- 2016年01月25日 19:47
【衆院本会議】施政方針演説に対する代表質問(案) 岡田代表
2/2(働き方大改革)
今の日本は非正規の働き方が拡大する一方で、正規社員は長時間労働に苦しめられています。一人ひとりを大切にする日本を実現し、若者や女性が安心して働ける環境をつくるためにも、日本人の働き方を根本から見直す大改革が必要です。
今や非正規で働く人々は全体の4割です。この20年間で倍増しました。多様な働き方はあってよいのですが、正規雇用を希望しながら、不安定な働き方を選ばざるを得ない人々が多いことは、日本の将来にとっても極めて問題です。初めて就職した職が非正規雇用だという人が、男性で3割、女性で5割です。そして、非正規雇用者の3人に1人が世帯の中の主たる稼ぎ主です。事態は深刻であるとの認識が安倍総理には足りないのではないですか。答弁を求めます。
昨年、労働者派遣法改正にあたり、安倍総理は派遣で働く人々が正規社員として働くことにつながると繰り返し強調しました。私は、全く逆に正規の働き方が減ることを強く懸念しています。ここ数年間の状況を見極め、総理の見方が誤っていることが明らかになった場合には、直ちに派遣法の再改正を行うことを約束してください。安倍総理の答弁を求めます。
安倍総理は施政方針演説で、同一労働同一賃金の実現に踏み込むと明言しました。「均等待遇」を実現すべきとの我々の主張に耳を傾けたとすれば評価します。しかし、同じ演説の中で、非正規雇用者の「均衡待遇」の確保に取り組むとしています。これでは同一労働同一賃金とは言えません。どちらが本当なのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。
労働基準法改正案には、裁量労働制の適用拡大や、いわゆる高度プロフェッショナル制度の創設が含まれています。長時間労働が蔓延する日本において、更に長時間労働を常態化する可能性があります。介護や子育てと働くこととの両立を不可能にするとともに、過労死のリスクを高めるもので、到底容認できません。安倍総理の答弁を求めます。
(財政健全化)
私は、「原理・原則主義者」と言われることがあります。必ずしもそうではないと、自分では思っていますが、財政規律、この原則だけは曲げるわけにはいきません。それは、子どもや若者、未来の世代への責任を果たさなければならないと考えるからです。施政方針演説の中に財政健全化について具体的言及がなかったことは、内閣総理大臣として無責任です。日本の持続可能性にとって、最も重要な課題から逃げることは絶対に許されません。
まず、経済成長と財政健全化を両立しなければなりません。安倍総理は経済成長なくして財政健全化なしと強調していますが、財政健全化なくして持続的な経済成長は可能とでもお考えなのでしょうか。両立か経済成長優先か、明確な答弁を求めます。
今までの自民党の失政の結果、日本は巨額の借金を抱えています。2020年度基礎的財政収支黒字化は、財政健全化の第一歩に過ぎないのです。政府の試算でも、名目3%以上の楽観的な経済成長を前提としたうえで、更に6・5兆円の調整が今後必要とされています。2020年度に向けた具体的な財政健全化計画をいつ明らかにするのですか。責任ある答弁を求めます。
財政健全化は国力の源です。財政を再建する確固たるプランを持たずして、国民が安心して消費し、企業が積極的に投資することは考えられません。社会保障制度の維持や防衛力の整備など、国民の命と暮らしを守ることすら困難になります。我々は、歳出改革、成長戦略、歳入改革の3本柱で、着実に財政健全化を進めるための財政健全化推進法案をこの国会に提出します。政府も同様の法案を準備すべきです。安倍総理の答弁を求めます。
消費税の引き上げは、これ以上先送りすることはできません。しかし、税制抜本改革法には、行政改革の推進をその前提として明記しています。今後10%への引き上げ決定までに、行政改革に総力を挙げることを約束してください。安倍総理の答弁を求めます。
(沖縄基地問題)
極めて危険な状況にある沖縄普天間基地の移設は重要課題です。しかし、国の強硬な進め方が沖縄の人々の感情を刺激し、沖縄と本土の歴史的な軋轢の再来とも指摘されています。極めて憂慮すべき事態です。辺野古における工事を直ちに中断すべきです。その上で、話し合いを再開し、国と沖縄県双方の信頼関係を築くことから始めなければならないと私は考えます。安倍総理の答弁を求めます。
(東日本大震災)
間もなく東日本大震災から5年を迎えます。安倍総理の施政方針演説は、復興の明るい側面を殊更に強調したものでした。しかし、仮設住宅で寒い冬を過ごす高齢者、故郷に戻るメドが立たない家族、子どもたちへの放射線被害を心配する若い母親など、今も被災地は大きな苦しみの中にあります。総理の演説からは、そういった被災者一人ひとりへの思いが伝わってこないのです。誰一人置き去りにしない復興を目指す、そのことこそ、政治の責任だと私は考えます。安倍総理は同意されるか、答弁を求めます。
(原発新増設)
