼らが抱えている課題を助けるクリントン候補よりも、普通の人のために働くサンダース上院議員を身近な存在だと感じていました。サンダース支持の別の白人男性も、クリントン候補と企業献金を結びつけ、サンダース上院議員は支援を受けていないので大企業から影響を受けないと回答していました。サンダース支持者は、クリントン候補がゴールドマン・サックスなどの大企業と密着しているというイメージを持っています。彼らにとってサンダース上院議員は中間層、クリントン候補は大企業の味方に見えるのです。
クリントン陣営の標的となっているカーク・ウィルキンソン(64)さんの家を訪問すると不在だったので、夫が対応をしてくれました。彼はサンダース支持者であると表明した後で、こう語ったのです。
「大企業から献金を受けているヒラリーは、まるで共和党候補のようです」
彼はクリントン候補とサンダース上院議員が発信しているメッセージの相違についても感想を述べました。
「ヒラリーのメッセージは意図的です。彼女はメッセージをコントロールしています。それに対してサンダースは自然です。彼は真実を語っています」
夫のウィルキンソンさんは、クリントン候補のコントロールされたメッセージに不快を示しているのです。筆者が、普通の人を気遣うのはクリントン候補かサンダース上院議員か尋ねてみると、彼は自信を持ってこう回答したのです。
「もちろんサンダースです」
クリントン候補の「普通の人のために戦う」「普通の人の擁護者になる」という核となるメッセージは、標的となっている有権者にまったく浸透していないのです。ただ、大抵のサンダース支持者は、サンダース上院議員が民主党候補者指名争いで敗れた場合、本選ではクリントン候補に投票すると語ります。
一方、共和党はトランプ候補ないし、テッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)が指名争いを勝ち抜いた場合、エスタブリッシュメント(主流派)の中には本選で投票に出向かない有権者が出てくる可能性があります。逆に、ルビオ上院議員のようなエスタブリッシュメントの候補が勝利を収めると、熱狂的なトランプ支持者の投票意欲を削ぐのは必至です。共和党内部における反エスタブリッシュメントとエスタブリッシュメントの分裂は深化しており、党の統一という一面をとってみると、民主党が有利であることは間違いありません。
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