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第190回国会における岸田外務大臣の外交演説

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グローバルな課題への一層の貢献

 国連加盟60周年の本年から2年間、加盟国中最多となる11回目の安保理非常任理事国を務めます。この機会を通じ、国連との連携を強化し、積極的平和主義の実践として、世界の平和と繁栄のための議論をリードし、日本の考えを世界に発信します。国連PKO等への協力を通じ、幅広い課題に積極的に貢献してまいります。国際機関における日本人職員増強にも努めます。

 国連が国際社会の現実を反映し、課題によりよく対応できるよう、インド、ドイツ及びブラジルとともにリーダーシップを発揮し、安保理改革の推進に努めます。

 4月に広島で開催するG7外相会合等を通じ、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けて核兵器国と非核兵器国の協力を促し、軍縮・不拡散の取組をリードします。
 核テロ阻止は世界の安全保障上重要な課題であり、核テロの阻止のために、アジア地域や世界の核セキュリティ強化に積極的に貢献してまいります。

 持続可能な開発のための2030アジェンダを着実に実施し、「人間の安全保障」の考え方に基づき、保健、女性、教育等の課題や防災の主流化に取り組みます。

 「女性の輝く社会」の実現は政権の最優先課題です。今後も国際女性会議WAW!を始めとする様々な機会に、女性のアジェンダの推進に全力で取り組みます。

 開発協力大綱の下、国際社会の平和と安定及び繁栄と、それを通じた日本の国益確保のため、官民一体となって取り組むべく、積極的かつ戦略的にODAを活用してまいります。

 気候変動分野では、COP21で合意された、史上初めて全ての国が参加する枠組みである「パリ協定」を歓迎します。この歴史的合意を世界全体の気候変動対策に関する取組の前進につなげるよう貢献してまいります。

 昨年9月に私が任命した科学技術顧問の下、安全保障、グローバル課題、国際協力等、外交の様々な局面で日本の優れた科学技術を活用していく科学技術外交を推進してまいります。

 鯨類を含む海洋生物資源の持続可能な利用等について、国際社会の理解と支持を得るべく一層努力します。

 初めてのアフリカ開催となるTICADVIを通じ、官民が連携し、アフリカとのパートナーシップを更に強固にします。

 アジア太平洋地域の安全保障環境は一層厳しさを増しています。またこの一年、海洋安全保障の重要性は急速に増しています。どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできないとの認識の下、日本、地域、そして世界の平和と安定及び繁栄のため、国際協調主義に基づく積極的平和主義を推進してまいりました。第189回国会においては、この積極的平和主義を実践するためのものとして平和安全法制が成立しました。引き続き、国民の命と平和な暮らしを守るとともに、地域と世界の平和と安定及び繁栄に一層貢献していきます。

 南シナ海において見られる、大規模かつ急速な埋立てや拠点構築、その軍事目的での利用等、現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的な行動に、深刻な懸念が多くの国より表明されています。これらの行為の既成事実化は認められません。海洋における「法の支配」を強化していくため、G7議長国として、関係国と連携し、「海における法の支配の三原則」に基づき、「開かれ安定した海洋」の維持・発展に取り組みます。

 昨年のパリ同時多発テロ事件を始め、無辜の市民の命を奪う卑劣なテロは、平和と繁栄という人類共通の価値への挑戦です。昨年12月、外務省に設置された「国際テロ情報収集ユニット」の活動も通じ、政府一丸となって国際テロ対策を強化し、国内外の日本人の安全確保に全力を挙げるとともに、国際社会と連携し、テロとその根底にある暴力的過激主義への対策に一層注力してまいります。

 日本は、中東地域の安定のために、国際社会と協調し、全ての当事者が自制し、対話を通じて事態の沈静化に努めるよう呼びかけていきます。
 シリア情勢の政治プロセスの進展を支持し、日本としても人道支援を中心に各国と連携しつつ、情勢の改善に尽力していきます。また、地域各国の建設的な役割を働きかけていくとともに、可能な限りの支援を非軍事的な面で実施してまいります。イランの核合意を支持します。日本としても、国際社会と連携しつつ、国際不拡散体制の強化と中東地域の平和と安定に寄与していきます。

 ソマリア沖・アデン湾、アジアにおける海賊対策を通じた海上交通路の安全の確保及び宇宙空間、サイバー空間における「法の支配」の実現と強化にも尽力します。また、北極における新たな機会と課題に対し、日本としても積極的に貢献していきます。

総合的な外交力及び戦略的対外発信の強化

 主要国並みの外交実施体制の実現を目指し、在外公館の拡充や外交要員の競争力の一層の向上も含め、総合的な外交力を引き続き強化してまいります。また、国際社会での存在感を一層高めるよう、日本の「正しい姿」や多様な魅力を戦略的に対外発信するとともに、親日派・知日派の育成を強力に推進します。

結句

 外交は人と人との絆が重要です。世界各国の外務大臣等とこれまで築いた信頼関係と絆を大切にしながら、今後も日本の国益の確保のため、着実に外交課題で結果を出してまいります。
 議員各位そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

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