昨年7月に決定された長期エネルギー需給見通しでは、2030年時点で電力に占める原子力発電の割合は2割とされています。これは、40年廃炉原則を前提とする限り、あり得ない数字です。民主党は、原子力発電所の新増設を行わないことを決めています。原発の新増設を認めるのか否か、エネルギー政策の根幹に関わることであり、安倍総理は国民に明確にすべきです。正直な答弁を求めます。
日米同盟の深化を図りつつ、「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」というのが、民主党の安全保障政策の基本的考え方です。この観点から、領域警備法の制定、周辺事態法の改正、PKO法の改正が必要と考えており、今国会にこれらの法案を提出することを決定しています。
また、存立危機事態に集団的自衛権の行使ができるとの安倍政権の考え方は憲法違反です。憲法違反の法律の存在は認められず、安全保障関連法廃止法案を今国会に提出します。
これらの我々の提案に真摯に耳を傾けることを求めます。未だ政府の説明に納得していない多くの国民にも説明を尽くすべきです。このため、今国会で安全保障をめぐる議論を深める機会を改めて確保しなければなりません。安倍総理は賛同されるか、答弁を求めます。
(北朝鮮問題)
2014年5月にストックホルム合意が成立し、政府は北朝鮮に対する独自の制裁措置を解除しました。しかし、拉致問題は何ら進展なく、その間、北朝鮮の核開発は着々と進んでいたのです。他方で、北朝鮮対応において極めて重要な中国・韓国との関係は、首脳会談もままならないほど冷え切っていました。そういう状況下で、今月6日の北朝鮮の無謀な核実験が実施されました。安倍総理、あなたは北朝鮮の核開発に対して全く無策だったのです。その自覚と反省はありますか。答弁を求めます。
(憲法改正問題)
憲法改正について国民の皆さんに申し上げます。安倍総理は、夏の参議院選挙で、憲法改正発議に必要な3分の2以上の議席を改憲勢力で確保することを目指す考えを明らかにしました。国民の皆さんには、今、日本が大きな分岐点にあることを強く認識していただきたいと思います。
私は、日本国憲法を時代の変化に適応させ、改正することを否定するものではありません。しかし、憲法は権力者の権力乱用から国民を守るものだという、立憲主義の基本を理解しない安倍総理のもとでの憲法改正は極めて危険です。権力者にとって都合のいいように憲法が変えられるおそれがあるからです。まず、安倍総理の立憲主義に対する認識を問いたいと思います。答弁を求めます。
自民党の憲法改正草案では、緊急事態条項を規定しています。しかし、曖昧な要件のもと、緊急事態宣言が発せられると、内閣総理大臣に権限が集中し、法律と同一の効力を有する政令によって基本的人権を制約することが可能となります。民主主義の根幹を揺るがしかねない問題であるとの認識が、安倍総理にはあるのでしょうか。また、現行憲法で具体的に何が足りないのでしょうか。答弁を求めます。
自民党草案は、9条を改正して、限定のない集団的自衛権の行使を認めるものです。日本自身の海外での武力行使に大きく道を開くことになります。専守防衛や海外派兵禁止という考え方もなくなり、内外の多くの人命を奪った先の大戦の反省に基づく憲法の平和主義を実質的に捨て去るものです。何のために限定のない集団的自衛権行使が必要なのか、明確な答弁を求めます。
これらの憲法改正、いや改悪に道を開くことになるかもしれない、それがこの夏の参議院選挙です。戦後70年、日本の民主主義、立憲主義、平和主義の重大な分岐点であるという認識を、国民の皆さん一人ひとりにしっかりと持っていただきたい。
(おわりに)
2009年夏、私たちは政権を担うことになりました。志を持って大きな課題に挑戦しましたが、国民の期待に十分に応えることはできませんでした。いろいろ足らざる点はありましたが、何よりも、日本が直面している困難に立ち向かい、説得し、乗り越えるだけの覚悟が足りなかったことを深く反省しています。
しかし、私たちの志は不変です。根底にあるのは、一人ひとりを大切にする政治を実現したいとの強い思い、そして、何としても安倍総理の暴走を止めなければならないという危機感です。今こそ、日本が直面している多くの困難を先送りせず、正面から立ち向かう、国民に正直で真面目な政治が必要なのです。
安倍総理、私は冒頭、安倍政治は本当の課題解決を先送りするバラマキ政治であると強調しました。同時にあなたは、戦後70年、私たちの先人たちが築いてきた基本的人権の尊重や平和主義を、深い洞察もなく変えようとしています。あなたの「挑戦」は、方向が根本的に誤っているのです。
国民の皆さん、国民に正直で真面目な政治か、それとも安倍政治か。最終的には、国民の皆さんの選択です。しかし私は、ここで道を誤ってはならないと、声を大にして申し上げたい。皆さん一人ひとりに、次の世代に恥じない判断をしていただきたいのです。若者や女性、そして、今まで政治と距離を置いてきた人々が、危機感を持って声を挙げています。私も、民主党代表として、覚悟を持って安倍政治と戦っていく。そのことをお約束して、私の提案並びに安倍総理に対する質問とします。
民主党広報委員会


