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2016年の利上げは、できても1回だけだ

FRBは2016年に利上げを何回できるのでしょうか。この予測については、拙書『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』(2015年10月刊行)で述べていますので、その中の75~78ページの文章を引用したうえで、少しだけ補足を加えさせていただきたいと思います。

(以下、『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』より引用)

少なくともチャイナ・ショックが世界の金融市場を揺るがすことになるまでは、FRBのイエレン議長は2015年のうちに利上げをすると公言してきましたし、多くの米国民もそのようになるだろうと考えていたに違いありません。

当然のことながら、このことは米国民の消費に大きな影響を与えていると思われます。何が言いたいのかといいますと、米国では2015年に入ってから駆け込み消費が拡大している可能性が高いということです。

冷静に経済の歴史に照らし合わせてみれば、米国では近い将来の利上げが確実視されていたので、消費増税前の日本と同じように、利上げ前に米国民による駆け込み消費が起きていると考えるのが自然ではないでしょうか。

~中略~

しかし不思議なことに、私の指摘するような懸念が専門家の間ではまったく見られていません。実際に利上げが行われれば、その反動が来ることは十分に想定できるはずなのですが、なぜかそういった見解がまったく聞こえてこないのです。

~中略~

このような歴史を踏まえれば、FRBの利上げのペースは想定よりもずっと緩慢にならざるをえないでしょう。先にも述べたように、FRBはたった1回の利上げによって、自国の経済ばかりか世界の経済に予想以上の負の連鎖をもたらしたことを、利上げの半年後には認めざるをえなくなる可能性が高いからです。

ところが、7月までのFOMC(連邦公開市場委員会)議事録を見れば、FOMCメンバーの多くは、利上げを開始したのち、年4回のペースで0.25%ずつの利上げを考えていることがわかります。FOMCメンバーの金利見通しはかなり楽観的であるように思われるのです。そのような早いペースの利上げは、とても世界経済が消化しきれないのではないでしょうか。

最終的には、FRBがひとたび利上げに動いたとしても、FRB自らがその失敗に気付き、軌道修正を余儀なくさせられることでしょう。その場合、米国経済の回復を支える金融政策を決して転換するわけではないと、株価が暴落するような金融政策は避けるように配慮すると、FRBは強くアナウンスする必要性に迫られるかもしれません。

(引用終わり)

遅かれ早かれ、FRBは世界経済の減速に加えて自国の減速懸念も受けて、年4回としている追加利上げの見通しを修正せざるを得ないでしょう。

中国が経済の構造調整を終えるまでには、少なくとも5年単位の時間を要することとなります。そのような状況下において、利上げによる様々な副作用が複雑に絡み合い、2016年前半には米国の減速も避けられない見通しにあるのです。

ですから私は、「FRBは2016年に利上げができたとしても1回だけだろう。ひょっとしたら1回もできないかもしれない」と予測しているわけです。

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