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【ダボス総括】

先週開かれた"ダボス会議"。さまざまなセッションが開かれましたが、全体の底流にあったのは「政治のリーダーシップとテクノロジーで、格差拡大を乗り越えることができるか」 でした。

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Short-termism批判(long-termism推奨)も多く聞かれました。米バイデン副大統領のほか、著書"This Time is Different"で知られる Kenneth Rogoff教授、 Black RockのLarry Finkらが発言。「賃金、投資が増えないのは、企業が短期志向だから。企業が短期志向なのは、世界経済の長期の見通しが不透明だから」という意見も聞かれました。

「注目の人」は、カナダのJustin Trudeau首相AIIB=アジアインフラ投資銀行の金立群(Jin Liqun)総裁
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カナダ首相:「私はフェミニストだ。文句あるか?」と訴えると、広い会場の女性がいっせいに拍手しました。小学生のころに、女の子だけでなく男の子に家庭での役割、男女が平等に賃金が支払わなければならないことなどを教育するべきだと主張。甘いマスクとカラフルな靴下が特徴^_^

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AIIB総裁:Lean, clean, green(スリムな組織、汚職のないクリーンな運営、環境に優しい投資)を強調。「中国外交のツール、中国のプロパガンダ」という指摘に対して「違う、加盟57か国のための組織だ」と弁舌さわやかに反論

もう1人挙げるならランのザリフ外相。

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イラン外相:「核合意で外交が勝利した」「予想よりも早く核合意を履行し、1月16日にIEAの承認を得た。イランは作業を加速できることを示した」と誇らしげでした(でもそのせいで、原油価格急落!)。

別途、発見のあったセッションの概要をまとめましたが、ひとまず以下のような感じでした。

中国経済セッション

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「中国経済の実態は言われているほど悪くない」「投資・輸出主導から個人消費主導の経済への移行に伴う混乱」という指摘多数。中国の若きエースFang Xinghai (中国の証券規制当局代表)が「市場が混乱しても、今の中国指導部は安定して強固なので対応できる」と宣言したところ、 IMFのラガルド専務理事がぷちっと切れました。「中国当局は市場に介入するべきでない。一定のボラティリティは許容せよ」ときっぱり。

エネルギーのセッション

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むしろ、世界経済のリスクとして圧倒的に心配されていたのが原油価格の下落。供給側については、イランの"突然の国際舞台復帰(IEA承認と経済制裁解除が予想よりも早かった)"とアメリカの輸出再開により、過剰が続くという見方が大勢。一方、「原油安にもかかわらずなぜ、個人消費の喚起を通じて世界経済が拡大しないのか?」という自問自答をあちこちで聞きました。

IMF朱民(Zhu Min)副専務理事は「2008年の金融危機の教訓と、長寿に伴ってカネが思いの外必要だという認識が広がり、貯蓄傾向が強まっている」と分析。再生可能エネルギーについては、IEAのFatih Barol事務局長が「ファンタジーではなく、現実にグリッドに使われる時代に突入した」。

ロシア経済セッション

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去年のGDPがマイナス3.7%と発表されましたが、原油価格の低下により、相当にカネに困っている印象。副首相を前に、クドリン元財務相やジャーナリストが批判。原油安と対ロ経済制裁で、ロシア経済はかなり疲弊しているとのこと。

第4次産業革命セッション

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人工知能の登場で、格差がさらに拡大するのではないか。それを回避するためには政治や企業のリーダーシップが問われている、という意見が多数ありました。著書"The Second Machine Age"で知られるErik Brynjolfssonは「人間が得意なのは創造力、チームワーク。ロボットが得意なのは記憶、指示に従うこと。なのに、いまの教育は、記憶詰め込みと指示に従うことに重点があり、ロボットに置き換えられてしまう」と指摘。「ロボットが戦争で"戦士"となるのではないか、というセッションもありました。

【日本(G7議長国)へのインプリケーション】

■打って出られる分野=パンデミック対策、グローバルヘルスケア
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Bill Gatesが「戦闘体験のない軍隊(an army that has never fought)」では対応できないとして、war gameならぬgerm gameを提案。世界銀行の Jim Kim総裁やWHOのMargaret Chan事務局長らもエボラ出血熱の拡大に対応する際に、医療体制の準備を進めたものの通信手段や物流の確保を事前に整えることができなかったと反省(その後EricsonやFedexと提携)。ゲームでシミュレーションが必要とのこと。ポリオ対策の体験も踏まえ、グローバルヘルスは日本が貢献できる分野。

■避けては通れない分野=難民対策

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あらゆるところで、難民問題が話題に。「欧州の公共投資につながる」(ECBドラギ総裁)という前向きな意見もあったが、基本的には「どうしよう!??」という困惑。会場にはRefugee体験も。約50人が1時間、銃声の中、難民キャンプに避難していくというシミュレーション(私は 16歳のRahiyah BazziのIDを持って避難)。実際に難民だった男性曰く「シミュレーションでのストレス度は 14%。実際には 100%のストレスが何十年も続く」。

■女性の活躍/男女共同参画

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カナダのJustinTrudeau首相の来日に際して、日本の大学生に向けて「男女平等、仕事と子育ての両立」について講演・対話して欲しいと思いました^_^

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