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ハンセン病「グローバル・アピール2016」

偏見・差別撤廃を世界に発信 節目の年
国際青年会議所も賛同、東京で宣言式典

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式典全景

日本財団は1月26日午前、東京都港区の笹川平和財団ビル11階国際会議場で、ハンセン病患者・回復者に対する偏見・差別の撤廃を世界に訴える「グローバル・アピール2016」宣言式典を開催しました。ハンセン病は今では完全に治る病気となりました。しかしハンセン病に対する差別やスティグマ(社会的烙印)は根強く残っています。今年は世界130カ国で40歳以下のメンバーが活動するNGO(非政府組織)「国際青年会議所」(JCI)の賛同を得て、ハンセン病に対する社会の誤解を解く必要性を両者一体となって強く呼び掛けました。ハンセン病患者を長い間、強制隔離した「らい予防法」の廃止から今年は20年に当たります。WHO(世界保健機関)が設けたハンセン病の制圧基準「人口1万人当たり患者数1人未満」の唯一の未達成国ブラジルの基準達成も視野に入る段階に来ています。ハンセン病との戦いは大きな節目を迎えています。
日本財団は40年以上にわたり、ハンセン病の制圧と回復者に対する差別撤廃に向けた活動を国内外で実施しています。WHOハンセン病制圧大使・日本政府ハンセン病人権啓発大使の笹川陽平・日本財団会長は2006年以来、毎年1月最終日曜日の「世界ハンセン病の日」に合わせ、医療や宗教、法曹など各界の代表者らと「グローバル・アピール」を発表して「ハンセン病は治る病気」「治療は無料」「差別は不当」であることを訴えてきました。宣言は今回で11回目になります。日本国内での宣言式典開催は昨年に続いて2回目です。

日本財団は多くの人にハンセン病について考えてもらおうと、2014年度から世界規模のキャンペーン「THINK NOW ハンセン病」を展開し、ハンセン病の正しい知識の普及を図る啓発活動を行ってきました。今年も「世界ハンセン病の日」の1月31日(日)を挟み、さまざまなイベントを開催します。グローバル・アピール宣言式典はその中心です。

「医療」と「社会」両側面の解決を目指すことに加えて、「ハンセン病の未来」という今後進むべき道を築くために、今回の式典には世界中の回復者やその家族、医療関係者、人権専門家など計約250人が集まりました。回復者が直面する現実を伝える映像作品「Leprosy in Our Time」の上映後、笹川会長、パスカル・ディケ国際青年会議所2016年会頭、柴田剛介日本青年会議所(JCI‐Japan)2015年会頭が、主催者あいさつをしました。

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主催者あいさつをする笹川日本財団会長

笹川会長は、グローバル・アピールを始めた経緯や、さまざまな専門家と共同で世界に向けてメッセージを発信してきた軌跡を紹介した上で「若い人に訴えていきたいという思いを強くし、今年は国際青年会議所の皆さんと共に、世界の若い世代の人たちに向けてメッセージを発信することにしました。未来を担うビジネスリーダーである国際青年会議所の皆さんは、社会課題に対して熱心に取り組んでいらっしゃいます。その皆さんが、ハンセン病の差別の問題に積極的に協力してくださったことに、あらためて心から感謝を申し上げます」と述べ、「この機会を通じて、一人でも多くの方にハンセン病について考え、向き合っていただきたいと思います。皆さん、ハンセン病の差別という大きな問題の解決に向けて、共に立ち向かっていこうではありませんか」と訴えました。

パスカル・ディケ国際青年会議所会2016年会頭は「ハンセン病の回復者は、他の人と同じ権利、同じ尊厳を持って生きていく権利を持っています。JCIは世界中の5000の地域社会がメンバーとなっています。私たちが手に手を取り合って前向きに進んでいくことによって、こういった問題を解決し、世界に平和をもたらしながら、若い人たちがより力を持って積極的に役割を担ってくれる社会づくりをしたい」と述べました。

柴田日本青年会議所2015年会頭は「このたびの協力の一端として、ハンセン病の療養所が存在する地域で活動する会員会議所に積極的に呼び掛けを行い、ハンセン病への正しい知識と回復者への偏見や差別をなくす普及啓発事業を継続的に展開していきます」と決意を語りました。

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主催者あいさつをするパスカル・ディケ国際青年会議所2016年会頭

