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年金積立金の運用損

  年明け以降、天気は概ね晴朗な日々が続いています。しかし、経済の雲行きは怪しくなってきました。中国経済の減速感や原油安等により、日経平均株価は昭和24年の東京証券取引所開設以来、史上初めて6日間続落しました。計1800円もの下落でした。その後、反転する局面もありましたが、先週後半再び大幅下落に陥りました。

  株式市場に不透明感が強く漂う中で、とりわけ心配なのは年金積立金の目減りです。たった半月で約6兆円もの年金資産が失われた恐れがあります。

  日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金約130兆円の管理・運用は、厚生労働省所管の独立行政法人であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が行っています。従来は、運用構成割合の60%を日本国債等の国内債が占めるなど、「ロー・リスク、ロー・リターン」の安定運用を心掛けていました。しかし、2014年11月、安倍内閣はアベノミクスの成長戦略の一環として、GPIFの資産運用方針を見直し、株式の比率を50%(国内株式25%、外国株式25%)へと高め、「ハイ・リスク、ハイ・リターン」型へと劇的に転換しました。

  株高がずっと続けば、何も問題はありません。しかし、株価は上がる時もあれば下がる時もあります。バブルが膨らむこともあれば、それが弾けることもあります。国民の虎の子の財産を、大きなリスクを伴う博打に賭けていいのでしょうか。

  昨年の7月から9月にかけては、約7.9兆円もの運用損が発生しました。これは四半期ごとの運用としては、過去最大規模の損でした。安倍政権は、短期の売り買いの結果で一喜一憂せず、長期的に判断すべきだと抗弁しています。しかし、今年はもっと大損しそうな気がしてなりません。総理のポケットマネーなら別に構いませんが、国民の大切な老後の生活資金なのです。慎重に安定資産で運用すべきです。

  株安が続けば、GPIFは年金資金を使って買いを入れます。株価が下がれば下がるほど買いを入れて支えようとします。結果的にGPIFは株式市場の安定化装置的な役割を果たすことになります。安倍政権の内閣支持率は株価と連動しているといわれておりますので、年金資金の株式運用は安倍政権を下支えする巧妙な手段でもあるのです。

  株式市場はその国の経済の実態をあらわす鏡であるべきであり、老後の年金資金により張りぼての官製相場などつくるべきではありません。

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