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反抗心を忘れずに

「なめんじゃねー」拡声器で叫びステージに…代表者も反撃 水戸、警察と一時にらみ合い(産経新聞)

 水戸市の成人式で10日、議事進行の妨害行為や警備員との小競り合いなどが起き、茨城県警本部や水戸署の警察官約20人が駆け付ける騒ぎとなった。式典終了後、騒ぎを起こした新成人らが警備員らに謝罪したこともあり、県警は立件を見送ったが、成人式は終始、大荒れとなった。

 成人式は水戸市五軒町の水戸芸術館の広場で開かれ、約1900人が出席。新成人を代表して式典の実行委員長でもある専門学校文化デザイナー学院2年生の古谷(こや)直之さん(20)がステージで「誓いの言葉」を述べているその時、事は起きた。

 一部の新成人らがマイクを取り上げ、「おめえがあいさつしてんじゃねえ、このやろー」「なめんじゃねーよ」「みんな、よろしく〜」「盛り上がっていこうぜ」などと拡声器で叫びながら、警備員の阻止を振り切ってステージに上がり、妨害行為に出た。

 警備員らによって下ろされた後、古谷さんは誓いの言葉を続行し、「僕が話すことが気に入らない方もいると思います。みなさん、しっかりと成人としての自覚をもち、これから社会人としてはばたいていきましょう」と反撃。すると、ステージの下からは「てめーが代表じゃねえ、このやろー」などの罵声が飛んだ。

 この手の成人式で暴れる若者も今となっては季節の風物詩となって久しく、遠い未来には季語の一つになっていそうな感じですが、世間の受け止め方はどうなんでしょうね。年長者が「今時の若者は〜」とか「ゆとり世代は〜」的に、若年層を評論する類いの言説もまた多いですけれど、こういう荒れる若者の姿を見てもなお結局は皆「若い人が好き」なのではないかなと、そう思います。

 選挙権年齢を18歳に引き下げるという決定は全くと言っていいほど無批判に受け入れられている、どの政党も反対らしい反対は口にしなかったわけですが、この辺は近年の政治的貧困を端的に表しているところでしょうか。引き下げには色々と問題もある、改正には相応の論拠が必要はずですけれど、「18歳からの国が多いんだから」と己の思考停止ぶりを宣言するような理由しか挙がってこない辺り、色々と絶望的なものを感じますね。

 ともあれ18歳から投票できることになってしまいました。ほぼ誰も反対はしていなかったのですが、なぜでしょう? それは要するに「自分は若者のことを考えている」「若者は自分たちを支持してくれる」と根拠なく確信している人が多いからなのかな、と思います。先年の大阪都構想を問う住民投票の際など典型的でしたが、己の欲する政策が実現されなかった理由を「若者の投票率が低かったからだ」「爺婆の票に負けたのだ」みたいに語る人は少なくありません。その辺は根拠のない思い込みに過ぎないのですけれど、「(自分が好ましいと持っている政策は)若者に支持されている」「若者は自分たちの同志」と信じている人は多いのではないでしょうか。

 どこの政党も選挙権年齢の引き下げに何の疑問も差し挟まないのは、自分たちは若者に支持されている、自分たちこそ若者が支持するにふさわしい政党だと、そう確信しているからなのかも知れません。だから、18歳からの投票が始まれば自分の党の票が増える、自分たちの政策がゴリオシしやすくなると夢想しているわけです。小規模ながらも何種類かの模擬投票を見た限り、損をする党と得をする党ははっきり分かれそうな感じですが……

 子供は錦の御旗です。デモなんかでも率直に自分の口から意見を述べるのではなく、子供を前面に押し出して、子供に周りの大人の主張を代弁させるような類いは常套手段です。そうでなくとも政党/政治家が若者(もしくは若者に人気のタレント)を起用して己の政策をアピールさせるなんてことは珍しくありません。自分たちの政策は若者のためである、若者に支持されているのだと、我々は若者と同じ地平に立っているのだと、そういう売り方もまた荒れる成人式に負けず劣らぬ伝統ですから。

 ただ結局のところ、「若者の味方」を装う政治家や論者あるいは活動家の99%は、若者を葵の印籠代わりにして己の主張を押し通そうとしているだけだよな、とも思います。「若者に支持されている」と目されれば世間の受けは悪くないですが、しかし若者の支持を大義名分にするってのは要するに若者を利用しているだけです。若者に自分たちを支持させれば自分たちの主張を正当化できる――、新たに選挙権を得た18歳や19歳の少年少女を虎視眈々と狙う人は多々いることでしょう。

 私が新成人に何か言ってみるとしたら、「周りの大人の思惑通りの人間にならないよう注意してください」ってことですかね。デモ隊の主張を代弁させられる子供のようになってはいけません。そういう意味では、「しっかりと成人としての自覚をもち、これから社会人としてはばたいていきましょう」みたいに、いかにも周りの大人から歓迎されそうな発言をしている人には、ちょっと不安になってしまいます。無駄に反発しているだけの迷惑な隣人達の方が、まだしも自分の意思で動いていると感じるくらいですから。

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