続いて、過去のグローバル・アピール賛同団体の国際法曹協会、世界医師会、国際看護師協会に加え、国連人権理事会諮問委員会、インド・ハンセン病議員連盟、フィリピン全国ハンセン病当事者ネットワークの各代表による来賓あいさつがありました。

そして、ササカワ・インド・ハンセン病財団奨学生のロシーニさん、MORHANナショナル・デレクターのフランシスコ・フォスティーノ・ピント氏、パスカル・ディケ年国際青年会議所2016年会頭の3氏が「国際青年会議所が擁する世界中のネットワークを通じ、ハンセン病を理由とする差別が不当であることを訴え、こうした差別と闘います」「ハンセン病患者と回復者、そしてその家族が差別から解放され、彼らが内に秘めた可能性を発揮することができるよう他の人たちと同等の機会が得られることができる社会の実現を目指します」と今年のグローバル・アピールを読み上げました。

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宣言文を読み上げる(左から)パスカル・ディケ氏、ロシーニさん、フランシスコ・フォスティーノ・ピント氏

国交正常化60周年に際しての公式訪問として、友好親善と戦没者慰霊のため、フィリピンへ出発された天皇、皇后両陛下を羽田空港で見送った安倍首相も、昭恵夫人、塩崎恭久厚生労働相とともに会場に駆け付け、登壇した皆さんと一緒に記念撮影をした後「わが国では国の不適切な隔離政策によりハンセン病患者、回復者の方々の人権に大きな制限、制約をもたらし、社会的偏見や差別を助長した過去があります」とした上で「この集いを機に全世界の人々がハンセン病について正しく理解し、考え、行動することでハンセン病に対する偏見や差別が大きく解消されていくことを期待します」と述べました。

式典のオープニングでは、「君が代」と天皇陛下作詞、皇后陛下作曲の歌「歌声の響き」を、ソプラノ歌手・鮫島有美子さんが独唱しました。「歌声の響き」は1975年、天皇皇后両陛下が沖縄県名護市にあるハンセン病療養所「沖縄愛楽園」をご訪問され、入所者と交流したことを契機に生まれた歌です。式典の最後には、ハンセン病キャンペーンの紹介映像も上映されました。

午後は国際シンポジウム「ハンセン病から差別を考える」を開催。ハンセン病の問題を中心に、より広く健康と差別の問題について考えるパネルディスカション「健康と人権-健康に関する差別をどう克服するか」を実施するほか、「ハンセン病・差別・宗教~我々に新しい文明は可能か」と題して、作家の高山文彦氏と宗教学者山折哲雄氏が、作家で女優の中江有里さんの司会で、対談をします。

【グローバル・アピール2016 宣言全文は次の通りです】
〈ハンセン病に対するスティグマ(社会的烙印)と差別をなくすために〉

ハンセン病は古くから身体に変形を起こす不治の病として世界中で恐れられ、神の罰とさえ考えられてきました。ハンセン病を患った人々は、長い間厳しい差別や不平等に苦しんできました。

有効な治療法が確立され、ハンセン病は今では完全に治る病気となりました。治療薬は世界中どこでも無料で手に入ります。早期発見と早期治療により、後遺症も防ぐことができます。

しかし、ハンセン病に対する差別やスティグマは根強く残っています。患者や既に治療を終えた回復者、そしてその家族でさえも、教育、就職、結婚など、さまざまな社会参加の機会を制限され、不当な扱いを受けています。

迷信や誤解がこうしたスティグマを生んでいます。ハンセン病に対する誤解を解き、スティグや差別をなくすためには、人々が病気に関する正しい知識を得ることが必要です。

国際青年会議所は、それぞれの地域が抱える課題への解決策を追求することによって、持続可能なインパクトを地域社会に生み出す若き能動的市民の主導的な、グローバル ネットワークです。

私たちは、国際青年会議所が擁する世界中のネットワークを通じ、ハンセン病を理由とする差別が不当であることを訴え、こうした差別と闘います。

次世代を担う子どもたちに正しい知識を伝え、差別を撤廃するための活動を支持します。

ハンセン病患者と回復者、そしてその家族が差別から解放され、彼らが内に秘めた可能性を発揮できるよう 他の人たちと同等の機会を得ることができる社会の実現を目指します。

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